W杯アジア予選 クウェート対韓国 0-4小峰健二
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クウェート戦前、韓国は勝ち点7でAグループ2位につけていた。勝ち点4のクウェートに勝つか引き分けでワールドカップ出場権を獲得できる。まさに日本代表と同じ状況。しかし、韓国は先日のウズベキスタン戦でロスタイムに辛くもドローに持ちこむという苦戦を強いられ、韓国本国では不安が渦巻いていた。それもそのはずウズベキスタン戦ではコンビネーションが噛み合わず、チグハグな動きでチームは苛立ちさえ見せていた。PSVで目覚しい活躍をみせたパク・チソンも精彩を欠いてい、アウェイとはいえ「格下」のウズベキスタンに追い詰められてしまった。そんななかでのクウェート戦だ。システムは3-4-3。ワントップで両サイドがウィングとなるかたち。今や世界の主流となりつつある攻撃フォーメーションだ(たとえばチェルシー、バルサ、PSV)。ミッドフィールドの4枚はフラットぎみに並び臨機応変にポジションチェンジを繰り返す。もちろんその中心はパク・チソン。時に中央でパスを受け、時にサイドに流れる。パクの周辺にダイナミズムが生まれる。序盤こそ勝たなければならないクウェート選手がピッチを走り回るが、効果的な攻撃は皆無。逆に間延びしたクウェートの中盤で韓国がボールをまわす。前半に生まれた2得点ともに中盤でのパス交換から左サイドを突いたアタックだった。あまりに完璧な攻撃にクウェートの選手は消沈し、序盤の運動量は影を潜めてしまう。後半に入っても効果的なサイドアタックは続き、終わってみれば4-0の圧勝。韓国は先日のウズベキスタン戦から大化けしていた。要因はウズベキスタン戦で代表デビューし、初得点をマークした新星パク・チヨンがよりフィットしたこと。このもうひとりのパクは驚くほどプレーに知性があり期待を感じさせる。10番を背負うだけの才能を秘めた大型FWだ。もうひとつはウズベキスタン戦で起用して本領を発揮できなかったアン・ジョンファンとユ・サンチョルをベンチに下げ、MFをよりフラットに並べ、効果的なポジションチェンジやパス交換が行われたこと。クウェートのディフェンダーは付いていくことさえできずにいた。もちろん欠点がないわけではない。あえて注文をつけるとしたら、ムラがあるチャ・ドゥリがボールを持ちすぎることだ。ボールを簡単に捌けば右サイドからのアタックも効果的なものとなる。だが、それも1年を切ったワールドカップまでには改善されるはずだ。いずれにしろ両ウィング、ワントップの攻撃的なフットボールを志向する韓国代表はアジアのなかで最も期待を感じさせるチームへと変貌しつつある。
結果的に見て、韓国は順当に勝ちあがったと言える。さらに最終予選中に選手を入れ替え、システムや戦術を少しずつ変更する余裕さえ見せた。19歳のパク・チヨンは確かな技術を代表2試合目にして発揮しているし、PSVのパクとイ・ヨンピョの2人は明らかにアジアレベルを超えている。プレーの質と速度で言えば、今の日本代表の比ではない。相手を質で圧倒し、速度で凌駕するクウェート戦の韓国代表は「退屈さ」からほど遠い試合を見せてくれた(特に4点目となったパクのゴールは最終予選のベストゴールだろう)。韓国は東アジア選手権でどのようなゲームを見せ付けてくれるだろうか、今から楽しみだ。