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February 16, 2006

ラグビー日本選手権2回戦 早稲田対トヨタ 28-24
梅本洋一

[ sports , sports ]

 昨年の同一カード、7-28では早稲田の完敗だ、ディフェンスだけではなく、どうやってトライをとるのかが確立されていない、と書いたのを思い出す。スタッツを見ると、トライ数は共に3。互角の勝負でPGの差で早稲田が勝ったという結果が出ている。だが、実際にゲームを見る限り、早稲田の完勝だった。互角のスクラムと圧勝したラインアウト──セットピースで完勝。モールで1トライ、曽我部の個人技で1トライ、内橋のインターセプトで1トライ。トヨタから30点近くは取れることを証明した。
 ブレイクダウンでFWが頑張り、ポゼッションを高めたことも大きな勝因のひとつだ。個々人ではなくユニットでプレイできるFWを養成したことは清宮の手柄だろう。1年生の豊田をはじめ、どの選手もスキルが高く、ボールへの寄せも早かった。
 だが、FWはともかくバックラインのディフェンスが強くない。3つ取られたトライのすべてにバックラインのディフェンスの弱さがある。最初のティァティァのトライは、右にふられてスペースをつかれた。両センターでもっと早く止めておけばこのトライはなかった。2本目のトライは、首藤、今村のタックルが高すぎ。これでは振り切られる。3本目のトライは曽我部のパスミス。もちろん、もっと早く止めておけば2本は取られず、曽我部がゲームを見る力をもう一段上げれば、3本目もなかった。
 ボールをイーヴンにキープすれば戦えるという実感をどの選手ももったゲームだったろう。だが、ラインブレイクで取ったトライは曽我部の1本だけ。どうやってラインブレイクするのか、それについての方法論がまだ足りない。
 ぼくも「感動」したゲームなのに苦言ばかりですまない。でも東芝府中にもいい勝負をし、できれば勝ってほしい。でも、今のままでは勝機はない。どうすればよいのか?
 FWの力、バックラインの能力ともに東芝がずっと上。誠実で力強い東芝FW、そしてマクラウドを中心に変幻自在でハードタックラーでスキルも高いバックライン。東芝にキープされれば、ゴール前のモールによるトライを奪われるのは必至。だからFWには、このゲームより以上の頑張りが要求される。セットピースで少なくともイーヴン。マイボールはすべてキープする条件で7:3で、まだ東芝。5:5にするには、セットピースでの健闘とブレイクダウンでの一層の速度、そして何よりも、ラインブレイクへの新たな方法論、これが必要。そしてディフェンスでは、旺年の慶應のような足首に突き刺さるタックルを連発するだけ。「アタックル」を思い出すこと。
 ではラインブレイクの方法は? さっきまで書かなかったが、早稲田が東芝よりも優れている部分はハーフ団。矢富に曽我部にスペースを与えること。それには、もっとワイド。曽我部のパスがぶれないこと。曽我部から一気にウィング勝負。どう考えてもポゼッションは東芝だろう。どんなに魂のタックルを繰り返しても3トライは奪われるだろう。だから21点は取られる。だから4トライする方法を考える。30点取る方法を考える。PG、DGはすべて狙う。曽我部はパスだと思われているから、もっとキックを多用し、東芝FWを背走させる。するとハーフ団にスペースが生まれる。そして両センター(これがポイント)でマクラウドと富岡を徹底マーク。今村と池上はある程度アタックを諦めて、トイ面だけを見つめること。豊田、松本は2倍走って2次防御に努めること。これでやっとイーヴン。あとはPGとDGが勝負を分ける。