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May 30, 2007

『CREEP』酒井耕、『from DARK』大門未希生
結城秀勇

[ cinema , cinema ]

 アップが遅くなってしまったが、芸大映像研究科の修了作品であるふたつの作品について述べておきたい。  まず『CREEP』。男子高校生と20代前半の女性との駆け落ちと、地質学者の秘められた過去が交錯していくさまを描くこの作品では、テーマである「埋もれてしまった過去が現在を揺り動かす」ということからくるのであろう、冒頭から微妙に揺れ動くカメラが印象的である。ここで取り上げる2作品、そして以前にこのサイ...全文を読む ≫

投稿者 nobodymag : 5:58 PM

東浩紀×仲俣暁生『工学化する都市・生・文化』(「新潮」6月号)
梅本洋一

[ book , cinema ]

 荻野洋一のblogに掲載された文章に触発されて、ぼくもこの対談を読んでみた。それ以前に、東と北田暁大の『東京から考える──格差・郊外・ナショナリズム』(NHK出版)を読んだとき、非常に強く感じた違和をここでも考えてみたいと思ったからだ。ふたりが長い対談で交わした言葉たちをワンフレイズで要約するのは失礼だが、郊外のジャスコ化という現象には、誰でもが頷くだろう。しかし都市の変貌がそうした方向でいいも...全文を読む ≫

投稿者 nobodymag : 1:15 AM

May 28, 2007

『イビチャ・オシムのサッカー世界を読み解く』西部謙司
渡辺進也

[ book , photo, theater, etc... ]

 先日、フクダ電子アリーナにジェフの試合を見に行った。現在下から三番目の順位をさまようチームにはかつてあったような躍動感もなく、度々中盤でパスミスをし、簡単に点を取られる。バイタルエリアまでボールを運べないし、シュートは打っても枠へと飛ばない。もうどこから手をつけたらいいかわからないくらい最悪の状態。すごく寂しい気持ちでスタジアムを後にしたのだが、帰り道に思ったのは確実にひとつのサイクルが終わった...全文を読む ≫

投稿者 nobodymag : 4:08 PM

May 27, 2007

パシフィック・ネイションズカップ:フィジー対ジャパン 30-15
梅本洋一

[ architecture , sports ]

 多くの人々が語る通りジャパンの力は伸びてはいるのだが、本当に競ったゲームを勝ちきるには頭の悪い選手が何人かいる。これは困ったことだ。たとえばスキルの問題なら練習すれば向上するだろうが、問題はゲームの中での自らのすべきことの選択ということだ。これは、直るものではない。反復練習によるオートマティスムによってある程度は克服できるかもしれないが、W杯まで時間がないし、ゲームという生き物をオートマティスム...全文を読む ≫

投稿者 nobodymag : 1:09 AM

May 26, 2007

チャンピオンズリーグ決勝:ミラン対リヴァプール 2-1
梅本洋一

[ sports , sports ]

 ピッポ・インザーギの2発で勝負ありのゲーム。ねばりにねばってインザーギ。大方の予想のカカではなく、泥臭さの塊というか、どんな形でもどこに当たってもゴールはゴールだというフットボール原理主義の生き証人インザーギ。ラッファ・ベニテスもスティーヴン・ジェラードも負けた気がしないのではないか。もっとも勝った気がしないのは当然なのだが。  ベニテスは考えに考えた末、カイトのワントップ、トップ下にジェラード...全文を読む ≫

投稿者 nobodymag : 11:47 AM

May 24, 2007

『兎のダンス』池田千尋
結城秀勇

[ cinema , cinema ]

冒頭の緩やかなパンダウンや、山道を車がカーヴするのを捉えたショット、あるいは古い一軒家の開け放たれた広い空間で人々が行き来するのを捉えたショットなどでのカメラの動きには心躍るものがあり、なるほど前評判の「レベルの高さ」とはこういったことかと納得する。しかしその反面で、静止する登場人物たちを見つめる視線の「日本映画」っぽさにはいささか閉口する。いやこのような言い方ではぐらかすのは良くないだろうか。動...全文を読む ≫

投稿者 nobodymag : 12:25 PM

May 20, 2007

FAカップ決勝:チェルシー対マンチェスター・ユナイティド 1-0
梅本洋一

[ sports , sports ]

 今年のFAカップ決勝はチャンピオンズリーグの3位決定戦でもある。周知の通りベスト4のうち3チームがプレミア勢であり、決勝はリヴァプール対ミランというわけだから、チェルシー対マンチェスター・ユナイティドは3位決定戦ということになる。W杯でもそうだが、通常、3位決定戦はモティヴェーションが下がる。だが、それが幸いFAカップのファイナルでもあり、しかも改装なったウェンブリーのこけら落とし。  FAカッ...全文を読む ≫

投稿者 nobodymag : 11:02 PM

『ラッキー・ユー』 カーティス・ハンソン
松井 宏

[ cinema , cinema ]

 ギャンブルものに付随するあらゆる要素--暴力と欲動、陰謀、舞台裏、成り上がり、浮上と落下の悲劇etc--を削ぎ落とし、ではいったい何がこのフィルムに残されるのかと心配するやもしれぬが、心配無用、もちろんここには恋があり、また父子の物語さえ中心にある。だが『ラッキー・ユー』においてまず重要なのは共同体である。冒頭から少し奇妙な感触があるのだ。ハック(エリック・バナ)が郊外の寂れた質屋から煌めくヴェ...全文を読む ≫

投稿者 nobodymag : 2:01 PM

May 17, 2007

『リンガー! 替え玉★選手権』バリー・W・ブラウンスタイン
結城秀勇

[ cinema , sports ]

 とりたててなにか言うべきことがある映画ではないのだがこの感動はなんだ。水曜のサービスデイの1000円で見たが、ひと言でいうと極めてコストパフォーマンスの高い映画だ。どんなに面白い映画を見ても、あまりこういった感想は持たないものだ。こちらが支払った対価に対して、非常に大きなものを返してくれてもったいない気持ちがする。これで人生が変わったりはしないが心地がよい。  ファレリー兄弟がプロデューサーであ...全文を読む ≫

投稿者 nobodymag : 1:14 PM

May 16, 2007

『東京タワー、オカンとボクと、時々、オトン』松岡錠司
梅本洋一

[ cinema , sports ]

 松岡錠司は、かなり微妙な位置にいる映画作家である。リリー・フランキーのベストセラーの映画化は松岡自身が原作に惚れ込んで実現したらしいし、ベストセラーの映画化ゆえかフィルム版もヒットを続けている。ぼくが見に行った平日の午前中も中高年の観客を中心に多くの人々が映画館に入っていた。ぼくの隣に座っていた老夫婦の夫の方は、上映が終わってから涙に滲んだ眼鏡を拭きながら「悠木千帆(!?)はいいね!」と妻に告げ...全文を読む ≫

投稿者 nobodymag : 12:31 AM

May 11, 2007

『楽しみと日々』 金井美恵子、金井久美子
槻舘南菜子

[ architecture , book ]

 金井美恵子の本を読むこと、それはまず帯をはずし、カバーをめくり上げることから始まる。だからたとえ文庫版の『タマや』が出版されたとしても、視線を合わせることなく横顔をこちらに向けるアンナ・カリーナが表紙のハードカバーの方が良いに決まっているし、そうでなければ彼女の本を読んだとは言えないのだ。彼女の刺激的で時に辛辣で正確な批評—それは五十年代ハリウッドから、エリック・ロメール、山田五十鈴の眼差しに、...全文を読む ≫

投稿者 nobodymag : 11:48 AM

May 10, 2007

『スパイダーマン3』サム・ライミ
結城秀勇

[ cinema , cinema ]

 前作同様クモの巣型のフレームの中にこれまでのシリーズで語られてきたストーリーの断片的なイメージが映し出されていくオープニングタイトルの終わりで、それまで直線的だったクモの巣型フレームは丸みを帯びて脳内のニューロンめいたかたちへと変形していく。そして物語は主人公ピーター・パーカー(トビー・マグワイア)のモノローグで幕を開ける。あたかもそれがパーカー=スパイダーマンの脳内であったかのように。  この...全文を読む ≫

投稿者 nobodymag : 5:29 PM

May 7, 2007

『越境の時──1960年代と在日』鈴木道彦
梅本洋一

[ book , photo, theater, etc... ]

 今から20年以上も前、ぼくは一冊の書物を買った。『異郷の季節』(みすず書房)である。著者は鈴木道彦。収められた10篇余りのエッセーのそれぞれが素晴らしかった。パリ滞在というぼく自身との共通項はもちろんあったのだが、それ以上に、鈴木道彦の過不足ない文章と極めて適切な表現に触れ、いつかこんな文章を書きたいものだと憧れを込めて読んだ。  ぼくもこの著者にパリで一度会ったことがある。鈴木道彦自身がそのこ...全文を読む ≫

投稿者 nobodymag : 12:24 AM

May 5, 2007

『わたしたちに許された特別な時間の終わり』岡田利規
梅本洋一

[ book , sports ]

 斎藤美奈子の書評に誘われて岡田利規の『わたしたちに許された特別な時間の終わり』を読んだ。コケた映画を上映中の映画館で出会った男1と女1、女1は男1をライヴハウスに誘い、男1は男友達数人とライヴハウスに出かけるが、そこに女1はいない。そのライヴハウスでやっているのは、反戦系のパフォーマンス。そこで男1は女2に出会い、ふたりは渋谷のラブホで数日間を過ごす。2003年3月のこと。イラクの戦争がラブホに...全文を読む ≫

投稿者 nobodymag : 12:41 AM

May 4, 2007

チャンピオンズリーグ準決勝2nd Leg: リヴァプール対チェルシー 1-0 (1-1、PK4-1)、ミラン対マンチェスター・ユナイティド 3-0 (5-3)
梅本洋一

[ cinema , sports ]

 ファーストレグがスタンフォード・ブリッジ、セカンドレグがアンフィールド、そしてリヴァプールのビハインドが1点。赤い群衆に埋め尽くされたアンフィールドを見ただけで、リヴァプール優位が見える。アンフィールドの魔力と言われるのだが、そんなものを信じないぼくでさえ、この晴れがましい舞台をホームで迎えるリヴァプールの選手たちを心から羨ましいと思う。このスタジアムのほとんどの人々にとって、リヴァプールの勝利...全文を読む ≫

投稿者 nobodymag : 12:20 AM

May 2, 2007

『フランドル』ブリュノ・デュモン
梅本洋一

[ cinema , cinema ]

 『ジーザスの日々』『ユマニテ』と続くデュモンのフィルムの中でもっとも完成しているのが、このフィルムであることはまちがいない。もちろん、完成とはいったい何なのか、という問題もあるだろう。明確な回答は見つけられないが、もしこのフィルムが「欲望」と「現実」を描きたいとするなら、その延長線上にこのフィルムが来ることは明らかだろう。「欲望」と言っても、固有のそれではなく、つまり、ぼくが君を求める、というも...全文を読む ≫

投稿者 nobodymag : 2:42 PM

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