« previous | メイン | next »

June 11, 2007

怒濤のテストマッチシリーズ(2)
梅本洋一

[ photo, theater, etc... , sports ]

オーストラリアA対ジャパン 71-10、オールブラックス対フランス 61-10
 2ゲームとも一方的なゲーム。厳しく言えばこういうゲームを「テストマッチ」とは呼ばない。かつてからこんなテストマッチを繰り返していたジャパンはともあれ、ベルナール・ラポルトにとっては、どんな理由があろうと「屈辱的な大敗」だ。
 まずジャパンから。ずっとスタンドオフ問題を書いてきたが、相手がかなり強くなると、別の問題がクロースアップされてくる。両センターの問題だ。このゲームは平、今村のコンビ。どちらの選手も嫌いではないので期待したが、まったくの期待はずれに終わった。結局のところ、ふたりとも巧手のインサイドセンターがいるからこそ生きるタイプの選手であることが分かった。ゲームを読み、自ら仕掛けていくタイプではなく、使われるとその能力が目を覚ますタイプなのだ。とすれば、ハードタックルを持っていて、しかも人を使える12 番を探す必要があるだろう。東芝のマクラウド・クラスじゃないと意味ないが、この日、センターに入ったリコーのロビンスだろうか。ここでもアーリッジの怪我が痛い。誰か「彗星の如く」現れないものか。そして、お馴染みのスタンドオフ問題。このゲームでは小野が起用されたが、「功罪相半ば」という感じ。確かに前半20分まではしっかりラインをリードできたし、ある程度のタックル力も見せてくれた。だが、ゲームの趨勢が見え始める頃、その流れを変えるようなリーダーシップは見られず、彼もまたゲームの流れに埋没してしまう。
 目立ったのは、グレン・マーシュ! こういうのを「格の違い」という。

 そして、ぼくが見た中でもっとも差がついたオールブラックス対フランス戦。結局、フランスは2ゲームを無駄に戦った気がする。収穫ゼロだ。セバスティアン・シャバルがディフェンスでただひとり目立つようでは困る。オリヴィエ・マーニュの衰えは目を覆うばかり。1列のカリファノの衰えも目立つ。とりあえずオールブラックスのFWに拮抗しなければフランスの勝利があり得ないことは証明された。スクラム完敗、モールでターンオーヴァーされるのでは勝負にならない。それにこのゲームのバックス陣ではサイズも走力も劣る。ハーフ団はゲームメイクできていない。つまり、どこもかしこもダメ。それでもランク2位とは!?
 もちろんトップ4がまだ国内リーグだという言い訳はある。でも8トライ取られるのは完敗を通り越して惨敗だ。リッチー・マッコーに勝る走力のある3列。センター陣の自在な技でオールブラックスを振り切れるフランスがない限り、W杯でも期待できない。ラポルトはこのゲームでいったい何がやりたかったのか?「いい経験になった」「国際試合がどんなものが体で分かったろう」ラポルトとジョー・マゾの言葉だ(エキップより)。でもあと2ヶ月ちょっとでW杯。そんな悠長なことでいいの?あとは8月に対イングランド戦2ゲームと対ウェールズ戦1ゲームでW杯。それに対して、これからトライネイションズを控えた3チームがある。