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March 31, 2006

『メルキアデス・エストラーダの3度の埋葬』トミー・リー・ジョーンズ
田中竜輔

[ cinema , sports ]

 合衆国とメキシコとの国境において生まれたこのフィルムは、同時にもうひとつの境界を起点にしてその運動を始める。それは「生」と「死」における境界においてである、と言ってしまえば単純なことに聞こえるのかもしれないが、そうではない。  まずはじめに、私はこのフィルムの序盤を見ていて人間関係がまったく理解できないことに戸惑った。このフィルムはそれほど多くの人物が出演しているわけではないし、ここで語られてい...全文を読む ≫

投稿者 nobodymag : 10:22 AM

March 29, 2006

『ニュー・ワールド』テレンス・マリック
須藤健太郎

[ cinema , cinema ]

 「映像と音響の洪水」という表現がいつだったか何かの映画にされていたと思うが、まるでその表現がぴったりと当てはまるように、この映画は見る者を圧倒するだろう。絶え間なく聞こえるモノローグの数々がこの映画の語り手を決して一点には収斂させず、拡散させていくうちに、語りの時制も語り手の人称も判別することができないまま観客はそのラストを迎えてしまうはずだ。大まかに言えば、ポカホンタス(クオリアンカ・キルヒャ...全文を読む ≫

投稿者 nobodymag : 10:58 PM

チャンピオンズリーグ アーセナル対ユヴェントス2-0
梅本洋一

[ sports ]

 奇妙な1戦だった。前半を見る限り、ユヴェントスの巧妙かつ手堅いフットボールがアーセナルのパスフットボールを完全に消していたが、前半残り5分でセスクのシュートがテュラムの股間を抜けてユーヴェ・ゴールに吸い込まれていった辺りから次第に形勢が変化を始めた。  アーセナルのアタッキング・フットボールの長所は、中盤のパス交換から両サイドに展開され、サイドを崩しきった形でシュートというものだが、ゲーム開始早...全文を読む ≫

投稿者 nobodymag : 10:57 PM

March 27, 2006

『マンダレイ』ラース・フォン・トリアー
結城秀勇

[ architecture , cinema ]

 「ドッグヴィル」を後にしたグレースは「マンダレイ」に立ち寄る。そこはローレン・バコール演ずる「ママ」の法律が支配する場所だった。グレースは村人を時代錯誤的な「ママの法律」から解放しようと試みるのだが、結局のところその試みは失敗し、自分が新たな「ママ」になることでしか「マンダレイ」と関係を持つことができなくなる。  マンダレイという街を存在させる原理が、ママの権力で繋ぎとめられた被支配者たちである...全文を読む ≫

投稿者 nobodymag : 10:54 AM

『グッドナイト&グッドラック』ジョージ・クルーニー
須藤健太郎

[ cinema , sports ]

 前作『コンフェッション』でもアメリカ政府という巨大な組織との葛藤がテレビという新興のメディアを舞台に描かれていた。そこにはキャスターの父を持ち、一時は自身もそれを志したというクルーニーの個人的な憧憬が投影されているのだろうが、前作におけるチャーリー・カウフマンによる脚本のその複雑さとはまったく逆に、クルーニーは『グッドナイト&グッドラック』では単純なストーリーと単純な構造を獲得している。ほとんど...全文を読む ≫

投稿者 nobodymag : 12:22 AM

『哀れなボルヴィーザー』ライナー・ヴェルナー・ファスビンダー
須藤健太郎

[ cinema , sports ]

 いま公開されいる封切り作にも見たいのはいっぱいあるのだけど、アテネにファンスビンダーを見に行く。すると、すごい行列。暇なときにブログなど見ていて思うが、毎日のように封切り作にもこうした特集上映にも駆けつけるための時間とお金と気力はいったいどこから湧いてくるのだろう。まだまだ先は長い。なんとか工面しつつ、テンションを保たないとやっていけない。  それにしてもこの『哀れなボルヴィーザー』の主人公は、...全文を読む ≫

投稿者 nobodymag : 12:21 AM

March 22, 2006

シックスネイションズ06 ウェールズ対フランス 16-21
梅本洋一

[ sports , sports ]

 W杯開催を来年に控えたフランスが、ホームのミレニアム・スタジアムで久しぶりに頑張るウェールズを振り切って今年のシックスネイションズに優勝した。  もっともゲームは面白いものではなく、今期不調のウェールズをフランスが舐めてかかったのか、イングランド戦で見せたディフェンスが見られない。少しずつゲインラインを許し、何とかトライラインを越えさせないが、ここでもファンタスティックなアタックは見せないまま。...全文を読む ≫

投稿者 nobodymag : 10:26 PM

March 20, 2006

『白い足』ジャン・グレミヨン
藤井陽子

[ cinema , cinema ]

 ポール・ベルナール演ずる伯爵の白いゲートルが闇夜に浮かび上がると、子供たちが目ざとく「白い足、白い足!」とからかいながら群がっていく不気味なシークェンスを経て、ブルターニュの港町で起こった5人の男女の復讐劇の幕があがる。  美しく豊満な肉体を持ち「最高の女」ともてはやされ、常に貴婦人であろうとする元お針子のオデット(シュジー・ドレール)は、酒場の主人で魚卸業を営むジョック(フェルナン・ルドー)の...全文を読む ≫

投稿者 nobodymag : 12:45 AM

シックスネイションズ06 フランス対イングランド 31-6
梅本洋一

[ cinema , sports ]

 フランスの完勝のゲーム。その戦略はあとで書くことにして、このゲームの印象として誰の目にも見えることは、イングランドの退潮だ。ワールドカップ優勝から2年半が経過し、監督は交代しても、このチームはかつての遺産を使い切ってしまっているのに、遺産を粉飾決算して金庫に預金があるような戦いをしていることだ。徹底したFW戦。少しずつ前進し、しぶとく敵陣に入り、そこでPG。ジョニー・ウィルキンソンがいたからこそ...全文を読む ≫

投稿者 nobodymag : 12:38 AM

スキーW杯 スラローム最終戦
梅本洋一

[ cinema , sports ]

 トリノ後の志賀高原で2位、5位というリヴェンジを果たし、アキラもいよいよ最終戦。スウェーデンのオーレだ。「腑抜けた野郎だと思われたくなかった」「曇りでも初めて下が見えた」いずれも志賀高原でのアキラの発言だ。確かに「金以外考えていない」はずだったが、2本目の片反。「腑抜けた野郎」だと誰でもが思ったろうし、誰でもには、アキラ本人も含まれている。自分自身が「腑抜け」に思われるとき、人は発憤せざるを得な...全文を読む ≫

投稿者 nobodymag : 12:36 AM

March 10, 2006

『恋の掟』ミロス・フォアマン
結城秀勇

[ cinema , sports ]

 3月いっぱいまで東京日仏学院で行われている、アルノー・デプレシャンによるプログラム「人生は小説=物語(ロマン)である」は極めて示唆に富んだ特集である。なかでも、余り注目していなかったミロス・フォアマンのこのフィルムのおもしろさには驚いた。  何度も映画化されているコデルロス・ド・ラクロの『危険な関係』であるが、手紙のやりとりだけで構成されるこの原作を、「秘密」と「共犯関係」のふたつを主軸として映...全文を読む ≫

投稿者 nobodymag : 12:32 PM

チャンピオンズ・リーグ アーセナル対レアル・マドリー 0-0(1-0)
梅本洋一

[ sports ]

 スコアレスドローとはいえ、両チームの力を振り絞った好ゲーム。アーセナルの若いバックラインとユングベリ、フレブの中盤両サイドの頑張りが素晴らしかった。ラウレン、アシュリー・コール、ソル・キャンベルと不動のバックラインが次々に故障し、右からエブエ、トゥレ、センデロス、フラミニのラインはヴェンゲルの選択ではない。単に他に選択肢になかったからこうなった。だが、このゲームを見る限り、急造どころかプレミアで...全文を読む ≫

投稿者 nobodymag : 12:31 PM

March 9, 2006

「表参道ヒルズ」安藤忠雄
梅本洋一

[ architecture , architecture ]

 原宿駅前にもキディランド前にもまだ歩道橋がなかったころ、ぼくは原宿に住んでいた。東京オリンピック直後のことで、コープオリンピアに並ぶ国土計画(?)のビルの向こうには富士山が見えていた。振り返るとなだらかに明治通りに下っていく表参道がふたたび青山通りに向かって上っていく姿が眺められた。表参道の両サイドにはまだ民家もあって、鈴木くんや青柳くんなど同級生の家もあった。雪の朝は原宿駅前から車の通らない表...全文を読む ≫

投稿者 nobodymag : 12:46 AM

チャンピオンズ・リーグ バルセロナ対チェルシー 1-1 (3-2)
梅本洋一

[ sports ]

 モウリーニョの顔が後半30分過ぎから穏やかなものに変化していった。「負け」を確信したからだろう。それまで審判の判定に両手を上げ、懸命に強気を装っていたのだが、どう見てもそれから15分で2点取る力はチェルシーにない。  ゲームはいつもように右サイドのメッシの崩しから始まり、縦横に動き回るメッシに翻弄されるようにチェルシーが後手に回る。だがメッシが足を悪くしてラーションに代わる。しばらくはイーヴンの...全文を読む ≫

投稿者 nobodymag : 12:44 AM

『究極の勝利──最強の組織とリーダーシップ論』清宮克幸
梅本洋一

[ book , book ]

 清宮克幸の5年間の早稲田ラグビーの総括の書物。本書を読むと、清宮が策士でもなんでもなく、単に素晴らしいコーチであることがよく分かる。彼は明瞭に育成型のコーチであって、ここ一番に「番狂わせ」を演出するコーチではない。だから彼は5年間ものあいだ、早稲田ラグビーの監督を務め、そして、最後にはトヨタを敗るという結果を出したのだ。毎年選手が代わる学生ラグビーの中でどのように常勝チームを作るのかという試行錯...全文を読む ≫

投稿者 nobodymag : 12:36 AM

March 4, 2006

『エリ・エリ・レマ・サバクタニ』青山真治
結城秀勇

[ cinema ]

 波。嵐が過ぎ去った直後の海は泥や砂を巻き上げて、攪拌して、高く沸き起こり、強く打ちつける。あの轟音は静かに澄み渡った海からは生まれない。風と水面との関係や、もっと遙か遠くの地殻の震動といった、目に見えない関係性を可視化して、土色の荒れて濁った波は重く鳴り響く。砂や泥といったミクロな細部の混濁が色彩として目の前に現れ、いまここを揺らす音の徴となる。  ミズイとアスハラというふたりの収集者=発明家が...全文を読む ≫

投稿者 nobodymag : 1:12 PM

March 3, 2006

『第九交響楽』デトレフ・ジールク(ダグラス・サーク)
月永理絵

[ cinema ]

 99年に出版された、ライナー・ヴェルナー・ファスビンダーの著作集『映画は頭を解放する』は、ダグラス・サークについての記述から始まる。サークからの影響を強く受ける彼は、『天はすべて許し給う』や『悲しみは空の彼方に』など、自分が見ることができたアメリカ時代の作品を並べ、ときに「胸くそが悪くなる」というような明け透けな言い方をしながら、物語の中で生きる人々の性質について語っている。たとえば、『風と共...全文を読む ≫

投稿者 nobodymag : 8:59 AM

March 1, 2006

『歌へ今宵を』カルミネ・ガッローネ
須藤健太郎

[ cinema ]

 幸福な空間とはおそらくこういうことを言うのであろう。上映後には拍手が起こり、あちこちからヨカッタヨカッタという声が聞こえる。まるでこの映画のラストで幸福感に満たされた誰もが突如として踊り出してしまうように、軽い足取りで、幸せな気持ちになって、みなが会場を後にしているように見えた。映画を見ることの楽しさとは、そう、このような幸福な体験を繰り返すことなのかもしれない。そんなことを思った。  主演のヤ...全文を読む ≫

投稿者 nobodymag : 1:07 AM

『ボーイ・ミーツ・ガール』レオス・カラックス
須藤健太郎

[ cinema ]

 巷ではJ・T・リロイが実在しなかったというニュースが賑わっているが、確かにこれには驚いた。ウィノナ・ライダーやアーシア・アルジェントはその事実は知っていながら、その隠蔽に協力したとして非難の的となっているようだ。  アーシア・アルジェントがリロイの小説を基に作った『サラ、いつわりの祈り』を見たとき、カラックスのことを思い出した。それがカラックスを想起させたのではなく、それが単にジャン=イヴ・エス...全文を読む ≫

投稿者 nobodymag : 12:59 AM

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