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December 10, 2004

チャンピオンズ・リーグ
グループ・リーグ最終節
アーセナル対ローゼンボリ

[ cinema , sports ]

最近のアーセナルの戦いぶりを見るなり、このチームに浮上した問題の大きさがうかがえた。勝てない、自信を失う、勝ちゲームを勝ちきれない。それに対PSV戦のレッドカードでヴィーラとローレンが、この日は出場停止。この試合を勝たなければ、チャンピオンズ・リーグ敗退が決まる。さらに、今週の土曜日は対チェルシー。今シーズン最大の数日間。
結果は5-1の大勝。新聞紙上ではセスクの活躍が大きく取り上げられている。だが、実際には先週の対バーミンガム戦での勝利(3-0)からもっと大きな変化があったし、この対ローゼンボリ戦を見た人なら、調子そのものは大して上がってはいないことが理解されたと思う。
まず大きな変化、それはレーマンを諦めたことだ。勝ちきれないのはレーマンのミス。それがなければ勝っていた。キャンベル負傷のときセンターバックを務めるのはシガンだが、そのシガンのオウンゴールで引き分けたパナシナイコス戦は、シガンのミスでもあるが、シガンとレーマンの連携のミス。キャンベルは復帰以来、ペナルティエリア内でレーマンの正面に上がったボールをレーマンに任せずヘッドでクリアした。ディフェンス陣にレーマンへの信頼がない。ヴェンゲルは、キーパーを、27 歳のスペイン人アルムニアに代えた。別に好セーブを連発するわけではない。ごく普通のプレーをごく普通にこなすだけのGKだ。だが、このカンフル剤は即効性を持っていた。チームの調子が上がらない。その証拠にアーセナルのポゼッションを見ると、調子の悪いバーミンガムを圧倒できないし、快勝に見える点差をつけたローゼンボリ戦での50%を切っている。つまり、ポゼッションで圧倒し、ディフェンス網をずたずたに引き裂いて圧勝するアーセナルではなく、打ったシュートが枠に収まり、打たれた普通のシュートをGKがセーブするという戦い──凡庸なもの──に終始しながら、個人技で勝っている。それが現状だ。
確かにヴィーラに変わって入ったフラミニはそれなりに頑張ったし、セスクもいつもより積極的にヴァイタルエリアに顔を出し、見事なシュートを決めもしたが、流麗で、変容していく空間がいくつも連続するアーセナルのアタックは見られない。
だが、勝ったのは、良かった。今週末のチェルシー戦に堂々と望めるばかりではなく、16勝ち残った有力チームの中にアーセナルが残り、チャンピオンズ・リーグのこれからに繋がった。シーズンもようやくこれから中盤戦。戦いはこれからだ。

梅本洋一