ラグビー テストマッチ
スコットランド対ジャパン
[ sports ]
IRB(インターナショナル・ラグビー・ボード)もインターナショナル・マッチデイを設け、13日の夜はヨーロッパ各地で「テストマッチ」が開催された。念のために書いておくと、ラグビーの場合、「テストマッチ」とはテストのためのゲームではない。対抗戦の伝統をふまえた、国際Aマッチのことを「テストマッチ」と呼んでいる。だから、こうしたゲームは、両チームとも来るべき何かのために戦うのではなく、そのゲームに勝利を収めるために戦う。否、それしかテストマッチに目的はない。
それにしてもジャパンは、散々なゲームをし、「テストマッチ」というラグビーにふさわしい伝統を台無しにした。100-8(トライ数15-1)という結果は、目を覆いたくなるばかりではなく、今後、このようなゲームメイクは無駄であることを雄弁に示している。去年のW杯の同じカードが33-12(?)だったと思うが、それはまだ「テストマッチ」の許容範囲だろう。だが92点差のゲームなど、意味がない。スコットランドにとってはまあタックルの練習程度のものだったろうし、ジャパンにとってみれば、去年から今年にかけての代表チームの強化の方法が完全に間違っていたことを示すだけだ。どんなことがあっても、たとえ相手がワラビーズであれイングランドであれ、テストマッチの点差というのは30点以内であるべきだし、そのゲームを見るために人はスタジアムに足を運び、深夜から早朝にかけてのライヴの中継を目を擦りながら見るのだ。
私は、1977年9月に国立競技場で見た同じカードの74-9という結果に嘆息したことがあるし、同じ場所で87年10月に行われた対オールブラックス戦にやはり100点近く差をつけられたのを見た。そして南アフリカのW杯でオールブラックスに145点取られたゲームをテレビで見た。それらのゲームは単に恥ずかしいゲームだ。平尾を同じことを翌年のスコットランドで繰り返し、もっとも信任の厚かったシギー金野に首を切られた。平尾を溺愛していたが、少なくともイギリス育ちの金野専務理事には「テストマッチ」の重みが理解できた。
来週に対ルーマニア、再来週に対ウェールズ戦を控えた遠征中ではあるが、日比野ラグビー協会会長代行は、とりあえず勝田強化委員長と萩本監督を更迭すべきだろう。あるいは、ルーマニア協会とウェールズ協会に違約金を払い、このチームを帰国させるべきだ。この信じがたい敗戦の原因は、選手たちにはない。彼らは彼らなりに一生懸命やっているし、大久保、箕内、霜村の頑張りには頭が下がるが、どのようにディフェンスをし、どのようにアタックをするのかというチームの基本が、このチームにはまったくない。ベイシックもディシプリンもないグループはチームとは呼べない。曰く、怪我で辞退者が相次いだ、曰く合宿の時間が短い、曰く……。言い訳はいらない。もし勝田と萩本にコーチとしての良心が1パーセントでも残っているなら、辞任した方がこれらかのラグビーのためだ。