アジアカップ2007:日本対UAE 3-1梅本洋一
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相手の監督がブリュノ・メツということもあり、UAEはかなりやるのではないかと思ったし、前戦の日本の出来が非常に悪かったので、このゲームがこの大会のこのチームの将来を占うものだと考えていた。
結果は見ての通り、日本の圧勝。最後の10分間の相手を「ほかす」プレーは貫禄ものだった。2ゲームを見た限りでは、敵は相手チームではない。東南アジア特有の蒸し暑さだ。かつてシンガポールへ行ったときのことを思い出す。ホテルに入りシャワーを浴びても一向にベットリと貼り付いた汗が引かなかった。フットボールに適した気候ではない。こういう気候の中では、最初にバーッと飛ばし、一気に点を取って──それも2点以上──あとはゆっくりとポゼッションするに限る。前戦のカタール戦で前半をゆっくりと省エネでいくのは間違っていた。このゲームが正しい。
高原依存症がクロースアップされている。確かにこの日の2点はお見事。センターフォワードの見本。そして、体調を崩しての交代は仕方ないだろう。誰でもこの気候の中で90分は辛い。だが、オシムが切ったこの日の3枚のカードはよく分からない。まず高原→羽生、そして俊輔→水野、怪我をした啓太→今野。納得の行く交代は最後の1枚のみ。そして、今野を入れてから3バックにして、ポゼッションを図ったのはよい。だが、まず高原→羽生は、交代と言えば羽生というワンパターン。この日の展開なら、佐藤寿人を入れるべきだ。走り回るミッドフィールダーよりも、バックラインの裏へ入れる選手を入れて、ロングパス中心の戦術に切り替える時間帯だった。そして水野はぼくも好きな選手だが、俊輔を休ませるなら、そこで羽生。つまり順番がちがう。あるいは、高原→今野、俊輔→羽生、そして啓太→寿人という順番なら、無失点で終われたかも知れない。フォーメーションで言えば、4-2-2-2から4-3-2-1(憲剛、啓太、今野の3ボランチでややディフェンシブになるがボールが落ち着く)、そして最後に3バックにするなら、3-4-1-2(並びは、阿部-中澤-今野、加地-憲剛-遠藤-駒野、羽生、巻-寿人)。これなら憲剛、遠藤から、前の3人にパスがどんどん出てくるだろう。ポリヴァレントを自称するオシムなら、このくらいの応用問題を容易く解いて欲しい。このチームの潜在能力を引き出すことが、コーチの役割なら、この機能の中心は、ポジションニングとフォーメーションを入れ替えながら、彼らの体力を温存しながら、「完勝」することだ。