journal

メイン

<< previous next >>  1  |  2  |  3  |  4  |  5  |  6  |  7  |  8  |  9  |  10  |  11  |  12  |  13  |  14  |  15  |  16  |  17  |  18  |  19  |  20  |  21  |  22  |  23  |  24  | all

October 14, 2009

『無印ニッポン──20世紀消費社会の終焉』堤清二、三浦展
梅本洋一

 辻井喬名義の小説は読んでいないけれども、セゾン・グループの総帥を退任してからの堤清二の発言は本当に興味深い。前に上野千鶴子との対談本を採り上げたことがあるが、今回は、『下流社会』の三浦展だ。上野も三浦もパルコ出身といってもいいから、当時は「天上人」(三浦の表現)だったにせよ、セゾン・グループは、確かに多くの人材を輩出している(もちろん居なくなっちゃった人もたくさんいるけど)。  三浦展が書いたこ...全文を読む ≫

投稿者 nobodymag : 12:09 AM

August 14, 2009

『シャルロット・ペリアン自伝』北代美和子訳
梅本洋一

 「創造の人生」という原題のシャルロット・ペリアンの長大な自伝を読み終えた。上下2段組で450ページ近い長さも、96歳で1999年に亡くなった女性の人生ならば当然のことだ。今から10年以上前──つまり、まだ彼女が存命中に、新宿のOZONEで開催された彼女の個展のとき、モニターには彼女のインタヴューが投影されていた。まだまだ元気そうだった。彼女は20世紀の全体をほぼ走りきった。その膨大な仕事には、L...全文を読む ≫

投稿者 nobodymag : 11:23 PM

July 22, 2009

『麻薬3号』古川卓巳
結城秀勇

 海。反対側には山。国鉄の機関車が走り過ぎる神戸駅からタクシーに乗って繁華街を通り過ぎると、傾いたトタン屋根が複雑に入り組んだドヤ街がある。狭い路地に南田洋子が足を踏み入れたとたん、まだ陽も高い時間帯だというのに画面の面積の約半分を奇妙な幾何学模様を形成する影が占領し、それが昼下がりの強い陽光に照らし出された空間に対してくっきりとしたコントラストを生む。立ち並ぶ建物のうちのひとつの中に彼女が入り込...全文を読む ≫

投稿者 nobodymag : 4:24 PM

July 21, 2009

『ニッポンの思想』佐々木敦
梅本洋一

 仲俣暁生さんのブログを読んでいたら、「カッコいいのはもう終わりでカワイイが誉め言葉だ」みたいなことが書いてあった。『思想地図』の「アーキテクチャー」特集を読んでいたら、冒頭のシンポジウムの参加者たちの発言に、磯崎新と浅田彰以外、信じがたく大きな違和感を持ってしまった。どうしてなのだろう、とずっと考えていた。カワイクなくてもカッコイイ方がいいじゃん。現状を捉えるにしても、その現状の捉え方が、ぼくが...全文を読む ≫

投稿者 nobodymag : 8:19 PM

July 2, 2009

『それでも恋するバルセロナ』ウディ・アレン
茂木恵介

 ヴァカンスを楽しむために訪れたバルセロナ。季節は7月。紋切型の記号としてちらっと映るガウディやミロ。そして、女性を惑わす赤ワインとスパニッシュ・ギター。それらは、主人公の2人の側に寄り添いつつも物語の流れに絡み付くことなくちらっと映り、次のショットへと切り替わる。おそらく、この映画の中で記号として重要な意味を持つのは彼女達を迎え、そして送り出す空港のエスカレーターだけだろう。空港の入り口から出た...全文を読む ≫

投稿者 nobodymag : 8:37 AM

July 1, 2009

『クリーン』オリヴィエ・アサイヤス
梅本洋一

 エミリー(マギー・チャン)は、いくつもの風景といくつもの音響を通り過ぎなくてはならない。カナダのハミルトンにある煙突から燃えさかる炎が上がる工場を背にした寒々しい川、人々が折り重なるように身を捩る中でマイクの前で多様な音声を絞る人たちのいるライヴハウス、どこでもまったく同じインテリアで、ここがどこだか判らなくなるようなモーテルの一室、売人と買い手が金銭と白い粉を交換する人気のないパーキング、息子...全文を読む ≫

投稿者 nobodymag : 1:00 AM

June 27, 2009

コンフェデレーションカップ09 アメリカ対スペイン 2-0
梅本洋一

 誰でもスペイン対ブラジルの決勝を期待したが、スペインは準決勝でアメリカにまさかの敗退。予選リーグでメンバーを試し試し使ったが、このゲームのスペインは、現時点でのベストメンバー。カシージャス、両センターにプジョルとピケのバルサコンビ、両サイドにセルヒオ・ラモスとカプデビラ、ミッドフィールドにはシャビ・アロンソをアンカーに、セスクとシャビ、左にリエラ、そしてビジャとフェルナンド・トーレス。デルボスケ...全文を読む ≫

投稿者 nobodymag : 3:16 PM

June 26, 2009

『この世界、そして花火』ジム・トンプスン
結城秀勇

 トンプスンの死後にまとめられた未収録作品集の邦訳が出ている。中短編集と呼ぶにはあまりに作品の年代も文体もヴォリュームも様々で、手当たり次第に年代順に書き損じの紙くずの山の中からサルベージされた言葉たち、という印象を受ける。だからだろうか、20代の頃の作品が次第に「セリ・ノワール」 1000冊目を飾る作家の作品群へと変貌を遂げていくさまが、肉体的な速度で体感できる。  1906年生まれで、年齢的に...全文を読む ≫

投稿者 nobodymag : 5:19 PM

June 4, 2009

『持ってゆく歌、置いてゆく歌―不良たちの文学と音楽』大谷能生
梅本洋一

 もっとも旺盛な活動を示している批評家が大谷能生であることは明らかだ。大きな書店に行くと、必ず彼の本が2冊以上平積みにされている。若い批評家──もちろん彼は音楽家でもあるが──の書物が、数ヶ月間に次々に出版されることはわくわくするような体験だ。『散文世界の散漫な散策──二〇世紀批評を読む』(メディア総合研究所)、瀬川昌久との対談本『日本ジャズの誕生』(青土社)、そしてこの『持ってゆく歌、置いてゆく...全文を読む ≫

投稿者 nobodymag : 1:03 AM

June 1, 2009

『久生十蘭短篇選』川崎賢子 編
高木佑介

 1920~30年代についての特集を組んだ「nobody」誌最新号の編集中にも、たびたびその名前が挙がった久生十蘭。といっても気軽に著作を探してみてもどうも在庫切れやら絶版ばかりが目につくし、とはいえ去年から国書刊行会より出版されている少々高価な全集(全11巻になるという)にも手が出せず、さてどうしたものかと考えていた矢先に岩波文庫より短篇集が5月に出たので、これ幸いと購入。定価860円。  本書...全文を読む ≫

投稿者 nobodymag : 5:15 AM

<< previous next >> all |  1  |  2  |  3  |  4  |  5  |  6  |  7  |  8  |  9  |  10  |  11  |  12  |  13  |  14  |  15  |  16  |  17  |  18  |  19  |  20  |  21  |  22  |  23  |  24