映画は誰でも撮れる、作れる。技術が進歩し、その言葉はかなりの妥当性を持つに至っている。だが、そうして生まれた映画作品は、いったいどこで、どのようにして存在し始めるのだろう?
本誌34号の特集『日本映画の挑発的資料』では様々な日本映画の作り手たちに話を聞いている。そこでは繰り返し「入口」と「出口」が問題になる。作品が完成すること=出口なのではない。生まれ落ちた作品を抱え、人に見せること――つまりは公共性を獲得すること――という出口へと導かねばならない。
そのために私たちはどう振る舞うことが出来るのだろうか?
一方では国をまたいで作られた作品があり、一方では地方都市から出発する作品があり、また一方では友人に出資を募り生まれようとしている作品がある。夢のある話のように聞こえるかもしれないが、あくまでもこれは入口なのだ。目にするチャンスがなければ、それらの作品はいかにして存在することができるのか?出口は新たな入り口へとつながる。産業としての映画の衰退の中、そのサイクルをどう確保していくのか――。
アルノー・デプレシャンは、今号に掲載したスタンリー・カヴェルとの対談「映画はなぜ重要か」の中で、映画が公共的なものであるが故に重要だと口にしている。学者から労働者まで、皆等しく「意見を持つ」のだと。
前号から60ページ以上増えた分量は、私たちが多様な入口と出口を発見した結果とも言える。世界を映す窓としての映画、私たちはその映画に対しての窓として今号を提示したい。
入口から出口までの道のりになんらかの希望を提示できればと願う。
寄稿(敬称略) | 圷尚 荻野洋一 小出豊 黒岩幹子 須藤健太郎 千浦僚 冨永昌敬 廣瀬純 三宅唱 安田和高 渡邊未帆 |
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編集協力 | 今村寛 梅本洋一 小河原あや 大谷能生 坂本安美 佐藤央 青野小春 高野勢子 田村尚子 濱口竜介 福崎裕子 桝井孝則 吉川正文 アニープラネット アルゴ・ピクチャーズ アルシネテラン 映画芸術 オフィス・シロウズ シネマトリックス 東京藝術大学 東京日仏学院 ドリーム・アーツ バンダイビジュアル ビターズエンド ファントム・フィルム フランス映画社 フリーマン・オフィス ムヴィオラ メランコフ メディア・ファクトリー ユーロスペース リトルモア ロサ映画社 DECADE ESPRIT P2 PFF パートナーズ SMALL MUSIC spotted productions UPLINK VALERIA |