カンヌ国際映画祭報告2012 vol.03 5月19日(土)

本日はコンペティション部門からスタート。日本でも劇場公開された『ゴモラ』の監督、マッテオ・ガローネ『Reality』。リアリティ・ショーをきっかけに、見られることに取り憑かれる男の話ではあるが、そのオブセッションが余りにも緩やかで、何となくさっぱりしている。

続けてコンペ作品、Ulrich Seidai『Paradies:Libre』を見ようとするも、満員。毎日発行される星取表の評判はいまいちなものの、シネマテーク・フランセーズのプログラムディレクター、ジャン=フランソワ•ロジェに勧められたから見たかったのに… めげずにブランドン•クローネンバーグ『Arrival』に挑戦するが、時すでに遅し。17時の上映まで、プレスルームで情報収集をする。

 

次は「批評家週間」へ。会場入口でカイエの編集長、ステファン•ドロームに挨拶。「面白い作品あった?」と聞くも、「う〜ん」と、ちょっと渋い顔(笑)。今日の2本目は、Meni Yaeshによる処女長編『God's neighbors』

ユダヤ教の教義のもと、3人の若者が、それに背く輩をひたすらボコボコにしていく。ある日、主人公は恋に落ち、彼女と信仰の間で苦悶する。物語は稚拙だし、作品において重要な暴力シーンにまったく力がない。かなり微妙……途中退席者が続出。

 

監督週間の特別上映枠、ラウル•ルイス『La noche de Enfrente』は、どうしても見たかったので、会場向かいにあるカフェでご飯を食べながら待機。様子を見ながら、一時間前に列に並んでなんとか入場。会場内には、本作のプロデューサーではないが、長い間ラウル•ルイスとタッグを組んできたパウロ•ブランコ、カプリッチのティエリー•ルナスの姿もあった。

死期が近づいている男の生きた3つの時代を複雑に交錯させていく。合成で歪なまでに嵌め込まれたイメージ、消失した遠近感、たひたび挿入されるファンタスティックなイメージ……ラウル•ルイスを彩るモティーフに溢れている。自身で完成させた作品としては遺作であるからこそ、死へ向かうまでの道のりが主題になっていることが興味深い。物語が複雑でわからなかったので、フランス人に聞いたら「俺もわかんないし」と言われた。

4本目は深夜上映、コンペティション作品の公式上映の会場Grand lumièreにて、ダリオ•アルジェント『ドラキュラ』を3Dで。

飛び出す目玉、吹き出る血のインパクトで何とか寝ずに最後まで見れたものの、特に驚くべき要素はなし……。帰宅は深夜3時過ぎ。