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December 14, 2004

アーセナル対チェルシー

[ cinema , sports ]

アーセナルの今シーズンを占う一戦。周知の通り結果は2-2のドロー。トップを行くチェルシーとの勝ち点5の差はそのままになった。
だが、ローゼンボリ戦からだろうか、アーセナルのヴァイオリズムは、上昇していると思う。この日も、セスクから左サイドのレジェスへと大きなパス、レジェスはアンリにクロス、ワンタッチでコントロールしたアンリのシュートがゴールネットを揺らし、先制したが、テリーのドンピシャのヘッドで同点。その後、アンリのFKがまだチェルシーの壁が出来上がらない内に放たれ、リードするも、後半開始早々に偶然のようにチェルシーに点が入り、ドロー。もちろん差は詰められなかったが、差が開くこともなかった。今のアーセナルの調子では十分ではないか。もし1週間前にこのゲームが行われていたとすれば、アーセナルは惨敗したかもしれない。
勝敗はともあれ、ここ数試合見られることだが、アーセナルのフットボールの質が明瞭に変わっている。ポゼッションの数字を見れば明らかだろう。ポゼッションが下がっている。概数で言えばチェルシーの6にアーセナルの4程度。もし今シーズンの開幕当時、こうした数字が出ていたとすれば、アーセナルは、今3位だが、もっと下にいたろう。つまり、4割でドロー、しかも見た目では、ヴェンゲルの言うとおり、「アーセナルのゲームだった」のだ。いったいどういうことなのか。ポゼッションは下がっているのに、圧倒されているように感じられない。
チェルシーは4-3-3のフォーメーション。両ウィングがしっかりして、しかも、ユーロのポルトガルのように、両ウィングがサイドチェンジをする。特にロッベンへの対応は、彼が右に回れば、レジェスとアシュリー・コール、左に回ればピレスとローレン、常にふたりでウィングに対応していた。ウィングがボールを持つと自然にポゼッションは上がる。そして、チェルシーの両ウィングのために、コールとローレンはオーヴァーラップできない。アタックは、ベルカンプ、アンリそして中盤の左右──レジェス、ピレス──に限られてしまう。つまり、両サイドで奪ったボールをカウンター。アンリ、レジェスの俊足が生きる。そして、セスクの長いパスが生きる。フラミニは中盤を潰しまくる。
チェルシーの両ウィングを放さないかぎり、アタックに人数をかけることはできないが、両ウィングを押さえればチェルシーのチャンスは激減する。つまり、チェルシーがボールを持つと、その場は低い位置での両ウィングに限られ、ポゼッションの率は上がるだろうが、アーセナルはゆっくりと守備ができ、カウンターが狙える。両ウィングの遅延のミッドフィールドがサポートに出る瞬間、セスクのロングパスが、両サイドに散らされ、ピレスが、レジェスが、そしてアンリが、そのボールを追う。レジェスを追い越してコール、ピレスを追い越してローレンといういつものパターンが姿を見せなかったし、アーセナルがポゼッションで上回ることはないが、それでも、「見た目」、アーセナルが押し込まれているようには見えない。
今日も書こう、シーズンはこれからだ。とりあえずアーセナルの調子は上向きだ。

梅本洋一