ラグビー大学選手権2回戦
早稲田対大東文化
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後半30分過ぎまで27-12で推移したゲームは、大東の健闘と言えるのではないか。最終的なスコアが49-12になったとはいえ、そして、フィットネスは極めて重要な要素であることは確かなことだが、逆に言えば、早稲田はアルティメイト・クラッシュできていないということだ。
点差が開かなかった原因のひとつは、五郎丸のキックの不調だ。この日、2/7という確率は、このキッカー──それまでは絶好調だっただけに──の不調を雄弁に語っている。安藤が蹴った2回も含めて、もしキックがすべて入っていれば63-12というスコアになり、一応、点数的にはアルティメイト・クラッシュと言えるだろう。スタッツも、スコアも早稲田の圧勝を示しているが、ゲームを見ていると、まったく圧倒している感じがしない。大東のフィリピーノ等、トンガ勢の活躍が目立ち、早稲田のタックルの高さばかりが感じられた。もちろん、素材では大東が有利だ。高校代表級をズラリと並べ、そこにトンガ勢がまぶしてあるから、戦術的な統一と個々人の判断のスピードがあれば、早稲田に勝つことも可能だったろう。冷静に考えれば、早稲田は良くやったと結論づけるべきかもしれない。
しかし、いくらFWに自信を持つようになったからと言ってもゴール前のモール勝負に拘るようなラグビーは、ジャパン・ラグビー全体にとって健全なものではないし、クリエイティヴなものでは決してない。大東のプレッシャーがきつく、ライン攻撃がままならないという言い訳も成り立ちはしよう。だが、ラインが活かされていないのはハーフ団の軽いプレイのせいだ。2回に1回は安藤がキックを選択するラグビーがFWの負担を軽くするとは思えない。昨年のワイドなラインはどこに影を潜めたのか? 走力のあるスリークォーターを持っていても、スペースがなければその走力はまったく活きない。スペースを作り、スペースに走り込むラグビーはいったいどこに消えたのか?
同志社対慶応を見る限り、同志社の両センターはかなり強力だ。彼らを自由に走らせないためには、もっとワイドに展開するラグビーを指向するしかないはずだし、FWに自信があるといってもトップリーグのFWに比べれば、非力だ。法政対明治のゲームを見て、やはり森田の実力は安藤よりも相当上であるのは誰の目にも明らかだろう。今の早稲田ラグビーでは危ない。法政や関東学院以前に、同志社に足をすくわれるかもしれない。