トライネイションズ第5戦
オールブラックス対スプリングボクス 31-27梅本洋一
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今年のトライネイションズの中で最高のゲームだった。ここまで好調のスプリングボクスは、ディフェンスからカウンターという戦いに的を絞り、この日も、ボール出しの瞬間からハーフ団めがけて鋭く前に出るディフェンス。ワラビーズならグレーガンが少し下がり、2〜3ショートパスを交えたところで、展開を図るが、ウィプー=マクドナルド(この日、カーターは怪我で出場していない)は、前に出てくるディフェンスと真っ向勝負。オールブラックスのこのゲームに賭ける意気込みだ。逃げない。恐れない。ディフェンスを突き破る。マクドナルドが前に出てポイントをつくると必ずゲインラインしている。もちろん勇気ある選択だったが、このアタックで全員がスプリングボクスのディフェンスを逃げずに、前に徹底して出ることが可能になった。
もちろん、だからといって、すぐにトライが奪えるわけではない。事実、モンゴメリーにPGを決められ、先行されるが、アーロン・メイジャーのチャージからロコゾコが拾い一気にトライ(コンヴァージョン)。だが、スプリングボクスもディフェンスからいつものカウンター。ハバナのトライ(コンヴァージョン)。点の取り合いになった。この日は、オールブラックスがスプリングボクスのディフェンスから逃げずに仕掛けていくので、ディフェンスゲームにならない。そして、ロコゾコがスラロームさながらにもう1トライ(コンヴァージョン)し、21-10。オールブラックスは完璧な3トライ。だが、前半終了間際、マグドナルドのキックがジャヌアリにチャージされ、21-17で前半を終える。オールブラックスのアタックでは、マクドナルドのアタックとハイパントに全員が反応していた。最後のトライさえなければ、オールブラックスの完勝に終わったろう。
後半はマクドナルドのキックがブレ始め、アタックの回数も減る。膠着状態のなかで、互いに我慢が続く。コリンズのパスがインターセプトされてスプリングボクスがトライ。そして最後はメアラムが飛び込み(コンヴァージョン)、ノーサイド。接点の攻防でミスや微妙なジャッジ(リッチー・マッコーやスカルプ・バーガーのオフサイド)が多くなったが、それでも気合いと創造力溢れるアタックとディフェンスは見る者の心を打った。