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January 8, 2007

W杯男子スラローム第4戦(アデルボーデン)
梅本洋一

[ cinema , sports ]

 先週のイタリア、アデル・バディアからW杯がヨーロッパに戻ってきた。フィンランド(レヴィ)、アメリカ(ビーヴァー・クリーク)、イタリア・アルプスから本場のスイスに戻ると、本当に景色が良い。三つ星観光地はやはり良い。本物のリゾートだ。青空を背景にヨーロッパ・アルプスが見えると、まるで絵葉書そのものだが、こんな景色があるのは、スイスだけだ。
 だが、ここのスラローム・コースは難しい。最初に中斜面の広いコース、そして廊下のような緩斜面を経て、一気に左に捩れた急斜面に突入する。それに今年は雪が少ない上に気温が高い。つまり、スタート順が遅ければ遅いほどコースが掘れるということだ。こういうコースのレースは荒れる。事実、第1シードの15人中7人がコースアウト。特に急斜面の入り口は難しいようで、多くの選手が板を横にしてしまいスピードがなくなる。次々にコースアウトする選手の影響で、次第に皆慎重になり、フルアタックよりも2本目に残ることが目標になってしまう。
 1本目の佐々木明──シーズン前に山本キッドの姉貴と結婚し、子供も生まれた──も、まずコースアウトせず、最後まで立っているだけの滑り。12位。こんなものか。結局、1番ビムのマルクス・ラールソンがラップ。そして2本目。気温はさらに上昇し、スタート地点(標高1650メートル)で6度。まるで春だ。これではコースが掘れ、番狂わせが起こる。事実、1本目60番ビムから27位に飛び込み、2本目3番スタートのマルク・ベルトーがスーパースラロームを見せ、1位に残ってしまった。明の滑りは良かったが、タイムが出ない。1本目も2本目の中盤の順位で滑らねばならず、これは不利だ。というよりも、1本目も2本目もスーパーな滑りができていない。表彰台を狙うためには、少なくともどちらかはスーパースラロームを見せなければならない。事実、2本目に限れば、明はベンジャミン・ライヒ(2位)やカレ・パランダー(4位、ぼくは彼の滑りが大好きなのだが)よりも早い。だが、大きなタイム差はつけられない。問題はここだろう。
 だが、まだシーズン序盤。次のヴェンゲン、そしてキッツビューエル。クラシック・レースが続く。義理の弟になった山本キッドもオリンピックをめざすことを言明しているし、今シーズンこそ表彰台の真ん中に一度は立って欲しい。