PNC第3戦:ジャパン対サモア 3-13、トライネイションズ開幕戦:スプリングボクス対ワラビーズ 22-19梅本洋一
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早朝に懐かしいゲームをスカパー!で見る。91年W杯のアイルランド対ジャパン戦だ。結果は32-16でダブルスコアなのだが、ジャパンは面白いラグビーをしていた。素早いラックからボールを展開し、バックス勝負。戦術はこれだけ。だが、松尾(勝)、平尾、朽木のフロント3で必ずゲインする。そこに林、ラトゥーを絡ませて、大外へ。大外には吉田義人がいる。このゲームに出場し、そして、この日の解説をしていた梶原は、当時良いメンバーがそろっていたというが、本当にそうだ。何よりも戦術の統一がいい。ジャパンはこうやって戦うのだという徹底が見事だ。宿沢広朗のインテリジェントなチームがここにあった。敗因はマイボールさえ満足に確保できないラインアウト。これが取れていれば勝てたかも知れないゲーム。
そして対サモア戦。JKはベストメンバーを組んだという。もしジェイムズ・アーリッジがいれば、もっと競ったゲームになったろう。なにしろ安藤のイージーがPG3発の失敗がいたい。ディフェンスはなかなかよくやっていた。ぼくがコーチならとっくの昔に安藤を見切っているが……。91年のチームと比較することになるが、フロント3の実力差と共に、スクラムハーフの力量の差が目立つ。堀越は相当プレッシャーのかかった中でもボールを裁いて松尾に繋いでいたし、ディフェンスのポジショニングがすごく良かったが、今のスクラムハーフは、ほんと強力FWを背景に持っていて、そこから力を発揮している。だからFWが劣勢になったらもう力を発揮できない。ブレイクダウンの劣勢を攻勢に化学反応させるのが、SHとSO、つまりハーフ団の役目だ。昔は良かったというのはノスタルジーでしかないが、力関係での劣勢を想定してセレクションする方法もあるだろう。JKの仕事ぶりを否定したくはないが、このやり方は、すべての局面で1対1に勝たなければ勝利はないような気がする。
そしてスプリングボクスはすべての局面でワラビーズに対して1対1の勝負に出た。ゲームとしては局地戦になり、フレアを発揮する余地は極めて減るが、ラグビーの原点のようなこのゲームは、やはりすごい。ワラビーズは、スプリングボクスの1対1勝負をコレクティヴな力で受け止め、グレーガンの獅子奮迅の活躍でイーヴンな勝負に持ち込んだ。最終的にはドロップゴール2発で勝負がついたが、こうしたゲームもそれないに面白いものだ。ファイトするとはこういうことだ、と両チームの全選手が体を張って見せてくれた。