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August 31, 2005

トライネイションズ第5戦
オールブラックス対スプリングボクス 31-27
梅本洋一

[ sports , sports ]

今年のトライネイションズの中で最高のゲームだった。ここまで好調のスプリングボクスは、ディフェンスからカウンターという戦いに的を絞り、この日も、ボール出しの瞬間からハーフ団めがけて鋭く前に出るディフェンス。ワラビーズならグレーガンが少し下がり、2〜3ショートパスを交えたところで、展開を図るが、ウィプー=マクドナルド(この日、カーターは怪我で出場していない)は、前に出てくるディフェンスと真っ向勝負。...全文を読む ≫

投稿者 nobodymag : 3:57 AM

「昭和住宅メモリー」X-Knowledge Home No.5
梅本洋一

[ book , sports ]

 そうだ! そういうことだったんだ! いつも意欲的な特集を組むX-Knowledge Homeの「昭和住宅メモリー」を眺めていて、思わず「ユリイカ」だった。つまり、今、なくなりつつある風景を惜しんでいるぼくらは、単にノスタルジーに浸っているわけではないんだ。丸の内が変わり、三信ビルが取り壊されようとしていて、国際文化会館が取り壊されてしまい、六本木ヒルズに嫌な感じがしているぼくらの風景のルーツは、...全文を読む ≫

投稿者 nobodymag : 3:55 AM

『奥様は魔女』ノーラ・エフロン
梅本洋一

[ cinema ]

 テレビ・シリーズの『奥様は魔女』は僕らの世代にとって忘れがたい。『ルーシー・ショー』や『陽気なスマート』などと並んで、笑い声が組み込まれたコメディとして本当に懐かしい。ぼくらは皆、魔女のサマンサがやる唇を左右にふるわせて魔法を使う身振りを真似していた。  このフィルムは、『めぐり逢えたら』でマッケリーの『めぐり逢い』を、『ユーブガッタメール』でルビッチの『桃色の店』のリメイクしたエフロンの「リメ...全文を読む ≫

投稿者 nobodymag : 3:53 AM

August 27, 2005

「死の谷'95」青山真治(「群像」7月号)
梅本洋一

[ book ]

 確かに10年前、思いもよらぬことが続発した。阪神大震災、地下鉄サリン事件。ぼくらは、それから10年、ぼくらは、それらのことなどなかったかのように生きている。阪神大震災では知人と呼べる人が何人か犠牲になり、地下鉄サリン事件の朝、犠牲者が出た中野坂上駅前を運転していて、ぼくは救急車を何台も見た。それから何時間も何日もテレビにかじりついてことの顛末を(見えもしないのに)見つめていた。  青山真治は、「...全文を読む ≫

投稿者 nobodymag : 12:42 PM

August 24, 2005

「丹下健三 DNA」(「Casa BRUTUS」9月号)
梅本洋一

[ architecture ]

 建築学科に入学した学生は、まず「Casa BRUTUS」で建築の基礎を学び始める。友人の建築家はそう苦笑いしていた。「新建築」でも、今はなき「建築文化」でもなく、「Casa BRUTUS」!  今月号の「丹下健三 DNA」を見ると、確かに丹下健三の基礎が学べる。たとえば藤森照信による丹下健三の解説と彼のセレクションによる丹下健三ベスト100が写真付きで解説されているし、彼の生年(1913年)か...全文を読む ≫

投稿者 nobodymag : 5:24 PM

August 23, 2005

チェルシー対アーセナル 1-0
梅本洋一

[ sports ]

 ドログバの膝に当たったボールがゆっくりとバウンドしながらアーセナルのゴールマウスに吸い込まれるのを、レーマンもセンデロスも見つめるしかない。緊張感にあふれたゲームは、小学生の試合でよくあるゴールによって結末を迎えた。アルセーヌ・ヴェンゲルのアーセナル500ゲーム目はあっさりと終わった。  終わってみて思うのは、このゲームの分水嶺は、両チームのミッドフィールドにあったということだ。ランパード、マケ...全文を読む ≫

投稿者 nobodymag : 12:17 AM

トライネイションズ第4戦 ワラビーズ対スプリングボクス 19-22
梅本洋一

[ cinema , sports ]

 ラック、リサイクルを繰り返すワラビーズはボール・ポゼッションでは大きく上回るが、ゲイン・ラインをなかなか切ることができない。どうやってトライをとるかという方法論において、ワラビーズにあるのは、フェイズを繰り返し、人数的な優位を作り、トライに結びつけるという以外にないのだろうか。もちろんこの日のゲームでもスティーヴン・ラーカムは、肘の怪我で出場せず、マット・ギタウがSOをつとめていたが、スプリング...全文を読む ≫

投稿者 nobodymag : 12:16 AM

August 22, 2005

「鬼石町多目的ホール」妹島和世
藤原徹平(隈研吾建築都市設計事務所)

[ architecture , architecture ]

 全周囲を透明ガラスのスキンとする形式、透明ガラススキンの良さを引き出す平面形状の考えかた(平面の奥行きが変わること=屋根の形状の変化であり、視界の抜けかたの変化が抜群にオモシロイ)、半地下を大胆に生かした断面構成、屋外空間と屋内空間とがお互い領域をとりあうようなあぶくの中にいるような平面計画、建物と残余空間のバランスの良さ(起伏ある敷地を生かした配置の絶妙さは凄い)、常識にとらわれない仕上げ材に...全文を読む ≫

投稿者 nobodymag : 10:22 AM

August 21, 2005

『ヒトラー〜最後の12日間〜』オリヴァー・ヒルシュビーゲル
影山裕樹

[ cinema , sports ]

 この映画の中ではアウシュビッツはまったく出てこない。そして、それがむしろこの映画の慎重さをより的確に表現している。確かに、ドイツ国内でヒトラーを好意的に描きすぎているという批判があるのは当然かもしれない。ブルーノ・ガンツ扮するヒトラーが主人公の秘書や愛人に接するあまりの優しさは、はっきりいって私たちからすれば、尊敬するに値する、あまりに人間的な振る舞いに見える。そしてその手の神経質な震え、ヒトラ...全文を読む ≫

投稿者 nobodymag : 12:17 PM

August 16, 2005

『白州次郎、占領を背負った男』北康利
梅本洋一

[ book , sports ]

 今日は日本が太平洋戦争に敗れた日だ。「耐えがたきを耐え、忍びがたきを忍び……」という玉音放送の日だ。  最近──ここ10年ぐらいのことだろうか──、戦前をヨーロッパで過ごした人たちに興味を持っている。フランス文学で言えば、久生十蘭、獅子文六──東大系ではない傍系の人たち。イギリス留学組では、白州次郎、そして大倉喜七郎……。こうした時代をヨーロッパで過ごすことは、今に比べれば本当に例外で、皆、育ち...全文を読む ≫

投稿者 nobodymag : 12:23 AM

August 15, 2005

トライネイションズ ワラビーズ対オールブラックス 13-30
梅本洋一

[ sports , sports ]

 ワラビーズはスティーヴン・ラーカムの怪我でマット・ギタウをSOに入れた布陣。前半こそ、ほぼ互角の展開だったが、ギタウが怪我をしてフタットリーが入ってから、オールブラックスの一方的な展開になった。SOの不在というのは不運であるけれども、グレーガン=ラーカムというハーフ団がワラビーズの中心だったことが逆説的に理解される。ジョージ・スミスでもフィル・ウォーの第3列の両翼ばかりではなく、ボールのリサイク...全文を読む ≫

投稿者 nobodymag : 11:33 PM

アーセナル対ニューカッスル 2-0
梅本洋一

[ cinema , sports ]

 いよいよプレミアの開幕。もちろん贔屓のアーセナルの開幕戦を見る。ヴィーラのユヴェントスへの移籍。コミュニティ・シールズでの対チェルシー戦敗北。ほとんど昨年と同じ面子でしかもヴィーラがかけた状況で戦わねばならないアーセナル。「スカパー!」の開幕特集の番組で、粕谷秀樹は、「何年も同じタイプのフットボールは飽きた」と酷評したヴェンゲル=アーセナルのフットボール。アーセナル・ファンもぼくも粕谷の発言には...全文を読む ≫

投稿者 nobodymag : 11:31 PM

August 14, 2005

『空中庭園』豊田利晃
結城秀勇

[ cinema , cinema ]

 直木賞の候補にもなった角田光代の小説を原作としたこの映画は、郊外の巨大なマンションの一室を舞台とする。テーマパーク兼ショッピングセンター兼レストラン街であるような場所、「ディスカバリーセンター」を中心とするこの街で、主人公である絵里子(小泉今日子)は、「理想の家族」を作り上げている。  マンションの遠景から、何百という同じかたちの部屋の中の任意のひとつへ向かって一気にクロースアップするショットが...全文を読む ≫

投稿者 nobodymag : 2:13 PM

August 11, 2005

『世界』ジャ・ジャンクー
梅本洋一

[ cinema , sports ]

 北京郊外の世界公園。いながらにして世界のモニュメントを体験できる場。エッフェル塔やビッグ・ベンなどが、縮尺した模型で建ち並んでいる。いながらにして世界を体験できる、という表現は単に矛盾である。「世界」とは徹底して外部にあるものであるがゆえに、その一部──そう、私たちは常にその一部しか体験できない──を体験するためには、必ず外部への踏み出し、つまり旅行が必要になる。つまり「いながらにして世界を体験...全文を読む ≫

投稿者 nobodymag : 12:18 PM

August 10, 2005

サッカー東アジア選手権 韓国対日本 0-1
梅本洋一

[ sports , sports ]

 中澤の左足アウトサイドに当たったボールが、韓国キーパーの股間からゴールネットに突き刺さったとき、このゲームは決まった。フットボールの勝負とはポゼッションでもシュート数の差でもなく、単にゴールの数だ。もちろんポゼッションが高く、シュートの数が多ければ、勝つ確率は上がるが、実際に勝つわけではない。  ベタ押しの韓国がゲームに勝てなかったのは、シュートが入らなかったことと、この日のキーパー土肥が当たっ...全文を読む ≫

投稿者 nobodymag : 2:53 AM

『リンダ リンダ リンダ』山下敦弘
梅本洋一

[ cinema , cinema ]

 物語としての「青春映画」の構造を明瞭に備えたシンプルなフィルムはおおかたの好評を集めているようだ。文化祭、バンド、ブルーハーツのコピー、韓国からの留学生……。もちろんタイトルを見ただけで、いろいろな出来事を乗り越えて、女の子たちは最後に「リンダ、リンダ、リンダ」と熱唱し、体育館は興奮の渦に包まれることは予想されるし、事実、予想通りなのだ。ギターの女の子の手の骨折や、ヴォーカルの子が喧嘩して韓国人...全文を読む ≫

投稿者 nobodymag : 2:52 AM

『ルート1/USA』ロバート・クレイマー
田中竜輔

[ cinema , cinema ]

「語る」対象としての「死」とは決定的に「他者」のものでしかない。「自己における死」について、それはどのような場合においても語ることは不可能であるからだ。誰かにその「死」を見せるという「行為」においてそれは不可能であるとは言い切れないとしても、「語る」ことは絶対にできない。だから、語るものとしての「死」とは、すなわち「誰かの死」でしかない。「起こりうるかもしれぬ死」ではなく、「起こってしまったこと...全文を読む ≫

投稿者 nobodymag : 2:50 AM

August 9, 2005

『現代建築のパースペクティブ──日本のポスト・ポストモダンを見て歩く』五十嵐太郎
梅本洋一

[ book ]

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 ポストモダン以降の現代建築の解説書としてはとても適切にまとめられている。誰よりも多くの建築を実際に見て歩いている五十嵐太郎の姿勢は、本書の元になった多くの雑誌や彼のサイトで読むことができる。好奇心にあふれた姿勢と、適切な解説は評価できる。だが、ここ最近の五十嵐のキーワードである、村上隆から想を得た「スーパー・フラット」の全面肯定は、たとえ、その言葉が現在の都市の特徴を極めて十全に表現しているにし...全文を読む ≫

投稿者 nobodymag : 2:35 AM

トライネイションズ2005 スプリングボクス対ワラビーズ 22-16 スプリングボクス対オールブラックス 22-16
梅本洋一

[ sports , sports ]

 同じ点差、同じ内容(つまり共に1トライずつ)で2つのPGの差でスプリングボクスがホームのゲームで連勝している。スタッツを見たわけではないので、正確なことが書けないが、印象でいえば、両ゲームともポゼッションでスプリングボクスが勝っていたわけではない。ワラビーズ、オールブラックスのアタックに対してスプリングボクスのディフェンスという構図は2ゲームとも変わらないのだが、ワラビーズとオールブラックスのア...全文を読む ≫

投稿者 nobodymag : 2:33 AM

August 6, 2005

『せかいのおわり』風間志織
月永理絵

[ cinema , cinema ]

 映画が始まる前にプレスシートのあらすじを読んだ限りでは、ありがちで、陳腐な恋愛映画にしか思えなかった。  幼馴染みの男と女がいる。彼氏に振られる度に自分のもとに泣きついてくる女「はるこ」を、「慎之介」は何も言えないまま一途に思いつづけている。「はるこ」は「慎之介」の気持ちをわかっていながら、曖昧にごまかしている。そしてふたりを見つめるバイセクシャルの「店長」は、「慎之介」に思いを寄せている……。...全文を読む ≫

投稿者 nobodymag : 1:10 PM

August 4, 2005

サッカー 東アジア選手権 北朝鮮対日本 0-1 中国対日本 2-2
梅本洋一

[ cinema , sports ]

 東アジア選手権の中間的なレポートを書いておこう。  初戦の対北朝鮮戦は、なによりも代表メンバーのモティヴェーションの低さが際立った。なぜこうしたトーナメントがあるのか。W杯予選の中間に、Jリーグの合間に、高温多湿の地でトーナメントを戦う必要があるのか? それを理解できないのは選手ばかりではない。中澤のミスパスから生まれた1点は選手たちのモティヴェーションの低さが原因だ。このトーナメントは、選手た...全文を読む ≫

投稿者 nobodymag : 12:37 PM

August 3, 2005

『世界』ジャ・ジャンクー
藤井陽子

[ cinema , cinema ]

『世界』を見ていた最中も、『世界』を見たことから何かを言い表したり考え始めようとしたときも、自然と思い浮かんだのは「プンクトゥム(ふいに私を突き刺すもの)」という言葉だった。ロラン・バルトがかつて用いて、彼自らの手であっという間に覆してしまった言葉だが、「プンクトゥム」という言葉の響きも意味も、『世界』について何かを言うときにいちばんしっくりくる、ぴったりの言葉だという風に思えたので、私はこの言...全文を読む ≫

投稿者 nobodymag : 3:53 PM

『亡国のイージス』阪本順治
梅本洋一

[ cinema , cinema ]

 この種のフィルム──こうしたジャンルをどう呼べばいいのだろう?──に極めて忠実な作りで最後まで観客を引っ張っていく。イージス艦が北朝鮮ゲリラに乗っ取られ、政府への要求が叶わないときは、1000万人以上が死亡する可能性のある武器を東京に打ち込むという物語。自衛隊の全面的な協力によって、イージス艦もジェット戦闘機も本物が稼働している。つまり、最後の最後に主人公(真田広之)の個人的な力によって、武器が...全文を読む ≫

投稿者 nobodymag : 3:46 PM

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