関東学院対同志社、早稲田対法政を最後にラグビー大学選手権2回戦が終了した。同志社が明治、帝京を連覇したほか番狂わせはない。だがその同志社も関東学院に完敗。12トライの猛攻を受けた。対する早稲田は、法政に19-12の辛勝。曽我部を欠いた早明戦から早稲田はゲームプランにもたつきが出て、昨年のようなアルティメイト・クラッシュを一向に見せられない。
準決勝は関東学院対法政、早稲田対同志社とマッチアップになった。関東学院は前半こそ法政のディフェンスに苦労するだろうが、後半になればFWの差で法政を突き放すだろう。早稲田は? この2回戦の3ゲームを通じて同じことだが、接点の激しさをもう2倍、ミスを2分の1にしなければ、関東学院はおろか同志社にも危ない。曽我部の故障以外にも早稲田の不振の原因はいくつかある。まず接点でのスピードのなさ。上村、羽生らの卒業で、フランカー陣のボールへの寄りが一歩遅いこと。ついでSHの後藤の球離れが悪いこと。後藤個人に、去年の田原以上の運動能力が備わっているためか、パスマシーンに徹する凡庸さが足りない。すべてを太田尾に託すくらいの機械に徹する凡庸さが彼には必要だろう。そして、何よりも──このことは誰よりも清宮が理解していると思うが──センター。ハードタックラーがひとり欲しい。2回戦では多様な人材を試し、結局、池上=今村に落ち着きそうだが、今村の才能は認めるし、池上のクラッシュも認めるが、前へ出るタックルがこのポジションには不可欠だ。そして、もう1点。蹴れるFBが欲しい。落ち着いたゲームメイクのできるFBはいないのか? 内藤慎平のアタックとディフェンスは買うが、キックがない。
同志社には、キックを封印してパスプレイに徹すること。5トライはいけそうだ。そして、3トライ以下に押さえること。だが、関東学院に勝つには、キックによるゲームメイクも絶対に必要になってくる。関東学院の完成度は去年よりもずっと高い。だが、FWで崩して山本貢でトライするパターンのラグビーはジャパンの取る道ではない。つまり、今年くらい、早稲田の勝利が必要な年はないのだ。フランスよりもワイドなラインでトライを取り、そして勝つ。それがジャパン・ラグビーの将来像と重層されるはずだ。
(梅本洋一)
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