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季刊nobody
34号 2010年10月15日発売

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※オンラインでご購入の方には特典あり。(特典の詳細は公表しておりません!)

季刊ノーバディ34

 映画は誰でも撮れる、作れる。技術が進歩し、その言葉はかなりの妥当性を持つに至っている。だが、そうして生まれた映画作品は、いったいどこで、どのようにして存在し始めるのだろう?
 本誌34号の特集『日本映画の挑発的資料』では様々な日本映画の作り手たちに話を聞いている。そこでは繰り返し「入口」と「出口」が問題になる。作品が完成すること=出口なのではない。生まれ落ちた作品を抱え、人に見せること――つまりは公共性を獲得すること――という出口へと導かねばならない。  そのために私たちはどう振る舞うことが出来るのだろうか?
 一方では国をまたいで作られた作品があり、一方では地方都市から出発する作品があり、また一方では友人に出資を募り生まれようとしている作品がある。夢のある話のように聞こえるかもしれないが、あくまでもこれは入口なのだ。目にするチャンスがなければ、それらの作品はいかにして存在することができるのか?出口は新たな入り口へとつながる。産業としての映画の衰退の中、そのサイクルをどう確保していくのか――。

 アルノー・デプレシャンは、今号に掲載したスタンリー・カヴェルとの対談「映画はなぜ重要か」の中で、映画が公共的なものであるが故に重要だと口にしている。学者から労働者まで、皆等しく「意見を持つ」のだと。
 前号から60ページ以上増えた分量は、私たちが多様な入口と出口を発見した結果とも言える。世界を映す窓としての映画、私たちはその映画に対しての窓として今号を提示したい。
 入口から出口までの道のりになんらかの希望を提示できればと願う。


特集 日本映画のための挑発的資料

青山真治/空族

contents

  • ジャスト・ハッピィ―日本映画のための挑発的資料〈序文〉 松井宏
  • インタヴュー 真利子哲也 いま、話しておきたいこと
  • 最後の商売・連載第1回 三宅唱
  • インタヴュー 空族[富田克也・相澤虎之助] その先の光景
  • インタヴュー 青山真治 いま、こんなことを模索している
  • 加藤直輝×佐向大×松田広子 日本映画の新たな胎動 『アブラクサスの祭』
  • インタヴュー 吉武美知子「映画の国際感覚」
  • 映画を「大人のおもちゃ」にしないために
  • レヴュー イエローキッド 渡辺進也
  • レヴュー やくたたず 後閑広
  • レヴュー 国道20 号線 結城秀勇
  • レヴュー アブラクサスの祭 高木佑介
  • レヴュー 夜光 結城秀勇
  • レヴュー 川の底からこんにちは 高木佑介
  • レヴュー ケンタとジュンとカヨちゃんの国 田中竜輔
  • レヴュー アウトレイジ 渡辺進也
  • 映画の公共性を巡って。

特集 アルノー・デプレシャン「クリスマス・ストーリー」

マチュー・アマルリック
  • インタヴュー アルノー・デプレシャン 賑やかな奇蹟
  • インタヴュー マチュー・アマルリック 罪の意識から、登場人物を解き放つために
  • インタヴュー アンヌ・コンシニ 少女である母親
  • われらはみな影法師 結城秀勇
  • スタンリー・カヴェル×アルノー・デプレシャン 映画はなぜ重要なのか?

特集 乱暴と待機 冨永昌敬

  • インタヴュー 冨永昌敬 「悪あがき」から「最短距離」へ
  • インタヴュー 月永雄太 撮影によって時間を圧縮すること、そこに興味があるんです
  • 偽装と好機(乱暴に待機。) 結城秀勇

特集 ジャンヌ・バリバール

  • インタヴュー ジャンヌ・バリバール 芸術において私を感動させるのはまず何よりも〈即興〉です
  • ジャンヌ・バリバール×ロドルフ・ビュルジェ×大谷能生 最後の強盗団たちとの対話
  • ファム・ファタールの快楽と孤独 渡邊未帆

インタヴュー

村上淳
  • インタヴュー 村上淳 映画の声が聞こえはじめる
  • インタヴュー ホセ・ルイス・ゲリン 失われた時間を求めて
  • 〈街〉としてのシルビア、代数としての〈シルビア〉 荻野洋一
  • インタヴュー 山本タカアキ 音の演出と意識
  • 技術とは自ら創るものである 渡辺進也

Cinema Around US(レヴュー)

  • ナイト&デイ ジェームズ・マンゴールド 安田和高
  • エクスペンダブルズ シルヴェスター・スタローン 千浦僚
  • クロッシング アントワン・フークア 黒岩幹子
  • トラブル・イン・ハリウッド バリー・レヴィンソン 高木佑介
  • ブロンド少女は過激に美しく マノエル・デ・オリヴェイラ 廣瀬純
  • スプリング・フィーバー ロウ・イエ 田中竜輔
  • トイ・ストーリー3 リー・アンクリッチ 結城秀勇

連載

  • 骨伝導音楽奇譚・第2回デューク・エリントン「マネー・ジャングル」 冨永昌敬
  • 世界のすべてを獲得するために・第1回 小出豊
  • ロケーション・第2回「珈琲時光」 渡辺進也
  • 社会派見学・第5回「神保町シアター」
  • 小さな音楽volume.1「みんなのうた」 圷尚(SMALL MUSIC)
寄稿(敬称略) 圷尚 荻野洋一 小出豊 黒岩幹子 須藤健太郎 千浦僚 冨永昌敬 廣瀬純 三宅唱 安田和高 渡邊未帆
編集協力 今村寛 梅本洋一 小河原あや 大谷能生 坂本安美 佐藤央 青野小春 高野勢子 田村尚子 濱口竜介 福崎裕子 桝井孝則  吉川正文 アニープラネット アルゴ・ピクチャーズ アルシネテラン  映画芸術 オフィス・シロウズ シネマトリックス 東京藝術大学 東京日仏学院 ドリーム・アーツ バンダイビジュアル ビターズエンド ファントム・フィルム フランス映画社 フリーマン・オフィス ムヴィオラ メランコフ メディア・ファクトリー ユーロスペース リトルモア ロサ映画社 DECADE ESPRIT P2 PFF パートナーズ SMALL MUSIC spotted productions UPLINK VALERIA