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October 25, 2004

マンチェスター・ユナイティド対アーセナル

[ cinema , sports ]

待望の10月24日。プレミアシップの前半戦の大一番を迎える。だが、この種のゲームによくあるように、軽快にゲームが展開することはなかった。結果は2-0でマンU。アーセナルのプレミアム無敗記録は49で止まった。
特にマンUの選手たちのこのゲームに寄せる想いは強かった。ここで敗れれば今期のプレミアシップは絶望。ライヴァルチームに完全に水をあけられることになるからだ。つまり、絶対、負けないことが条件。つまり、中盤からの激しいプレッシング、つまり、まずはディフェンス。ネヴィル兄弟がコールにレジェスにヴィーラに激しくタックルに行く。バックラインもリオ・ファーディナンドを中心にアンリにスペースを与えないディフェンス。もちろん昨年の同じカードでの乱闘騒ぎが観客たちの頭にあるだろう。だが、このゲームでは、まず何よりもマンUの選手たちの守備意識の高さを指摘すべきだろう。ガツガツ来られると、アーセナルは持ち前のパススピードが落ち、展開が少しずつ狂っていく。重々しいゲームになったのは、そうしたマンUの選手たちの守備が原因だろう。勝つよりもまず負けないためにどうするのか。マンUの戦略はそれだけだ。
プレッシングをかいくぐってパスをつなぐアーセナルだが、3本もパスが繋がれば、相手のプレスでどこかが遅延する。その瞬間、リオを中心にバックラインがしっかりポジショニングし、仕方なくローレン(リュングベリ)、コール(レジェス)はクロスを上げることを選択せざるを得ない。しっかり守ったマンUに対してアーセナルは人数が足りないし、空中戦になるとリオとシルヴェストルの勝ちだ。クロスが跳ね返されると、今度は個人技。アンリ、ベルカンプが突破を図ろうとするが、2人、3人と彼らを取り囲み、突破を許さない。アーセナルのポゼッションは高いが、そこに速度が伴わない。レジェス、リュングベリのカウンターにはファウルも辞さない。
後半、キャンベルの足がルーニーを襲ったとの判定──本当は触れていなかった──でファン・ニステルローイのPK。時間が経ち、アーセナルが前掛かりになったところを途中出場のアラン・スミスとルーニーのコンビネーションで得点。ゲームはそれで終わりだ。
ここ1週間アーセナルのゲームを見ていると、このチームの長所と欠点が見事に浮かび上がってくる。中盤にスペースを少しでも与えられれば、スピードあるファンタスティックなアタックが見られる(対ヴィラ戦)が、中盤から強烈なプレスがかかる(対パナシナイコス戦、マンU戦)と、どこかでパスの精度が落ちてくる(当たり前のことだ)し、スピードがなくなる(これも当然)。どう打開するのか? レヴェルの高いチームに当たれば、相手もその長所を徹底して潰しにくるに決まっている。それに極めて浅いラインが保たれた上に、100パーセント信頼できないキーパーがいるから、失点はするだろう。だからもっと点を取るしかない。そのために解決策はふたつある。ひとつは、少し引き気味に布陣して、両サイドの速度を活かし、カウンターで活路を見いだすやり方。だが、これは、弱いチームが強いチームに対応する方法だ。あまりアーセナルには向かいないかもしれない。それにせっかくのポゼッションを放棄することにもなる。他のひとつは、球離れを意識的により早く──ヴィーラ、ベルカンプでもためを作らない──して、相手ディフェンスが対応する以前に、ワンタッチでパスを繋ぎ、ペナルティエリア周辺でワン、トゥーを使って攻める。早くボールを動かしてスペースを捏造する。それができれば、チャンピオンズ・リーグでこれから当たるだろう、セリエAの強豪を突き放すこともできるだろう。連勝記録はもう過去のことだ。ワンランク上のチームを目指さねばならない。そこには未知のフットボールがある。

梅本洋一