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April 1, 2005

サッカー:アジア地区最終予選 日本対バーレーン 1-0
梅本洋一

[ photo, theater, etc... , sports ]

実はゲーム開始前2-0という結果を予想していた。1-0しかもオウンゴールという結果は、クオリフィケーションにありがちな結果だ。ゲームに勝利し勝ち点3をとるという目的が果たされた。とりあえずこれでよいと断言しておこう。引き分けも負けも許されないゲームを勝ったことはチーム力がついた証拠だ。
だが、翌日の新聞には不満が渦巻いている。スコアの面で確かに「辛勝」なのだが、ゲームを見た人ならほぼ全員が共有する感想だと思うが、「負けることはない」とは思えた。だが、決定的に勝てない。ラグビーの清宮の用語を使えば、アルティメイトクラッシュできない。これがこのチームの弱みであることもまた間違いない。だが、もう一度書こう。クオリフィケーションは本当に難しい。フランス対スイス、イスラエル対フランス、ともにドローだ。98年のW杯、00年のユーロに圧勝したフランスがあえいでいる。それに98年のクオリフィケーションに比べれば、日本は強くなったと言える。加茂が解任され岡田になったときのことはまだ皆覚えているだろう。今、イランについで2位、つまり、このまま行けばプレーオフに回らなくても堂々とドイツに行ける。アウェイでバーレーン、北朝鮮に引き分け、ホームでイランに勝てば十分だ。
一喜一憂する必要などないのだが、このチームの問題はもちろん大きい。3バックに戻しディフェンスはほぼ完璧。だが、中盤が空きすぎている。ジーコもそのことを知っていて、高原、鈴木という似たタイプの2トップにしたはずだ。ふたりに当てて、クオリティの高い中盤の選手が拾うということだろう。だからFWのシュートが少ないと批判することは、「負けない」ことを重視したこのチームのフォーメーションそのものを批判することになる。リスクを負わないことを目的に作られたフォーメーション、そしてバーレーンは徹底して中央を固めている。ゲームが膠着するのは当然だ。ゲームとして面白くなくなるのは当然だ。中田や俊輔から効果的なスルーパスが出ないのも当然だ。バーレーンのディフェンダーは高原、鈴木に張り付き、ヴァイタル・エリアには最初からスペースなどない。
目を見張るようなアタックを組み立てるためにはリスクを背負わなければならない。まずディフェンス・ラインとミッドフィールドの間の距離をできる限り縮め、相手のディフェンス・ラインの背後にスペースを作るようなフォーメーションを組むことが前提になる。そうすれば、中田からも俊輔からも鋭いパスが背後に供給され、もっと得点の可能性は増える。だが、そのためには絶対的なストライカー──アンリやファン・ニステルローイ──がひとりと、強靱なセンターバックがふたり必要だ。そのためにはフラットな並びの4-4-2あるいは両ウィングを置いた4-3-3しか可能性がない。相手に惑わされることなくオールウェイズ・アタック! だが、今の日本代表には絶対的なストライカーもいなければ、強靱なセンターバックは中澤ひとり、ウィンガーは皆無だ。すると3-5-2の怠いゲームをするしかない。もっとも強い中盤に面子を集め、ポゼッションしながらゆっくり攻めるしか選択肢がない。逞しくなったことは確かだが、代表のゲームを見るときにつきまとう眠さと今後も闘わねばなるまい。