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August 12, 2004

2004トライネイションズ ワラビーズ対オールブラックス

[ cinema , sports ]

3カ国がひとあたりし、ホームとアウェイが入れ替わる2周目の第一戦。初戦を7-16で敗れたワラビーズがどう立て直すか? オールブラックスのグラアム・ヘンリーの戦術は、その成熟度が上がっているのか? このゲームへの興味は尽きないものがあった。
結果は、23-18でワラビーズのリヴェンジ。興味深いのはその内容だ。グラアム・ヘンリーの戦術の主なるものはふたつ。ひとつは徹底したFW勝負。スペンサーのフレアに頼らず、人数をかけてもボールをキープし、攻め続けるというもの。もうひとつはフラットライン。ヘンリーがかつて指揮したウェールズで成功し、一時期は神戸製鋼もまねた戦術。対するワラビーズのエディ・ジョーンズの戦術は?目新しいものはない。多くのメンバーはW杯準優勝メンバー。戦術は、もう整っている。習熟度を上げていくことと、状況に応じた判断をできるようにすること。スコア以上にワラビーズの完勝だった。
ヘンリーのふたつの戦術はともに瓦解しているように見えた。FW戦では互角以下の戦い。目立つのは、常にフィル・ウォーとジョージ・スミスのワラビーズの両フランカー。何度もターンオーヴァーを許した。圧勝できないFWに対応するフラットラインのBK陣はタックルの餌食だ。幸いPGが決まり、スコアこそ中盤までリードしていたが、次第に押し込まれ、トライを献上してからは、ワラビーズのペース。スペンサーは退き、マーテンス(昔の名前だよね)が交代出場したが、一度傾いた流れを取り戻すことは出来なかった。
一方、エディ・ジョーンズの戦術はことごとく成功した。FWで五分なら勝てると踏んだのだろう。ロートロック、レイサム、ラーカムを中心に、ラインの緩急、深さ等を自在にコントロールして、見事なプレーを見せてくれた。
フラットラインで、ハウレット、ロコゾコの快走を見ることは不可能だ。なにせスペースがない。スペンサーのフレアを見せるにもスペースがない。フランスが見せるフラット&ワイドしかすでにフラットラインには可能性がない。対するワラビーズのやや深いラインが何度もオールブラックス・ディフェンスを打ち破ってラインブレイクしたことで、フラットラインの可能性の無さが逆に浮き彫りにされていた。

梅本洋一