journal

メイン

next >>  1  |  2  |  3  |  4  |  5  |  6  |  7  |  8  | all

May 6, 2021

『ラストアフターヌーン』渡邊琢磨
隈元博樹

 防波堤に浮かぶ小型船の手前に、のどかな二人組の姿が映り込んでいる。全体のトーンから察するに、時刻は午後の昼下がりだろうか。しかし、アンダース・エドストロームが撮影したこのジャケットが、アルバムのサウンドを表象する「ラストアフターヌーン」であることに、いささかのためらいを覚えてしまう。それは収録されている「Last Afternoon」を聴いたからであり、さらにはリリースに合わせて渡邊琢磨が制作し...全文を読む ≫

投稿者 nobodymag : 4:22 PM

June 1, 2019

『ECTO』渡邊琢磨
隈元博樹

 客席とスクリーンのあいだに現れた13名の弦楽奏者と、彼らを指揮する渡邊琢磨の姿が捉えられたとき、トーキーシステムの確立前に行われていた劇場型の上映形態をふと夢想する。世界初のトーキー映画が1927年公開の『ジャズ・シンガー』とするならば、それ以前に上映されていた映画はサイレントであり、当時の人々はこのような映画体験を求めて劇場へと足を運んでいたのだろうかと。ただし、客席とのあいだから奏でられるト...全文を読む ≫

投稿者 nobodymag : 4:31 PM

May 14, 2011

『HOSO NOVA』細野晴臣
梅本洋一

 この間、ぼくの家の側でタクシーを待っている高橋幸広を見かけた。そうだ、もうすぐ『HOSO NOVA』の発売だ、とそのとき思った。YMOのつながり。そういえば最近、細野さん、ラジオに出まくり。キャンペーンも飄々とこなしている。細野さんらしい。渋谷を通りかかったので、駅前のTSUTAYAで探したら、もう売り切れ。しょうがないので、タワレコへ。もう最後の2枚ぐらいだった。ジャケットのモノクロの写真もい...全文を読む ≫

投稿者 nobodymag : 10:03 PM

May 6, 2011

イタリア映画祭2011レポート 2011年5月3日 
隈元博樹

Il quinto giorno  午後からのロベルタ・トッレ『キスを叶えて』。ここまでタイトルに「キス」がついてしまえばもはやお手上げである。このフィルムは今年のサンダンス映画祭コンペ部門出品作であり、行方不明になった聖母像の頭部をシチリア・リプリーノに住む美容師見習いの少女が自分の見た夢によってその居場所を発見したことに端を発し、その「奇跡」に便乗して彼女の母親が金稼ぎに奮闘するというあらすじ...全文を読む ≫

投稿者 nobodymag : 12:34 AM

October 21, 2010

長岡輝子追悼
梅本洋一

 池部良についての文章を書いたとき、『早春』での彼と長岡輝子との会話について書いた。そして、今日、新聞の死亡欄に長岡輝子死去の記事を見つける。享年102歳。老衰によるとあった。  一昨年のことだったか、草思社から出ている『長岡輝子四姉妹──美しい年の重ね方』(鈴木美代子著)という本を読んだ。突然、長岡輝子に感心を持ち始めたわけではない。10年近く前からだろうか、亡くなった安堂信也氏から、長岡輝子さ...全文を読む ≫

投稿者 nobodymag : 12:29 AM

June 1, 2010

『_』group_inou
田中竜輔

 タイトルの『_』は正確な表記ではない。ジャケットのデザインを見ればわかるように、その「棒」はどうやら地に突き刺さって斜めに傾いている。さながら「/(スラッシュ)」のようだが、しかしそうではない。これはあくまで『_(アンダーバー)』であるという。『_』とは彼らの名義である「group」と「inou」を繋ぐ、いわば自己言及的な記号である。しかしこの記号がそもそもどのような関係を示すものなのか(たとえ...全文を読む ≫

投稿者 nobodymag : 4:27 PM

February 22, 2010

『リミッツ・オブ・コントロール』ジム・ジャームッシュ
結城秀勇

 吉祥寺バウスシアターで行われている「爆音ナイト傑作選2009」にて。  爆音上映ということで当然期待していたのは、BORISのサウンドトラックでもあるのだが、冒頭イザック・ド・バンコレとアレックス・デスカスとジャン=フランソワ・ステヴナンの3人の対話で、予期していなかった音の位相のありように気づく。アレックス・デスカスの言葉を英語に翻訳して反復するステヴナン。そこでセンターから聞こえてくる彼らの...全文を読む ≫

投稿者 nobodymag : 12:57 AM

January 22, 2010

『アワーミュージック』相対性理論+渋谷慶一郎
田中竜輔

 ピアノ、エレクトリック・ギター/ベース、ドラムス、そして様々な電子音。普段はまったく忘れてしまっていることだが、そもそもの音の大きさが異なる楽器たちがごく「自然」にひとつの楽曲を奏でているということは、本当はものすごく「不自然」なことで、音の増幅を制御する技術が存在しなければ、それら楽器の数を量的に調節するか、もしくは物理的に距離を取るしか、本来その音楽を実現する術はないはずだ。遠く離れた場所か...全文を読む ≫

投稿者 nobodymag : 1:01 AM

December 18, 2009

『ビッチマグネット』舞城王太郎
田中竜輔

 かつて芥川賞候補作『好き好き大好き超愛してる』は、その題名だけで選考委員の東京都知事を大いにうんざりさせたそうだが、ところで都知事は何に「うんざり」したのだろう? 『好き好き大好き超愛してる』という奇抜なフレーズの響きにだろうか。 そうかもしれない、だが、たぶんそうではない。おそらく氏が「うんざり」したのはこのフレーズの構造、つまり<「好き」+「好き」+(「大」+「好き」)+(「超」+「愛してる...全文を読む ≫

投稿者 nobodymag : 2:17 PM

December 10, 2009

『パンドラの匣』冨永昌敬
安田和高

1945年~1946年。といえば、体制が大きく変化し、日本社会が少なからず混乱していた時期であろう。ところが『パンドラの匣』は、1945年~1946年にかけての物語でありながら、そのような混乱とはほとんど無縁である。まるで戦禍を逃れるかのように、混乱した社会を避け、結核を患った主人公は山奥の療養所へと“疎開”していく。そこでは戦後のドタバタなど、どこ吹く風。時間はゆったりと流れていく。そう。これは...全文を読む ≫

投稿者 nobodymag : 5:27 PM

next >> all |  1  |  2  |  3  |  4  |  5  |  6  |  7  |  8