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August 30, 2006

『ブラック・ダリア』ブライアン・デ・パルマ
梅本洋一

[ cinema , cinema ]

 ジェイムズ・エルロイの傑作ノワールをデ・パルマが映画化。それだけでワクワクするのはぼくだけではないだろう。多くの人物に等価に光を当てて、複雑な物語を語るエルロイとバロック的映像を多用するデ・パルマの齟齬を不安視する向きもあるだろう。いったい今のハリウッドに『ブラック・ダリア』に出演することのできる俳優たちはいるのだろうかという危惧もある。でも、そんないっさいの不安や危惧よりも、デ・パルマとエルロ...全文を読む ≫

投稿者 nobodymag : 1:56 PM

マンチェスター・シティ対アーセナル 1-0
梅本洋一

[ sports , sports ]

 ぼくらアーセナルのサポーターにはアルセーヌ・ヴェンゲルからMy Verdictというメールが毎週送られてくる。その週のゲームの分析と今後の展望が記されている。アストン・ヴィラに引き分け、シティに負けたアーセナルは最悪のスタートを切ったように見える。幸いチャンピオンズリーグの予備予選は勝ち抜いたが、先シーズンのリヴァプールのように、予備予選に出場するチームの始動は他のチームよりもずっと早い。アーセ...全文を読む ≫

投稿者 nobodymag : 1:44 PM

August 25, 2006

三信ビル、その後
梅本洋一

[ architecture , architecture ]

 先日、日比谷を歩いていたら、三信ビルがガランとしているのに気付いた。ビルのテナントはもうほとんどが引っ越し、「ニューワールド・サービス」だけがほそぼそと営業を続けていた。韓国観光協会もヌーヴェルヴァーグもその姿を消し、美しいアーケートの中央には壁が設けられ、調査のため立ち入り禁止の紙が貼られていた。いよいよ解体へと秒読みが始まっているのだろう。  ネットで調べてみると、三信ビル保存プロジェクトも...全文を読む ≫

投稿者 nobodymag : 8:07 AM

『水の花』木下雄介
梅本洋一

[ cinema , sports ]

 PFF出身の俊英の新作。俳優の演出の面でぎこちなさは残るが、このフィルムを弱冠24歳の監督が撮影したとはやはり俄には信じがたい。父母の離婚後、父の許に残った女子中学生が、ひょんなことから父との離婚の原因になった母の子に出会い、ふたりの奇妙な時間が過ぎていく。それだけの話だ。だが、フィックスのショットに収まった中学生の揺れが正確に伝えられている。その主題、その方法の面で、この作り手は明らかに映画作...全文を読む ≫

投稿者 nobodymag : 8:06 AM

August 22, 2006

アーセナル対アストンヴィラ 1-1
梅本洋一

[ book , sports ]

  06-07シーズンのプレミアリーグの開幕戦。ハイバリーに別れを告げエミレート・スタジアムに移ったアーセナル。今シーズンの移動としては、もちろんベルカンプの引退、ソル・キャンベルの移籍、さらにアシュリー・コールのチェルシー移籍をヴェンゲルが承認したというニュースがある。ロシツキーの加入も大きなニュースだが、チャンピオンズリーグ予備戦の対ディナモ・ザグレブ戦で怪我をして開幕には間に合わなかった。セ...全文を読む ≫

投稿者 nobodymag : 5:19 PM

August 17, 2006

『叫』黒沢清
梅本洋一

[ cinema , cinema ]

 ここには『回路』がある。ここには『CURE』がある。ここには『降霊』がある。そしてここには孤独な刑事がいる。だからここには『カリスマ』もある。だから、『叫』で黒沢清はそれまでの自らの集大成を行っているのかもしれない。映像や演出の面でも話法の面でもそれは確かだ。だが、それ以上にこのフィルムには地霊が棲みついている。かつて鈴木博之が書いた書物に『東京の地霊』(文藝春秋)があった。東京から選ばれた13...全文を読む ≫

投稿者 nobodymag : 10:32 AM

アジアカップ予選 日本対イエメン 2-0
梅本洋一

[ cinema , sports ]

 引いた相手をどう崩し、どうやって点を取るのか? 力が上のチームの永遠の課題だ。ワントップを残し、常に9人で自陣に立て篭もるイエメン。ほぼポゼッションは8割。だが、なかなかゴールを割れない。もちろんチャンスは多い。バーやポストに嫌われたシュートが2本。キーパーの好セーヴに阻まれたシュートが2本。ペナルティエリア近くで得たFKも3本がゴールをかすめた。どれも入っていれば単に圧勝のゲームだった。だが、...全文を読む ≫

投稿者 nobodymag : 10:28 AM

August 10, 2006

キリンチャレンジカップ 日本対トリニダード・トバゴ 2-0
梅本洋一

[ cinema , sports ]

トリニダード・トバゴのメンバーがベストではないことを差し引いても、新生日本代表の動きは溌剌としている。W杯で決勝トーナメントに残らなければならないとか、自らの進退とか、そういった抑圧から一切自由になり、純粋にフットボールがうまくなりたいという若者たちの欲求が伝わってくるからだ。負けてもいいんだ、良いフットボールをやろうよ。良いフットボールは、ピッチの中をボールと人が縦横無尽に動き回るフットボール...全文を読む ≫

投稿者 nobodymag : 10:02 AM

ダニエル・シュミット追悼
梅本洋一

[ cinema , cinema ]

 朝刊の死亡記事でダニエル・シュミットの死を知る。  ぼくがダニエル・シュミットに初めてあったのは今から24年前のことだった。当時は東京のシネフィリーが突然発酵し、アテネフランセに長蛇の列ができた時代だった。そのきっかけのひとつがダニエル・シュミット映画祭だった。シュミットの映画──特に『ラパロマ』──が極め付きのシネフィル映画ではなかったが、彼が導きの糸のような存在──そうPasseurだ──に...全文を読む ≫

投稿者 nobodymag : 10:00 AM

August 3, 2006

『ゆれる』西川美和
梅本洋一

[ cinema , cinema ]

 多くの観客を集めている、この兄弟の愛憎劇をようやく見た。水曜日ということもあってか、映画館は1時間前に満員札止め。観客のほとんどは20代から40代の女性だった。  残念ながら処女作の『蛇イチゴ』は未見だが、西川美和に才能が備わっていることは事実だ。  写真家として仕事をする弟が母の死をきっかけに久しぶりに山梨の実家に帰り、そこで実家のガソリンスタンドを経営する兄と会う。ガソリンスタンドではかつて...全文を読む ≫

投稿者 nobodymag : 8:08 AM

August 2, 2006

『黒沢清の映画術』黒沢清、大寺真輔、安井 豊
梅本洋一

[ book , sports ]

 面白くて一気に通読してしまった。  この書物は、大寺と安井、そして新潮社の風元さんの黒沢清の5日間にわたるロングインタヴューを構成したものだ。黒沢清が六甲高校の高校生時代に8ミリを撮り始めてから、『Loft』の公開までのおよそ30年間の軌跡がこの書物に収められている。だから、この書物は、黒沢清の「自伝」でもある。もちろん彼の仕事は映画監督だから、彼の作品についての詳細な解説にもなっているけれども...全文を読む ≫

投稿者 nobodymag : 11:33 AM

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