・ 梅本洋一
 
・ 衣笠真二郎
 
・ 黒岩幹子
 
・ 小峰健二
 
・ 月永理絵
 
・ 結城秀勇
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
・ 梅本洋一
・映画

白いカラス(ロバート・ベントン)
ビッグ・フィッシュ(ティム・バートン)
Clean(オリヴィエ・アサイヤス)
2046(ウォン・カーワァイ)
La Vie pararelle(ニコラ・サーダ)


最後のニコラ・サーダのフィルムは、フランスでも公開されていない。Inrockの付録DVDで見た。私にとっての「カイエ」黄金時代を支えた友人の処女作。処女作としての新鮮さとは正反対の堂々とした短編。アルノー・デプレシャンの『レオ』から実験性を省きながら、同じ物語を語っているように思えた。ちなみにニコラは『レオ』のシナリオも担当している。ティエリー・ジュス、ニコラ・サーダ……友人たちは次々にキャメラの背後に回っていく。他の4本には説明の必要がないだろう。

・others

とんがって本気(加賀まりこ、書籍)
加賀さんは本当にすごい!

蔓珍楼(横浜中華街)
何十年かぶりで、中華街のこの名店でランチをした。おいしかった。

Café de la presse(カフェ、日本大通り)
横浜の中心にある伝統の大通り。そこに佇む古いビルの2階がリノヴェーションされ、雰囲気の良いカフェになった。みなとみらい線のおかげで、去年は横浜再発見の年だった。伊東豊雄の「元町・中華街駅」も、内藤廣の「馬車道駅」も好きだ。

アーセナル対アストン・ヴィラ(フットボール、プレミアリーグ)
ユーロが開催された年だったが、昨年のフットボールのベスト・パフォーマンスはこのゲームのアーセナル。速度、変化、空間の創造!

国際文化会館(坂倉準三、前川圀男、吉村順二)
鳥居坂にある東京でもっとも素敵なホテルの寿命がそろそろ尽きつつある。城のような六本木ヒルズと、モダンの象徴としてのこの60室しかキャパのない見事なホテル。私が、このホテルを愛しているからと言って、保守的だとは思わない。
 
 
・ 衣笠真二郎
・映画

1『ミスティック・リバー』(クリント・イーストウッド)
その街やその河について「誰も知らないこと」は、「誰もが知っていること」に よって語るほかない、そういうことか。

2『レオ』(アルノー・デプレシャン)
そこにはじっとりとした速度がある。血塗れのキッチン、潜水艦、照準器とか、こ の密閉感がたまらない。

3『スモーキング/ノー・スモーキング』(アラン・レネ)
もう10年以上前の作品だけど、とにかく劇場で見ることができてうれしかった。映 画を見ること聞くことの再レッスン。

4『2046』(ウォン・カーワイ)
10月に台北の劇場で見た。巨大なスクリーン、まばらな客、ゆるい暑さだった。そ のあとビールを飲んだ。

5『殺人の追憶』(ポン・ジュノ)
骨太の演出が圧巻。最後にソン・ガンホが見せたやるかたない表情、そして殺人現 場となったあのあぜ道の乾きぶりがすばらしい。


昨年のあいだに「再見」したものBEST 5

1.「大相撲刑事」ガチョン太朗
「クイック・ジャパン」連載の漫★画太郎「ビーチク物語」に触発されて読み返した。「大相撲刑事」では裸体のキャラクター攻めに多少のエクスキューズ をしているのに気付かされる。いまさらながら少年ジャンプにも歴史を感じてしまった。

2.『バック・トゥ・ザ・フューチャー』ロバート・ゼメキス ゼメキス監督来日記者会見の予習として再見。当日、質問に挙手したら幸運にもあてられてしまい、めちゃくちゃ緊張した。

3. 朝倉彫塑館
彫刻家の自宅兼アトリエがそのまま博物館になっている。小学生のときに何度か訪れその和洋折衷建築にしびれたものだ。だが実のところ、表側の「和」と 裏側にある「洋」の張り合わせいう仕掛けに気付いた。どこかが変な「下町」幻想。

4. 日本的な様式
茶会なるものを初体験した。この種類の「ゲームの規則」は部活の弓道以来であった。

5. 「こむぎこ」のスパゲッティ

昨年はそばやらうどんやらパスタやら麺類をたくさん食べた気がする。それで、自宅の前にある有名(といわれている)イタリア料理店「こむぎこ」を10 数年ぶりに試してみたくなった。トマト系味付けパスタがオススメ。
 
 
・ 黒岩幹子
・映画

ミスティック・リバー(クリント・イーストウッド)
コンフィデンス(ジェームズ・フォーリー)
ジェリー(ガス・ヴァン・サント )
スクール・オブ・ロック(リチャード・リンクレイター)
グリーンデイル(バーナード・シェイキー)


劇場公開作から思いつくままに5本。「ベスト」を選べるほど数を見ていないので、「2004年に見た映画」として印象に残る作品ということになるだろう。当然入るべき はずの『ヴァンダの部屋』などが抜け落ちてるのも、単にそういう理由で。アメリカ 映画ばかりになってしまったのに深い意味はない……のだろうか?


・金田一耕助ベスト5

迷路荘の惨劇
貸しボート十三号
仮面舞踏会
三つ首塔
白と黒


2004年は横溝正史をよく読んだ、というだけで。何故いまさらなのかは謎(金田一役は石坂浩二がベストなので、稲垣吾郎のテレビドラマ放映とは関係ない)。金田一ものに引き続き、由利麟太郎、三津木俊助もの等も読み進めて、「今年は横溝正史(ほぼ)読破の年に!」と思っていたが、新刊本の読書量が激減しているのに唖然として中断。
 
 
・ 小峰健二
・映画

1 ココロ、オドル。「爆音バージョン」(黒沢清)
2 永遠の語らい(マノエル・デ・オリヴェイラ)
3 オリエンテ・リング(冨永昌敬)
4 嵐を呼ぶ十八人(吉田喜重)
5 ジェリー(ガス・ヴァン・サント)


1、 樋口氏が仕掛けた爆音によるノイズと相俟って「吃音」の映画として屹立する。面喰い、こんな体験二度とできまいと独りごちた。

2、 それぞれ異なる言語を話す大人たちを見つめる少女の視線は、〈他者〉をとらえた眼差しそのものである。〈他者〉とは意味を超えた存在である。大人が発話する言語=意味が過剰なほど多彩であるのとウラハラに少女にとってそれは無意味と化す。この作品は少女の視点で撮られたに違いない。本気でオリヴェイラとは何者なのか疑ってしまうほどの瑞々しい「少女映画」だ。

3、 何が何だか解らないが、物凄い。映像と音で観客を圧倒する。洒落臭くない自主映画なんて存在していいのか。

4、 吉田喜重のレトロスペクティブが催されていたちょうどその時期、日本プロ野球界はスト問題で揺れていた。球界再編とか球団消滅とか正直どうでもよくて、私はこっちの十八人を選んだ。こっちの十八人は掛け値なしに面白い。あっちの十八人より、スピーディーでパワフルでユーモラスだ。球団オーナーも選手会もこの作品を見て娯楽とは何かを勉強したほうがいいとうそぶきたくなるほどの傑作だった。

5、 路なき路を歩く二人のジェリーの声、息、足音、すべてが耳障りだ。しかし、それは不思議なことに決して不快ではない。そしてこの「騒音」は次回作『エレファント』に継続される。拳銃の発射音、悲鳴、カフェテリアの喧しさがそれだ。『ヴァンダの部屋』『EUREKA』と併せて「爆音」で観賞したい作品である。



・others

1『Number PLUS december2004新三都物語』
天才に付き物の悲愴感を微塵にも感じさせない新種のファンタジスタ・ロナウジーニョの研究本。彼は割りと裕福な家庭に育ったらしい。芝の上で練習しても天才は現れる。

2 Xavi チャビ
ロナウジーニョに関連して、バルサの選手。ボランチがゲームを支配することを確信させてくれた選手。バルサの好調はこの選手によるところが大きい。

3 Arien Robben アリエン・ロッベン
サッカー選手をもう一人。チェルシー所属のウイング。ユーロ04の活躍で、オランダに新しい風を吹きこませた。

4「Yohji Yamamoto homme A/W collection」
スカバンド・マッドネスをフィーチャーしたコレクションは圧巻。ドクター・マーティンとのコラボレーションも。その中からイエロー10ホールを購入。

5 パトリシア・ピッチーニ WE ARE FAMILY@原美術館
ただ、生物を模した「塊」がごろんと横たわっていた。それだけでも「感動」できるのだ。
 
 
・ 月永理絵
・映画

ミスティック・リバー(クリント・イーストウッド)
ビッグ・フィッシュ(ティム・バートン)
ターミナル(スティーブン・スピルバーグ)
群盗 第7章(オタール・イオセリアーニ)
東京流れ者(鈴木清順)


2004年公開のもので選んだところすべてアメリカ映画になってしまったので、劇場で初めて見た映画から選んだ。「ミスティック・リバー」と「ビッグ・フィッシュ」は素直に傑作だと言えるけれど、決してすごい作品でもないのに何故か感動してしまったのが「ターミナル」。インド人のおじいさんに号泣した。「東京流れ者」は真っ白な雪が好き。


・美味しかったものベスト5

新潟ラーメン“潤”(長岡)のラーメン
長岡に行ったときに姉に連れて行かれた新潟ラーメンのお店。これを機に食わず嫌いだったラーメンを食べられるようになった、思い出の一品。麺は太めでこってり系。

モンサンクレール(自由が丘)のケーキ
有名店だけあって味は格別。できれば全メニュー制覇を目指したい。

ヨハン(中目黒)のチーズケーキ(ブルーベリー)
目黒川沿いにあるチーズケーキ専門のお店。小さいがかなりのヴォリューム。

金田(自由が丘)のたら汁
たら汁の白子にやられました。

お好み焼き屋“津久井”(鎌倉)の蠣のバター焼き
値段に対して蠣の量がすごい。お店の人が焼いてくれる豆腐焼きも旨い。
 
 
・ 結城秀勇
・映画

1 gerry(ガス・ヴァン・サント)
2 ココロオドル(黒沢清)
3 グリーンデイル(バーナード・シェイキー)
4 まだ楽園(佐向大)
5 鉄西区(ワン・ビン)


ともに産業と技術に依存した芸術である映画のひとつの方向性を、それぞれに極端なやり方で掘り下げているように思う。そのことについて真っ正面から取り上げてみる必要性を感じる


・クリストファー・ラッシュというアメリカの歴史家がその著書の中でこんなことを言っているのだそうだ。「進歩と いう考え方に備わった魅力……、その魅力は最大の弱さでもある。つまりそれは、人 生におけるヒーローという概念を拒絶することだからだ」。ということで、今年のマイヒーロー・ヒロインベスト5。

1 『スパイダーマン2』(スパイダーマン=ピーター・パーカー=トビー・マグワイア)
ベスト・オブ・マイ・ヒーロー。

2 『キャットウーマン』(キャットウーマン=ハル・ベリー イルマ・ヴェップ=マギー・チャン)
スパイダーマンはその移動手段からしてニューヨークという大都会なくしては存在しえないにもかかわらず、実は都市というには程遠い小さなコミュニティのヒーローであるに過ぎない。誰もが彼を知っていて、彼も住民をひとり残らず知っている。それに対して、キャットウーマンは都市そのものである。といいつつも『キャットウーマン』は未見。そもそもヒーロー・ヒロインが身に付けるのはレザーではなくてラバーなのだということをピトフはわかってない。『デアデビル』をみれば明らかなのに。そんなキャットウーマン=ハル・ベリーには目から怪光線は出せない。「イルマはパリそのものだ」。

3 ジョニー・ラモーン
『END OF THE CENTURY』を見ても、絶対こんな人とは友達になりたくないと思った。でも革ジャンにジーパンの無数の「ラモーン」たちはこの人から生まれた。同じファミリーネームを掲げた、しかし決して匿名性に逃げ込むすることのない、ありふれたヒーロー達の起源。

4 イチロー
イチローの安打連続記録とバンビーノの呪いが解けるというふたつの今年のメジャーリーグの大事件は、これまで無意識的な地盤だった伝説との決定的な断絶を思い知らせる。 なんにしろ、今年のイチローとジョン・フルシアンテにはもはや努力の積み重ねというレヴェルではない圧倒的な物量にたいして賞賛を与えないといけない

5 田臥勇太
身長はないが代わりにスピードがある、とかそんなことはどうでもいい。NBAの選手はみんな早くてでかい。能力の問題ではなく、 田臥に科せられているのは存在しつづけることだ。「怪物」や「天才」などという存在の仕方についての形容を全部剥ぎ取って、ただ存在しつづけて欲しい。