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April 22, 2005

チェルシー対アーセナル 0-0
梅本洋一

[ cinema , sports ]

いくらぼくが「諦めるな!」と叱咤激励しても、勝ち点差11、残りゲーム6という現状は心得ている。アーセナルは、もうFAカップとリーグ2位を死守し来年のチャンピオンズリーグにダイレクトインという目標に切り替えているはずだ。だが、スタンフォードブリッジでの対チェルシー戦。これは見なければならない。チェルシーは負けなければいい。2位死守のためにアーセナルは勝ちたいゲーム。だが結果はスコアレスドロー。
結果はそれなりに受け止めるべきだろうが、このゲームは非常に面白かった。スペースを潰し合う中盤は本当に激しい。前節のボーロ戦から復帰したジウベルト・シウバのコンディションがグッと上がり、ヴィーラ、ジウベルト対マケレレ、ランパードはイーヴン。勝負はピレス、セスク対ジョー・コール、ダフの両サイド対決に持ち込まれるが、このゲームに限っては、これもイーヴン──もちろんチェルシーが両サイドからアタックを仕掛けられるが、アーセナルはもっぱらピレス(コール)の左サイドに寄るのはいつもの通りだが、ピレスが絶好調──彼のシュートが入っていればアーセナルの勝ちだった──で、これもイーヴン。もしアーセナルの右にリュングベリが入っていれば、ポゼッションでは上回ったかもしれない。そして、グジョンセン対ベルカンプもイーヴン、心配されたアーセナルのバックラインも頑張った。このゲームをアーセナルが引き分けたのは、チェルシーのドログバがここ数試合の好調をキープしていたのに対し、アンリを故障で欠きレジェスをトップに持っていかざるを得なかったことが原因だろう。レジェスの出来が悪かったし、まして彼はトップに向かない。いつもなら、アンリの超個人技がアーセナルの欠点を覆い隠しているが、レジェスがトップに入ると、このチームにできないことが浮き彫りにされる。
中距離のパスワークを主にアタックするアーセナルの武器はポジショニングとパススピードだ。だが、中盤の潰し合いになったとき、それを避けるためにアーセナルはポストプレーを選択することが絶対にない。キープできるアタッカーがいない。誰の目にもそのことが明らかになった後、ヴェンゲルは、ファン・ペルシ、アリアディエールを次々に投入するが、ファン・ペルシにはドログバの強さはなく、アリアディエールはまだまだ甘い。球際での勝負にことごとく敗れている。アンリを除いて、結局、ひとりで突破できるアタッカーがいないのだ。スペースを完全に埋められ、テリー、リカルド=カルヴァーリョのような屈強のセンターバックがいるとき(この日のチェルシーは両サイドもギャラスとジョンソンで胸板の厚い4人を一列に並べたバックライン)、1対1に勝てるアタッカー──つまりアンリだ──がいるか、サイドを深くえぐれるサイドハーフかウィングバックがいなければ勝てない。事実、コール、ピレスの左サイドは、しばしばグレン・ジョンソンを置き去りにしたが、慣れない右のセンターハーフをやっとこなすセスクとじわじわ上がるだけのローレンでは、ダフとギャラスに勝てない。昨年、ピレスのトップ下を提案したが、このゲームでもレジェスとピレスの位置を代えていれば、こう少しポゼッションが上がり、グラウンダーのパス中心のアーセナルのフットボールが見せられたのではないか。ヴェンゲルにももう一段上のフレキシビリティが欲しい。