スキーW杯スラローム第5戦、第6戦梅本洋一
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ヴェンゲンのスラロームが雪不足でキャンセルになった。ヨーロッパの雪不足は相当深刻なようだ。ヴェンゲンのダウンヒルがラウバーホーン・レース(このダウンヒルはかつてマイケル・リッチーの映画『白銀のレーサー』1969で採り上げられ、主役はロバート・レッドフォードだった)として著名であり、続くキッツビューエルのレースはハーネンカム・レースと言われる。いずれもクラシック・レースだ。つまり競馬で言えば皐月賞、ダービーという感じだね。ヴェンゲンのラウバーホーン・レースはかろうじて行われたが実況を見る限り、銀嶺のヨーロッパ・アルプスではなく、ところどころに岩肌と土が露呈した哀れなコースだった。そしてスラロームがキャンセルされたヴェンゲンに代わって、キッツビューエルでキャンセルされたのはハーネンカム・レース。スラロームはヴェンゲンのキャンセル分と合わせて2レースがキッツ。選手たちもコンディショニングが大変だろう。
そしてジャパン・チームは皆川賢太郎が怪我で長期離脱を余儀なくされ、湯浅も不調で、つまりアキラひとり。アデルボーデンで調子を上げてきたので期待したが、2レースとも、1回目が32位、33位という成績で2本目にも残れない。いったいどうしたことなのか? 昨年までのアキラのレースは、ゴールまで立ってさえいれば絶対入賞というイチかバチかのスタイルだったから、見ていてとても面白かったが、(お父さんになったせいかどうか知らないし、義兄の山本キッドが大けがをしたせいかどうかもわからないが)1本目は、この2レースとも、2本目に残ろうという滑りで、ぜんぜんダメ。絶対速度がないので、ミスをすれば大きく遅れ、つまり3本目にも残れず、したがってポイントも取れない。安全にいって2本目に残り、2本目でフルアタックというのが作戦だったかも知れないが、そういう作戦は彼には合わない。
ジョルジョ・ロッカ、ベンジャミン・ライヒといった安定したスラローマーなら、そうした作戦も的を射たものかもしれないが、アキラに限って安全に行って良いことはない。スラロームのランキングも、この2戦の失敗で26位に下がってしまった。これじゃ第2シードのケツの方だ。今から4年前のヴェンゲンの2本目で50 番台のゼッケンでラップをとったアキラはもう過去の人なのか? ぼくの好きなスラローマー、フィンランドのカレ・パランダーは確かもう30 を越している。彼は1本目に失敗してもカスカスで30番に入り、2本目にフルアタックして常にポイントを稼いでいる。去年の焼額でのアキラの言葉を思い出して欲しい。「このままで終われば、俺は腑抜け野郎だ」。次戦のシュラドミンクでは、もう1本目からフルアタックするしか、第1シード復帰はない。こういう状況を正念場という。