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April 29, 2004

サッカー チェコ対日本

[ book , sports ]

一応ベストメンバーのチェコだが、6月からのユーロに備えて怪我が一番怖いのは当然だ。中盤のプレッシャーが弱い。左サイドのアレックスが簡単にサイドラインに沿って駆け上がり、小野が自在にパスを出す。ネドヴェドには稲本がマーク。スペースがあれば日本代表もそれなりにプレーができる。玉田、久保にもボールが入る。
田中誠の入った3バックは、茶野がときどき置いていかれるが安定している。ハンガリー戦もそうだったが、このチームには3バックが向いているようだ。両サイドがある程度上がっていられるから、サイドを割られる心配が少ない。
なんと言っても小野と稲本の2ヴォランチがいい。斜めに距離をとって並び、空いた中盤を支配していた。久保のスーパーゴールが生まれたのはそんなときだ。玉田から右にスルーパスが出て、右足で受けた久保は、大きく左にフェイント。シュートコースを開けて、ゴールネットにキャノンシュート。チェコのディフェンダーの情報不足だ。久保の左を切ろうとしていない。
ここからチェコの怒濤の反撃が開始される。前半は何とか押さえきったものの、後半にはやられるだろうという予感がした。
案の定、後半は自陣に釘付け。まったくボールが拾えない。チェコの攻撃にディフェンス・ラインがズルズル下がるだけで、クリアが精一杯。ヴォランチも、両サイドも、バックラインに吸収されてしまい、8人で守り、2人で攻撃するパターン。久保と玉田にボールが入っても、前半にように藤田と小野が絡むようにパスができない。そして、なによりもトボルスキーにやられっぱなしのアレックスが消えている。
でもこのゲームはついている。楢崎が単に当たっている。スーパーセーヴの連続。モニター脇の時計表示が後半44分にならないうちにホイッスル。これもついている。
日本代表には「自信」になったゲームだろう。チェコには何も残らないゲームになった。中田、中村、高原が怪我で鮮烈を離れていることでもわかるが、各国リーグも終盤を迎え、ほとんどが外国でプレーするチェコのレギュラー陣は疲れている。小野は、今シーズン前半を怪我で棒に振り、稲本はフラムのベンチウォーマーだ。コンディションは二人とも良さそうだった。いつも頑張るネドヴェドは同じように頑張ったが、チェコの他のメンバーのコンディションは良くない。おそらくこのゲームが最低の出来でユーロではこんなことはないだろう。日本代表としては、小野、稲本、久保は完全にレギュラーをもぎ取り、頑固なジーコもこれからは3バックにもっと積極的になるだろう。ジーコが監督になってからも良いゲーム(ほとんどないが)は全部3バックだったような気がする。

梅本洋一