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April 15, 2005

Champions League quarter-final 2nd leg バイエルン・ミュンヘン対チェルシー 3-2
梅本洋一

[ cinema , sports ]

ミラノのサンシーロが発煙筒の炎に包まれた頃、ミュンヘンのオリンピック・スタジアムではゲームの趨勢が決しつつあった。もしぼくがミラノにいてインテルのサポーターだったら、発煙筒を放り込んだかもしれない。カンビアッソのクリーンなヘッディング・シュートがネットを揺らしても、ファールの判定に腹を立てるのは当然だろう。ミスジャッジだ、だが、暴力的な行為は許せない、ましてや主審はドイツナンバーワンだ、そんな声が聞こえてくる。けれども、ミスジャッジはミスジャッジであって、それはゲームを台無しにする。発煙筒が投げ込まれ、ゲームが中止されてしまうのと同じことだ。とりあえず、これがノーゴールにされては、インテリスタにとって、ゲームが終わったのも同じことだ。ならば、もうゲームを無理矢理終わらせよう、インテリスタはそう考えたかもしれない。
ミュンヘンでもゲームは、ロンドンでの1st legに比べて見所の少ないものになっていた。前半30分にランパードのシュートが(またも)ルシオに当たり、方向が変えられ、オリヴァー・カーンの股間をすり抜けていったところで、ほぼゲームは決まってしまった。諦めない(ゲルマン魂)バイエルンという常套句がここから始まる。中盤の底で配球役を無難にこなしていたデミチェリスを下げ、ショル、イン。バラックをボランチに下げると、バイエルンのパスが回り始める。専守防衛に切り替えたチェルシー。ようやく同点になり、ゲームの趨勢が見えなくなったところで、ドログバのヘッドが炸裂し、完全に勝敗は決した。ここからロスタイムにバイエルンは2点たたき込むが、先ほどの「常套句」は当てはまるが、3点とるのはどう見ても不可能だった。
アーセナルを蹴散らし、チェルシーを迎え撃ったバイエルンだが、アーセナルなら徹底して中盤を消せば何とかなった。アーセナルの「型」を作らせなければよかったからだ。だが、チェルシーも「型」はあるにはあるが、相手によって「型」を変えることができる。4-2-3-1のシステムを1st legに続いて採用したが、両サイドバック(フート、ギャラス)の本職がセンターバックであるため、サイドアタックはもっぱらジョー・コールとダフのふたりの俊足ランナーが務めたが、サギョル、リザラズは彼らを押さえ込むことができない。つまり、サニョル、リザラズがアタックに参加するためにはとても長い距離を走らねばならない。ダフもジョー・コールもよくディフェンスしていたし、すぐにマケレレとランパードがフォローし、攻撃の芽はつみ取られてしまう。チェルシーが攻められながらも、つねにゲームをコントロールできた原因はそこにあるだろう。