チャンピオンズリーグ07-08GS
アーセナル対セビージャ 3-0梅本洋一
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セビージャは本当にいいチームだ。アタックの姿勢を忘れず、常に前へ前へと前進を続ける。キープする時間がもったいないという感じで左右両サイドからどんどん人が攻め上がってくる。ゲーム開始直後こそアーセナルのパスフットボールを見てしまった感があったが、それになれてくるとアタック!
だが、問題なのはシュートが枠に飛ばないことだ。ワンタイミング外してゆっくりと枠を狙ってもいいところを、シュート・コースが開くや否やドーン! 少年サッカーならあのタイミングでいいのだが、老練なチーム相手だと、ワンタイミングずらせば、強烈なシュートではなくても入るはずだ。
寄せては返す波のようなセビージャのアタックを両センターバックを中心にゆっくりと受け止めると、アーセナルのアタックが開始される。それは、セビージャのアタックのように「ゴールに一直線」ではない。バックラインとボランチあるいは両ワイドの間でワンタッチパスを交換し、スペースが生まれたところで、再び両サイドかワイド。セビージャの4バックは健闘しているが、それでもどこかにスペースが生まれる。アデバイヨールとファン・ペルシがなだれ込み、両ボランチが、こぼれ球に備える。セスクのシュートがセビージャ・ディフェンダーに当たってコースが変わり、ゴールマウスに吸い込まれる。今年はセスクがシュートを打つ。去年までは、アンリがシュートを打つお膳立てを全員が整えていたが、アンリが去った今、皆、シュートを打つ。アーセナルの好調の原因がここにある。
後半になるとファン・ペルシが追加点を上げるが、セビージャは諦めない。攻撃的な選手を次々に投入して、アウェイゴールを狙うが、プレミアの速度に慣れているアーセナルは、ここでもじっくり守る。シュートはどんどん打たれるが入るような気がしない。やはり崩しからスペースを生んで、シュートの確率を上げる感覚は、セビージャという若いチームにはまだ備わっていないようだ。タイムアップ近くにフルアタックに出たセビージャをあざ笑うようにダ・シウバの3点目。
だが、セビージャはいい。アーセナル・ファンのぼくもそう思う。こういう若いチームは清々しい。まだまだ伸びシロがあり、このグループステージを闘ううちに、チームも老練さを身に着け始めるだろう。決勝トーナメントに出て、イタリアのチームを相手にする頃、このチームはどのくらい成長するだろうか。