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June 20, 2005

ラグビー テストマッチ 日本対アイルランド 18-47
梅本洋一

[ sports ]

 確かに大畑の2トライがあった。前半は10-14と食い下がった。勝負は後半開始早々に連続して2トライを奪われたときについた。第1テストに比べれば好ゲームだった。スタンドオフに入った廣瀬の力が大きい。代表のテストマッチでは、廣瀬を使うべきだ。森田は、パスとキック、そして判断力で廣瀬を上回ると判断される場合にスタメンになる。別に理由なく若返りを行うべきではない。廣瀬のパス、キックは、どんな局面においても森田よりも上である。
 だが、このテストマッチ2連戦、そしてスーパーカップ、南米遠征と遡ってジャパンの評価は難しい。とりあえず去年のスコットランド、ウェールズ遠征よりは好ゲームを展開している。その意味で、ひとりひとりが強くなっているという萩本の言葉は間違いではない。だが、トライを取りに来ている相手に対して7トライ奪われている事実を冷静に受け止めるべきだろう。トライ数2-7は、完敗であり、いかに大畑に渡りトライが取れているにせよ、スコアの面で善戦にはほど遠い。7トライ取られ、2トライしか取れない。アイルランドはライオンズに主要なメンバーを取られ、初キャップが7人いることを忘れてはならない。
 同等以上の相手には2トライといくつかのPGで20点前後しか取れないのがジャパンだ。そして相手にトライは2倍以上取られている。ボールのキープ力がないこと。ワイドな展開についていけないこと。2次ディフェンスがまったくできないこと。それらの欠点はまったく解消されていない。
 FWの平均体重差は1キロである。それでもヒットでプレッシャーをかけられる。ブレイクダウンはほぼ完敗。ラインアウトはアップアップ。そしてディフェンスでは両センターの間を抜かれると、まったくバッキングアップがいない。特に両センターのスピードがない。3列が2次防御に入る余裕がない。そして、特に氏名を上げるが立川がFBとして使えない。課題山積。
 評価としては次のように言うべきだろう。
 このゲームをよくやったと評価する監督の希望値は低い。完全なスカウティングと戦術が思考できていない。そして、セレクションの面でも、疑問符がつく。冷静に判断すると萩本光威は、育成型のコーチであって、ここ一番の勝負で勝利を収められる人材ではない。それだけは明瞭になった。ラグビーのやり方の面で、廣瀬も健闘しているが、アイルランドの裏に出られるようなアタック方法はあるはずだ。小野澤、大畑でトライを取るのはいいが、彼らにプレッシャーを減らし、多くトライをさせるにはどうすればよいのかがまったく見えてこない。今は彼らの個人技に頼り切っている。