ラグビー
早明戦
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「伝統の」という接頭辞が不似合いなほど早稲田の優勢が語られる今年の早明戦。だって平均体重が早稲田の方が上の早明戦などほとんど記憶にない。どこをとっても早稲田有利。「伝統の」早明戦だから下馬評とは異なる、というのも、近年は満員にならないこの試合の宣伝でしかない。
でも早稲田は軽かった。プレーが軽い。プレーの選択についての思考が軽い。有利なのは事実で、FWの差は歴然。アルティメイト・クラッシュもこれまた当然。強すぎると困る。強いと言っても高々学生のチームだ。軽いこともあるし、もまれ競ったゲームをしてこないチームにはありがちのことだ。ブレイクダウンの厳しさもないし、パスもビチッとしたものがなく、ディフェンスもタルい。別に何もしてこない明治に何度ライン・ブレイクされたろう。ライン・ブレイクはされるかもしれないが、それから開始されるはずの2次防御がザルだ。両ウィングとFB(コンヴァージョンをすべて決めたことは言い訳にならない)には猛省を促したい。思えば1次防御も悪かった。第3列と両センターが詰めて止めるよりも、何となく様子を見ているようで歯がゆかった。11月の南半球対北半球のテストマッチ・シリーズを見続けているせいだろうか。こんなディフェンスではダメだ。詰める、外されても詰める。忘れられた「アタックル」を思い出し、それを実行する。問題山積。清宮も頭が痛いだろう。
でも49-19で勝ってしまう。ミスの山でやる気が50%でもトライ数7-3で勝ってしまう。こっちの方が問題だ。素材では大差ない明治、慶応、帝京……。いったいコーチ陣は何をしているのか。勝つゲーム以上に、身の毛がよだつような緊張したゲームを見たい。競ったゲームができないのは早稲田の責任ではなかろう。どうやって勝つのか、どういう戦術でこのゲームを戦うのか、そのためのスキルは磨かれているのか……コーチも選手もスポーツをなめているのだろうか。たらたらしたゲームを続けながらも、早稲田は関東学院(あるいは法政)と大学選手権を争うだろう。そして、その後は? 今のままでは見通しが暗い。