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May 16, 2006

代表23人の選出
梅本洋一

[ sports , sports ]

 4年前にも同時期にW杯の選手選出について書いた。あれから4年経った。いろいろあった。久保が選ばれなかった。松井大輔が選ばれなかった。久保は体調不良を理由に選出されなかった。スコットランド戦の後半で遠藤が代えられたので、てっきり松井が選ばれるかと思ったが、ジーコの寵愛の厚い遠藤は選出された。しかし、大したサプライズはない。
 本当にジーコはブラジル人の監督だ。チームというものは──とか、代表というものは──といったヴィジョンを彼に期待するのはないものねだりだろう。今、集めて予選を突破できそうな23人を選んだということだ。久保や松井とは別のところに問題はある。土肥の32歳を例外にして、このチームは、26歳から30歳の選手が中心だ。若いのは駒野と巻。年齢の集中がめだつ。チームの年齢構成にバランスがない。次のW杯はどうするのか、は次の監督任せ。アテネ五輪チームの山本昌邦は「アテネ経由ドイツ行き」をスローガンにしていたが、「アテネ経由ドイツ行き」は、駒野とオーヴァーエイジの伸二だけ。伸二は代表に帯同してもよかったから、松井の落選によって、結局、駒野だけ。次世代の育成などジーコは無関心だ。そして無関心でいい。彼は代表チームの監督なのだから。どんなフットボールをするかを決めるのは選手だ。この23人でできるフットボールをするということだ。
 多くの問題は抱えているものの、ジーコ本の書評にも書いたけれど、ぼくは、このチームはかなり強いと思う。どのくらいを「かなり」と呼ぶかについて、ぼくは責任が持てない。「かなり」が「本当に」に変化するためには、ミッドフィールドのさらなる充実と高原と柳沢のシュートが枠に飛ぶかどうかにかかっている。ミッドフィールドの充実とは、稲本にとっても、伸二にとっても、この大会は試金石であって、よいプレーを見せなければ、今後の移籍はあり得ないということ。そして、ヒデと俊輔にとっては、正念場だということ。ボルトンでもレギュラーを張れない日本の英雄とイギリスの北部リーグでまずまずの活躍はしただけの左足のフリーキッカーにとって、この大会で決定的な仕事をしなければ、来シーズンはない。韓国にはトッテナムの左サイドバック、マンUのアタッカーがいる。だが、セルティックもボルトンもそれらのチームに比較して格下であり、ウェストブロムやフェイエノールトは一流ではない。このチームには、欧州の一流チームのレギュラーを張る選手は誰ひとりいない。だから、明日のチャンピオンズリーグ決勝を控えた選手たちよりはW杯へのモティヴェーションは高いはずだ。W杯は各国リーグの後の「おまけ」ではない。このチームには、ひとりのセスク・ファブレガスもひとりのクリスティアーノ・ロナウドもいない。皆、中庸な選手だ。ヨーロッパでプレーする選手とジーコはそのことを知っているだろう。