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February 9, 2024

梅田哲也展「待ってここ好きなとこなんだ / wait this is my favorite part」
山田愛莉

 最近私は日記を書き始めた。日記に書くことで、私の記憶は蓄積される。そして、数日前または数か月前の日記を読むと、私は当時の記憶を取り戻したかのような気分になる。日記は、私の存在の連続性を保証してくれるかのような安心感を与えてくれる。そんなとき、福尾匠さんの日記を題材にした授業を受け始めた。一番初めの授業から、私の日記観は崩れ落ちた。日々を連続的に生きる私が、分散的で不連続な私を生産することが日記な...全文を読む ≫

投稿者 nobodymag : 1:23 PM

August 9, 2022

『Underground』小田香
三浦光彦

 札幌の地下歩道が、それを初めて見る人たちにどこか無機質で、他の都市の地下空間と違った印象を与えるとしたら、それはその直線性と無時間性によるものかもしれない。この空間は、例えば渋谷の地下のように電車の乗り換えを主たる目的とするスペースというよりは、冬の間の人々の移動の負担を減らす目的も兼ねているため、札幌駅からすすきのに至るまでの全長1900mにもなる通路が一直線に続いており、札幌の碁盤の目状の道...全文を読む ≫

投稿者 nobodymag : 12:54 PM

May 19, 2022

『too old to camp』只石博紀+杉本拓
鈴木並木

 冒頭、カメラは地面に対して90度になったまま。ごつごつした大小の岩が点在する川原で、何人かの男女がスズランテープをひっぱって地面に図形を描いたり、棒で岩を叩いたりするパフォーマンスをおこなっている。昆布状の太い紐だか布だかが束ねられた、神社で使う御幣のようなものも出てくる。カメラは無造作に運ばれ、演者たちがフレームに入っていようがいまいが、かまわずに回り続け、不意に地面に置かれてはピンボケの地表...全文を読む ≫

投稿者 nobodymag : 4:30 PM

March 31, 2022

『憧れの地』アピチャッポン・ウィーラセタクン
三浦光彦

 札幌市の中心部、JR札幌駅から大通公園を経て、歓楽街すすきのへ至るまでの道には、冬に地上に雪が積もった際も人々が安全かつ気軽に街へ出歩けるよう長い地下通路が整備されている。ジャミロクワイの大ヒット曲"Virtual Insanity"が、この地下歩道空間に着想を得ていたことが数年前SNS上で少し話題になったが、札幌にかれこれ6年間住み続けている筆者にとっても、雪がしんしんと降り積もる地上には誰一...全文を読む ≫

投稿者 nobodymag : 12:54 PM

November 5, 2021

第25回アートフィルム・フェスティバル 小特集「出光真子の実験映画とビデオ・アート」
鈴木並木

TIFFとフィルメックスの同時開催を横目に見つつ名古屋に向かい、愛知芸術文化センターの第25回アートフィルム・フェスティバルへ。この上映会はすべて無料なので、何本か見ると往復のバス代(早めに予約したので片道2350円)の元は取れる計算。 今回は「特集 映画の声を聴く」と題して、これまで製作された同フェスティバルのオリジナル作品(草野なつか『王国(あるいはその家について)』や小森はるか『空に聞く』な...全文を読む ≫

投稿者 nobodymag : 4:29 AM

April 12, 2020

《キューピッドの石膏像のある静物》ポール・セザンヌ 
橋爪大輔

 昨年、東京都美術館で開催された「コートールド美術館展」(本展は神戸市立博物館へ巡回する予定だが、4/12現在、開幕は延期されている)にてポール・セザンヌの絵画を10点ほど目にした。なかでも特に見入ってしまったのは《キューピッドの石膏像のある静物》という1895年頃の油彩画である。カンヴァスを縦に二分する画中のキューピッドは、そのモデルとなった石膏像に比べて、脚が細く、顔の割合が小さくなり、プロポ...全文を読む ≫

投稿者 nobodymag : 8:00 PM

February 15, 2020

『いま、ついに!』ベン・リヴァース
結城秀勇

 休日の午後、スクリーンに映し出された16mmモノクロフィルムで撮影されたナマケモノの姿に、子供たちは「目がぱっちりしててかわいいね」「ツメがかわいいね」などと口々に言っていた。たしかにかわいい。しかし、そんな子供たちも作品に飽きて部屋を出て行った頃、あんなに意外とぱっちりしていたはずのナマケモノの目は、いつのまにか目蓋の下に隠れ、目の周りの黒いクマにすっかり埋もれてしまっている。そしてその頃には...全文を読む ≫

投稿者 nobodymag : 12:26 AM

September 24, 2019

『旅館アポリア』ホー・ツーニェン@あいちトリエンナーレ2019
隈元博樹

 展示会場である愛知県豊田市の「喜楽亭」は、明治時代後期からつづいた料亭旅館であり、大正末期を代表する町屋建築として知られている。戦前は養蚕や製紙業、戦後は自動車産業と深く結び付く要人のための社交場だったらしいが、戦中は神風特攻部隊である「草薙隊」の若者たちが同市の伊保原飛行場から沖縄戦へと出撃する最後の夜に宿泊した場所でもあったという。現存する建物は1983年に復元移築されたものだが、シンガポー...全文を読む ≫

投稿者 nobodymag : 7:05 PM

April 29, 2019

「次元のあいだ/Between Dimensions」石場文子
橋爪大輔

 何枚もの写真が壁にかけられている。ある1枚の写真には、物干し竿にかけられたピンチハンガーが挟む、靴下やハンカチーフが記録されている。このような日常的光景を写した《Laundry #6》には、靴下が黒く縁取られていること以外、何ら変わったところは見受けられない。翻って、一般的な写真に存在する客観性が、ここでは薄められている、ともいえるだろう。本作は石場文子によって制作された。彼女は、物を黒く縁取る...全文を読む ≫

投稿者 nobodymag : 5:02 PM

March 30, 2019

三宅唱+YCAM「ワールドツアー」@第11回恵比寿映像祭 三宅唱インタビュー

スペースツアー  3月30日より最新長編『ワイルドツアー』が公開される三宅唱。『ワイルドツアー』と同じく山口情報芸術センター(通称「YCAM〔ワイカム〕」)との共同制作から生まれたインスタレーション「ワールドツアー」が2月8日〜24日に開催された第11回恵比寿映像祭「トランスポジション 変わる術」にて展示されていた。両者には劇映画とインスタレーションという違いはあれど、互いに重なり合う要素があり、...全文を読む ≫

投稿者 nobodymag : 10:11 AM

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