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November 24, 2007

ラグビー 慶應対早稲田 0-40
梅本洋一

[ architecture , sports ]

 点数としては早稲田の完勝で、トライ数も6-0で完勝なのだが、ultimate crushと感じられないのはなぜだろうか? セットピースもほぼ完璧で、ラインにもボールが回っている。そして、トライも取った。
 そう感じられた最大の原因は、21-0で始まった後半の約20分間まったく点が取れなかったことにあるのだろう。後半の慶應は確かに捨て身のアタックで、何度もフェーズを重ねて攻めてきたし、その間に臼井のハイタックルによるシンビンはあった。だが、タックルはするものの、慶應のフルアタックの速度を低下させることができていない。正確なスタッツは分からないが、ターンオーヴァーを連続するまで早稲田のFWは強くない。帝京戦、筑波戦でも感じられたことだが、マイボールのセットピースはほぼ完全にこなすが、敵ボールの場合、ゆっくりと受け止められる「懐の深さ」が感じられないのだ。
 少し細かく見ていくと、瀧澤が戻った第1列は問題ないが、ロックで権丈の相手役が定まらない──かつての桑江のようないかにもロックという選手が欲しい──し、フランカー陣にしても、豊田を除いて、一発のタックルとかターンオーヴァーの見せ場が少ない。もちろんモールもいいけれども、もっと開いてボールをもらう練習をした方がいいのではないか。そしてBKライン。山中はときに才能の煌めきを見せるが、ディフェンス面はまだまだだし、判断ミスが多い。田邊、五郎丸はいいが、両ウィングはそれほど早さがない。つまり、よく整備されてはいるけれども、とんがったところが少ないチームなのだ。中竹竜二は、こういうチームを作りたいのかもしれない。
 だが、関東学院がバカな事件を起こして大学選手権に出てこないのなら、最大の目標は、日本選手権で昨年以上の成績を収めることだろう。とすれば、「ここで勝負」という絶対の自信のある箇所を増やしておくのがいい。平均点を上げることは必要だけれども、難のないチームは強くない。今日のゲームでふたつ決まった三井から田邊への中央突破は、相手がトップリーグのチームなら、バシッと止められてしまうだろう。ラインをリードする山中にディフェンス面ばかりでなく、フレアを磨いて欲しい。
 一方の慶應は、山田ひとりではどうしようもない。ブレイクダウンでファイトするが、それに常に敗れている。FWの中核になる選手がいないのは哀しいが、低くひたむきなタックルだけで勝利をたぐり寄せられる時代は、残念ながら去っている。