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May 6, 2005

ラグビー:日本学生代表対ニュージーランド学生代表(NZU) 29-31
梅本洋一

[ book , sports ]

一昨年の同時期37-31で早稲田大学の単独チームがNZUに完勝したことがあった。今年、そのカードはなく、その代わり日本学生代表(監督は流通経済大学の上野)とNZUのカードが組まれた。「日本学生代表」といっても昨年度の早稲田4年生を主体に、プロップ、フランカー、センター、FBに別の大学の現役とOBを加えた編成だ。
ゲームとしては点差以外見るべきところはまったくなかった。早稲田OBの選手たちが展開を指向するのに対し、トンガの巨漢ランナーは単独突破を試みる。チームとして何をしたいのかが明瞭でなかった上に、キッカーの選択(安藤英次がキッカーという選択は過去に何度も失敗している)やPGを狙うのかタッチを切るのかなどというゲームプランが全然できていないので、勝てるゲーム(トライ数4-3)を落としてしまった。
そもそも「日本学生代表」などという選抜チームは必要なのだろうか? 一昨年は清宮がその年度の最初のゲームをシンプルなゲームプランで勝ち、早稲田のそのシーズンに弾みをつける意味で、対NZUは「役に立つ」ゲームだった。しかし、今年のメンバーたちにとって──その多くがこの秋からトップリーグに参加する──このゲームがどんな役に立つというのか? 彼らは、この春から別のコンセプトに基づいた別のチームに参加し、秋にはもっとタイトなディフェンスをしてくる相手をむかえるのだ。秩父宮の入り口では2011年にワールドカップを招致しようという署名運動(主催ラグビー協会)が行われていたが、多くの選手たちにとっても観客にとってもまったく緊張感を欠き、何の役に立つのか分からないようなゲームを見ても、ワールドカップへの渇望など生まれはしない。早稲田、関東学院、法政、同志社といった前年度の大学ベスト4にオートマティックに対NZU戦への参加が許可され、それぞれのチームが当該年度の強化の一環としてこのカードを利用できるようにならなければ、何のためにNZUが来日しているのかも分からない。それぞれの強化試合の位置づけをはっきりし、ピラミッド型にJapanを強化しなければ、ワールドカップなど蚊帳の外だ。