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January 15, 2007

ラグビー大学選手権決勝 関東学院対早稲田 33-26
梅本洋一

[ cinema , sports ]

 誰の目にも明らかなとおり、関東学院が早稲田のラインアウトを制圧して勝利。ぼくの予想は見事に外れた。ラグビーにおいても1対1に勝つことの重要性。だが、1対1の勝負に出てくる相手を交わしきれない早稲田のナイーヴさも見逃せない。
 準決勝での関東学院の強さに驚き、ガツガツ来たらやばいぜと思っていたが、こういうチームに勝てない早稲田はまだまだだということだ。大学選手権の決勝とは言え、それが6年連続ともなれば、これはもう対抗戦だ。一発勝負で敗れた方はリヴェンジできない。毎年チーム編成が変わる学生チームの決勝だから、もうこの時間は戻ってこない。早稲田の涙の理由も分からないではない。
 見ていてふたつのことを考えた。ひとつは、今シーズンの早稲田を見ていて、先シーズンほどの強さを感じなかったが、ここまで結果的に無敗で来てしまったし、チームに内在する問題が顕在化する以前に決勝まで来てしまったということ。運動量はあるが背が大きくないフランカーのようなロック陣とスクラムハーフよりも小兵の6番──今日のゲームの敗因は残念ながらここにある。現実に東条と後藤がノーサイドのホイッスルを聞く前にピッチを後にしていたが、第1列の希有の強さの影で彼ら3人の弱点が隠蔽されてしまったようにも感じられる。無い物ねだりかもしれないが、大きなロックが最低ひとりは必要で、後藤か権丈がフランカーに回るような布陣がとれれば、ラインアウトの完敗もブレイクダウンで後手に回る回数も今日よりは少なかったろう。ふたつめは、実は今日のチームでも勝てたのではないかとも思っているということだ。前半の2つ目のトライは五郎丸のディフェンスの悪さが多少でも改善されていれば防げたと思う。そして首藤のコンディションが悪かったのではないか。トイ面の浅見に3つもトライされている。もちろん全体を見ればラインアウトの完敗だが、もっと微視的に見れば、5つ取られたトライのうち2つは防げたように見える。ゲーム運びさえもう少し落ち着いてやれれば僅差で勝てたのではないか。
 もちろん悪いところばかりではない。曽我部のディフェンスはずいぶん改善された。もっとタイトなゲームを体験していけば、もっと改善されると思う。
 だがシーズンはこれは終わりではない。少なくとも日本選手権であと1ゲームはできる。それに勝てばあと2ゲーム……。ガチガチにくる相手でも交わせる大人のチームに仕上げて今シーズンを終えて欲しい。それが中竹の仕事だ。