W杯アジア1次予選 オマーン対日本
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ジーコが言うとおり「W杯ではよいサッカーをすることよりも勝つことの方が重要だ」。然り。多くの記事にあるとおり、日本はアジア・カップ以来落ち着いていて、1対1にも強くなった。然り。このゲームの解説の風間八宏が言う「あわてないでゲームを組み立て、最終ラインで踏みとどまっている」。然り。
どれも「然り」なのだし、アウェイ・ゲームで、1対0で勝利を収めれば御の字というのも本当なのだが、このレヴェルの相手で、この程度の勝ち方ではやはり納得できない。アルティメイト・クラッシュとまでは行かないまでも、納得の勝利を収めることはできないのだろうか? このレヴェルなら勝てるというのはアジア・カップからすでに出ている結論だ。この程度の相手に足下をすくわれるようなら、W杯など、参加することにしか意義はない。
せっかくボールをキープしても、次にパスする味方を、ボールを足下に置いてゆっくりと探すようなフットボールは退屈だ。なるほど「勝つ」ことは、それだけでも意義があるけれども、深夜の闇を一気に切り裂く閃光のようなフットボールは、結局、このチームからは期待できないのだ、という諦念が、緩い深夜の時間にまとわりつくだけだ。伸二のパスが受け手のないまま相手ゴール・ラインを割るのを、3人のディフェンダーに囲まれた俊輔が、それでもボールをキープしつつバック・パスするターゲットを探し続ける姿を、バックチャージを受けて常に苦痛に顔を歪めるばかりの鈴木隆治の姿を見つめていることは、フットボールを見る快楽ではないのだ。
アジア・カップでこのレヴェルの相手には勝てることが分かった。この予選を、本戦への予行演習として、来るべきフットボールのための実験を行う場にすることはできないだろうか、それもトゥルシエのような「ラボラトワール」という名を冠した選手たちの組み合わせ工場ではなく、新たなコンセプトのフットボールを開拓する場にすることはできないだろうか?