オリンピック最終予選 日本対サウジアラビア 0-0梅本洋一
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前半はサウジ、後半は日本という展開。西川とバックラインの活躍、そして、後半はサウジのゴールキーパーの活躍。引き分けでオリンピック出場。こうしたゲームは、こういう展開というものだ。
だが、このチームは、本当にまだまだ。4-4-2と3-5-2を使い分けるには、このチームは経験不足。どちらのシステムも頭では理解し、しっかりとポジショニングするのだが、応用問題が解けない。今夜の3-5-2からの事例をいくつか。たとえばトップ下に抜擢された柏木。よく走り、ボールに絡むのだが、ボールを奪ったり、パスを受けた瞬間にパス。もちろん、そういう局面もあるのだが、多くの場合、もうひとつタイミングを遅らせて、左右に散らす工夫がない。緩急をつけるためには一生懸命にやるばかりではなく、ゲームを「見る」そして「読む」能力を身に着けないと困る。そして、水野、本田圭の両サイド。水野がスピードの割に1対1に弱いのは何とかならないかと思うが、それ以上に、ふたりとも余りに両サイドに貼り付きすぎて、クロスという選択しかなくなり、これではディフェンスが楽になってしまう。本田に出たら、水野が中央、水野に出たら、本田が柏木のサポート、といった応用力の養成が急務。ここでも「見る」そして「読む」力が必要になる。もっとも大きな問題は2トップ。ふたりともヴェトナム程度なら点が取れるが、相手のレヴェルが上がると苦しい。デカモリシの起用を反町がためらったのは、このゲームの2トップが活躍したヴェトナム戦のイメージが濃すぎるせいか。全体的にはポジショニングに気を使う余り、選手たちがピッチに広がりすぎ、距離が空きすぎるため、インターセプトされるケースが増えること。長短のパスを織り交ぜるにはパサーの力がなく、長いパスはだいだいカットされていた。ジェラードのように40メートル以上のパスが足下にピタッと決まる技術はないようだ。
今夜でクオリフィケーションは終わった。後はじっくりと応用問題が解けるような戦術眼と基礎技術を身に着けることが必要になる。反町も大変だろうが、期待されながら低調な結果に終わったトリノよりも上に行く努力をしてほしいと思う。