チャンピオンズリーグ リヴァプール対チェルシー0-0梅本洋一
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今週末のプレミアリーグでも対戦する両チームの今シーズン初顔合わせ。チャンピオンズリーグの枠内で言えば、このゲームの勝敗はそれほど大きな意味はないのだが、キックオフ前からアンフィールドは異常な盛り上がりを見せていた。入場する両チームの選手たちが本当に晴れがましく見える。ハイバリーの老練な雰囲気も良いが、このスタジアムのそれは独特だ。フットボールの聖地はウェンブレーではなく、アンフィールドだと思えるくらいに。
ベニテスとモウリーニョはどういうつもりでこの一戦を迎えているだろう。勝つつもりだろうか? ゲーム開始直後にその解答は見えた。絶対に負けないつもりで、願わくば勝つつもりで、ふたりともこのゲームに臨んでいる。選手たちにも気合いが入り、どんなミスもしないつもりで臨んでいるようだ。その証拠はシャビ・アロンソ、ランパードというふたりのミッドフィールダーのポジションからも見えている。マケレレと共にバランサーに徹することで、自らの攻撃力を封印したランパード、そしてジェラードを決して追い越すことなく、隣のハマンを見ながら、ゴール前に顔を出すことをしないシャビ・アロンソ。前線にクラウチというターゲットマンのいるリヴァプールがやや優勢にゲームを運ぶが、彼からのボールを狙うルイス・ガルシアが徹底マークにあい、流れるようなアタックができないリヴァプール。そしてダフ、ロッベンの両サイドをフィナン、トラオレが上がることなく押さえ、上がってくるギャラスにシセを付けてベニテス。ゴール・シーンがあるとすれば、ミドルがFK、あるいはPKしかなかろうと誰でも思ったはずだ。事実、バランサーのふたり──シャビ・アロンソ、ランパード──のミドルが枠を捉えたほかこのゲームのショッツオンはなかったように見えた。ギャラスのハンドを主審が見逃したことがあったにせよ──そんなことはよくある──、がっぷり四つのまま、このゲームの終了のホイッスルが吹かれた。もちろん膠着状態を打破すべく、ふたりのコーチは手をこまねいていたわけではない。先手を打ったモウリーニョは、ダフに代えてショーン=フィリップス、ロッベンに代えてクレスポを送り込み、自ら信奉する4-3-3から4-4-2にフォーメーションを変更した。ベニテスは、ほとんどディフェンスに追われていたシセからシナマに代え、右サイドの活性化を図った。だが、どの交代もアンフィールドの異常な緊張を歓喜にも失望にも変えることはできなかった。
スコアレスドロー、そして、ほぼイーヴン。こうしたゲームは、同じ日の極東の大都市でのベースボール・チームの優勝に理由なく沸き返る人々の反応とは正反対の静かな闘争だった。ゲームが終わり、ジェラードとランパードは笑顔でユニフォームを交換した。彼らの疲労と緊張が安堵へと代わった瞬間だった。そして日曜日、彼らはふたたび同じ場所であいまみえる。