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February 8, 2005

ラグビー 2005年シックス・ネーションズ
ウェールズ対イングランド
フランス対スコットランド

[ sports ]

2005年のシックス・ネーションズ第1週は、アイルランドがイタリアを順当に下した他は、もつれたゲームの連続になった。その原因が、両チームの最高のパフォーマンスゆえのものではなく、ミスの連続という最高峰のラグビーとは程遠いものだった。優勝候補のイングランドはウェールズに11-9で敗れ、フランスは70分までスコットランドに6-9とリードを許したが、ようやくトライユのトライ(ゴール)で16-9で逃げ切った。
確実に相手を上回っている両チームが惜敗したり、ようやく勝利を収められた原因が極めて似ている。イングランド、フランスともにウェールズとスコットランドのFWに十分に優位にあるのに、その優位さがまったく活かされていない。そして、ミスの連続。ノックオン、キャッチミス、ラインアウトの不備。イングランドは、最後までそれらの欠点の修正ができずに敗北し、フランスは終了間際にようやくパスプレイの連続で活路を生み出し、かろうじて逃げ切った。もちろん11月のホーム・インターナショナル以来、久しぶりの招集だから第1週目でチームがまだできていないことに原因があり──フランス対スコットランドの解説をしていたサンタンドレは「彼らにはオートマティスムがない」と何度も嘆いていた──、シーズンが深まるにつれ、欠点は克服されていくと思うが、単純なミスをなくすということよりも、戦術的な問題があり、それがゲームをつまらなくした大きな理由なのではないかと思う。
フランスを例に述べてみよう。まず前提として黄金の第3列(ベッツェン、マーニュ、アリノルドキ)が全員不在であること。そして、ガルティエ引退後のSHをラポルトは未だに見つけていないこと。つまり常に「どこにでもいる」ことが自慢のフランス第3列は、このゲームでは、どこにもおらず、シャバルの単発的なアタックだけが目立っていた。ミニョーニ=デレーグのハーフ団のゲームプランも皆無だった。ミニョーニはパスマシーンに徹し、デレーグは、キックと小技ばかりで、まったく勝負しなかった。つまりスクラム・サイドに脅威はない。ディフェンスは両センターをターゲットにハードタックルを繰り返せば、フランスのラインが前に進むことはない。そして、繰り返されるノックオンの山。スコットランドが超「古典的な」ラグビー──ボールを確保し、SOがキックして敵陣!──を反復しているだけなのに、ボールを奪ってからのアタックが常に不発。せっかくのボールをデレーグがキックし、未整備のラインアウトで万事休す。前半はその連続だった。後半、やっとのことで、優位なFWを前面に出し、モールで崩しながら前進するというフランスらしからぬアタックで活路を見いだし、1トライで逃げ切った。
もうデレーグは使わないこと。後半30分で登場したミシャラクはやはり非凡なプレイを見せてくれた。自チームでキッカーでもないデレーグをキッカーに使い、PKを外しまくるのは、ラポルトの責任だ。もっと自信をもってゆっくりと──そう、サンタンドレが言っていた「忍耐力」で──攻めないと、このチームは立ち直らない。オールブラックスに大敗したことは忘れていい。
イングランドが敗れ、フランスが辛勝して、シックス・ネーションズががぜん面白くなったことは事実だが……。

梅本洋一