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May 30, 2005

ふたつの日本代表
梅本洋一

[ cinema , sports ]

 一昨日はフットボール、そして今日はラグビーの日本代表がともに惜敗した。勝てるのに勝てない、あるいは、勝てるのに勝とうとしない。どのようなゲームをして、どのような結果を得るのかというゲーム・プラニングがともに、どこかでうまく行っていない。だから結果が出ない。

 まずは一昨日終わったキリン・カップを戦ったフットボール。「かったるい」ペルー戦の反省から、積極的になった日本代表。その姿勢は小野伸二のそれだ。バランサーとしてのボランチよりは、センターミッドフィールダーとして存在感を露わにし、大いに貢献した。だが、ゴールが入らない。そしてお決まりのアレックスの裏のスペースを破られて0-1の敗戦。水曜日にチャンピオンズリーグ決勝を見た後だと、ゲームの速度が本当に遅い。端的にパススピードが遅い。特に小笠原のプレーが遅い。守備を固めるUAEに対して、この遅さは致命的だ。もともと潰れ役の鈴木はどうでもいいが、大黒もこの遅さでは裏が取れない。リーグ戦を中断して戦っているのだから、この辺りでチームとしての「型」が生まれなければいけない。バーレーン戦でおそらくジーコは俊輔と中田英をともにピッチに立たせるだろう。彼らの力が必要なことは、このゲームでの伸二の活躍で証明されてしまった。高原が使えない。鈴木のワントップでは、高速パスが回るフットボールは不可能だろう。伸二と中田の2ボランチでもいいだろう。そろそろ昨年のアジアカップのポゼッションだけのフットボールから脱却し、大人のゲーム運びで圧倒的に勝つゲームを期待したいのだが……。

 そしてラグビー。FWがいくら大型になっても真っ向勝負でボールは支配できない。体重差は4キロだが、接点もスクラムも負けている。つまりバックス勝負しか勝機はない。だが、ラインブレイクができない。森田の選択は弱気だし、軽いプレーが多い。ワイドしかない。だが、ポジショニングが悪い。それでも10-15。つまりこれまた勝てるゲームだ。ディフェンスはある程度粘れる。だが、アタックが遅い。ここでも速度が足りないのだ。ゲームのテンポを上げ、ウィングで勝負できるラグビーをやること。だが、ここで足りないのは、走れる3列がいないことだ。箕内は確かによくやっている。だが、マイボールのときにラインに入って走れるFWがいない。これではオーヴァーラップが作れない。堅いゲームではなくリスクを負っても攻めること。大きな展開を常に心がけることだ。エリサードがコーチ陣に加わっても、トップリーグの癖は簡単に抜けない。時間はかかるだろうが、各チームとも、FWに頼り切るラグビーを廃して、ワイドな展開を試みるべきだろう。そして勝ちたいなら、森田ではなくまだ廣瀬だ。ボールに触れる回数が多いSOは、判断の速さと的確さがなによりも必要だが、森田は判断に時間がかかる上、判断ミスがとても多い。