日仏学院の企画「音楽と映画」の上映『ロシュフォールの恋人たち』を観に行った。すでに何度もビデオで観ているため、あらかじめ知っている通りに映画のシーンは進展していわけだが、今回あらためて一つ発見をした。発見というほどたいしたものではないが、ジーン・ケリーの友達のムッシュ・ダム氏の楽器店にswingle
singersのレコードが飾ってあったこと。
このswingle singers、最近購入した小西康陽監修の地中海音楽コンピレーションCDにも収録されていた。フーガをスキャットで唄っている曲である。ところで、それを聞いたときいかにも小西康陽的であるというような感覚をおぼえたのだったが、今思えばこのいかにも小西という感覚についての作業というのが、東京90年代の特集だったのだろうか、とふと映画を観ながら考えてしまった。いまとなって対象化が難しいとい云々えるほど原稿を書いたりといった作業を自分はできなかったわけだが、ただ今日『ロシュフォールの恋人たち』を改めて観にいき、セットの中を自在に動き回るカメラに写されたおとぎ話のようなストーリーの映画を観たことによって「東京」と小西康陽の存在を改めて強く感じた様な気がする。
帰り道、あまりの小西の存在感のせいか「スカにスカなし」という小西の言葉をふと思い出してしまった。普段絶対に観に行かないようなレゲエの音楽映画を観に行き、退屈に映画を観ながら、明日の『ノエルの一日』と『コードネームはサシャ』について思いを巡らせた。
志賀正臣