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December 30, 2007

『エドワード・ヤン』ジョン・アンダーソン
田中竜輔

[ book , sports ]

 エドワード・ヤンの急逝からもう半年がたってしまった2007年の終わりに、まだエドワード・ヤンが生きていた2005年に出版された一冊の書物が翻訳され出版された。それが本書である。  前半部にあるジョン・アンダーソンの「詩情と運動」と題されたヤンの全作品についての論考は、ヤンという個人の伝記的事実を介在させた物語構造を中心とした作品分析と、登場人物についてのきわめて丁寧な描写を中心に記されている。こ...全文を読む ≫

投稿者 nobodymag : 6:29 PM

『ベオウルフ/呪われし勇者』ロバート・ゼメキス
松井 宏

[ cinema , cinema ]

 『ベオウルフ』の焦点は画面前にある。  それは「前に飛び出す」という3D上映の焦点でもあり、そして演繹的にか帰納的にか、『ベオウルフ』というフィルム自体の焦点も画面前にある。ゼメキスにとっては画面外=フレーム外という概念は消失し、新たになのか始源的になのか、画面前という概念が重要になってきたと言えようか。  この3D上映を見つつまず驚くのは、一種の始源性めいた何かがそこにあるということ。技術的な...全文を読む ≫

投稿者 nobodymag : 2:19 AM

December 26, 2007

『宇宙の柳、たましいの下着』直枝政広
結城秀勇

[ book , music ]

 この本を手にしてから早一ヶ月、完読してから三週間以上が経とうとしているが、いまだこの本は家の本棚に並ぶことはなく、読みながら行った引っ越しの際に片づけ損ねた本やCDのはいった段ボール箱の上に置いてある。本棚にしまったと思ったらまた引きずり出してしまうので、めんどくさくなってそのままだ。それがこの本に対する不当な処遇ではないのだということを言い訳してみる。  どこかへ出かける準備をするたびについつ...全文を読む ≫

投稿者 nobodymag : 2:03 PM

December 23, 2007

『接吻』万田邦敏
黒岩幹子

[ cinema , sports ]

住宅街にあるコンクリートの階段を上がっていく男の後ろ姿からこの映画は始まる。手すりをつかみながら上っていくその足取りはいくぶんヨロヨロしているが、彼が疲れているのでも酔っているのでもないことは一目でわかる。くたびれたジャンパーを着たその背中はすっと伸びている。 彼はほどなくして殺人者となる。河原で逮捕されるのを待っている彼の姿が再び後ろから映される。両腕を大きく広げるとき、その背中はまるで鳥が羽を...全文を読む ≫

投稿者 nobodymag : 4:25 PM

December 22, 2007

『スリザー』ジェイムズ・ガン
結城秀勇

[ cinema , sports ]

 エイリアンものとゾンビものとサイコキラー(地縛霊か?)ものを合わせたような作品である。といってもそれらの特色を適当につまんで盛り合わせたというものではない。この順番こそが大事なのである。エイリアン→ゾンビ→人間の怨念というシフトが、画面内の物体の運動速度を変化させる。  宇宙からやって来た生命体が地球人に寄生し、だんだんその支配を広げやがて街全体が人間でない生物に変わっていく……なんてストーリー...全文を読む ≫

投稿者 nobodymag : 10:44 AM

『牡牛座—レーニンの肖像』アレクサンドル・ソクーロフ
松下健二

[ book , cinema ]

『モレク神』(99)『太陽』(05)と連作を成す『牡牛座—レーニンの肖像』(01)がようやく公開される。この作品が公開されるまでに実に七年の歳月が経っている。この間、僕は『エルミタージュ幻想』(02)も『ファザー、サン』(03)もそして『太陽』も見てしまっており、ソ連時代から一貫して芸術家であったこの映画作家の動向をすでに目の当たりにしていたのだが、そんななかでも『牡牛座』はまた新鮮に僕の目に映っ...全文を読む ≫

投稿者 nobodymag : 4:34 AM

December 21, 2007

『接吻』万田邦敏
宮一紀

[ book , cinema ]

 コミュニケーションとは本来的に実現不能な諒解のプロセスないしはその帰結の様態を理念として指し示す語であろう。すなわち人と人とは互いに見知らぬ空白の関係に始まるが、それは共有される言葉や時間によって填充される余白などでは些かもなく、私たちはつねに誤解をもって諒解と解釈するしかない。誤解と諒解とは対極に位置づけられると同時に限りなく近似的である。その意味で私たちはみな等しく孤独な存在である。  遠藤...全文を読む ≫

投稿者 nobodymag : 5:25 PM

December 19, 2007

『接吻』万田邦敏
梅本洋一

[ cinema , cinema ]

 各所から評判を聞いていた『接吻』をようやく見ることができた。期待に違わぬ傑作だ。小池栄子、豊川悦司、中村トオルの3人の俳優が見事だ。収監された猟奇殺人犯・坂口を演じる豊川、国選弁護人・長谷川を演じる中村、そして誰よりも、逮捕される瞬間が放映されたテレビ画面で微笑む坂口を見て人生を決めた孤独な女性・遠藤京子を演じた小池栄子が素晴らしい。  テレビの小さなモニターの微笑む顔と、たったひとりで住む小さ...全文を読む ≫

投稿者 nobodymag : 6:42 AM

December 18, 2007

アーセナル対チェルシー 1−0 
梅本洋一

[ cinema , sports ]

 フットボール・ファンにはやたら忙しい日曜日。午後にはラグビー大学選手権1回戦の同志社対筑波、早稲田対中央、同時刻にトップリーグ、三洋対東芝、これでもう夕刻だ! 今年の関西はレヴェルが低い。筑波のディフェンス勝ち。そして中央は頑張るけど、早稲田の順当勝ち。そして三洋の好調ぶりの前に東芝の完敗。来週のサントリー対三洋が事実上の優勝決定戦か。早めに夕食を済ませ、仕事を早々に片づけると22時過ぎ。今日の...全文を読む ≫

投稿者 nobodymag : 2:30 PM

December 13, 2007

『呉清源 極みの棋譜』 ティエン・チュアンチュアン
鈴木淳哉

[ cinema , cinema ]

荻野洋一氏のブログに導かれて観劇に行ったという梅本洋一氏の文章に登場する「ものの肌理」という言葉に引き寄せられて観にいったものの、それは「キメ」と読むのだ、「キリ」ではないと洋行帰りの友人に冷や水を頭からかけられ愕然とするまでは、熱に浮かされるような、とにかくこの映画を駆動するエネルギー、そ の在り様にあてられて要はぽうっとしていた。くわえて「でんそうそう」と呼んで憚らないという国辱的に無知な、...全文を読む ≫

投稿者 nobodymag : 4:02 PM

December 12, 2007

ミドルスブラ対アーセナル 2-0
梅本洋一

[ cinema , sports ]

 先節のニューキャッスル戦からアーセナルの調子が落ちている。故障者リストには、フレブ、フラミニ、ファン・ペルシ、セスク、ディアビが並んでいる。ファン・ペルシとディアビは替えがきくからまだいいが、フレブ、フラミニ、セスクの怪我は痛い。4人のミッドフィールダーのレギュラーのうち、3人が故障者リスト入り。そして、残ったメンバーは皆疲れている。  ニューキャッスルに続いてそんなアーセナルにボローが襲いかか...全文を読む ≫

投稿者 nobodymag : 11:11 PM

December 9, 2007

『呉清源 極みの棋譜』 ティエン・チュアンチュアン
梅本洋一

[ cinema , sports ]

 ぼくは碁を打たないからどれがどういう勝負なのかまったく知識がない。このフィルムを見る前に少しばかり危惧した内容についての無知は、杞憂に終わった。荻野洋一のブログに導かれてこのフィルムを見ると、ふたつのことを語るべきだろうと思う。  まず映画が持っている肌理ということ。それぞれのショットは物語を語るために用意されているのだが、それ以上に、ショット内部の至る所に仕掛けられた「ものの肌理」を、まるで演...全文を読む ≫

投稿者 nobodymag : 12:34 AM

岡田武史代表監督就任
梅本洋一

[ cinema , sports ]

 いずれはこの日が来るだろうとは思っていた。98年のフランスW杯では、相当悔しい思いをしたろうから、岡田としてはリヴェンジという気持ちを持ち続けていたろう。マリノスでの連覇も、彼になかったクラブチームの監督としてのキャリアを積むためだったろう。だが、ジーコといい、オシムといい、岡田武史といい、どうして日本代表の監督には、こうも育成型の指導者が並ぶのだろうか? 長い期間の合宿を組むことも出来ないし、...全文を読む ≫

投稿者 nobodymag : 12:29 AM

December 7, 2007

関東大学ラグビー対抗戦 早稲田対明治 71-7
梅本洋一

[ sports , sports ]

 新記録の点差になった早明戦。早稲田は11トライを奪った。開始早々、順目にオーヴァーラップが出来ているのにセンターがパンとキックをしてしまったシーンがあった。人数のオーヴァーラップができていたのは見逃すのは、まだまだ勝負を知らない子どもだ。あれがなければ、明治を完封できたかも知れない。  それ以上、この今年の早明戦について書くことはない。それほど強くないと思っていた早稲田のFWも明治にはしっかり対...全文を読む ≫

投稿者 nobodymag : 10:01 AM

December 4, 2007

『タロットカード殺人事件』ウディ・アレン
結城秀勇

[ cinema , music ]

 珍しくスカーレット・ヨハンソンに好感を持った。いつもいつも彼女が演じるセクシーで謎めいた女性にはあまり説得力がないように感じてしょうがない。たとえば、ウディ・アレンとはじめてコンビを組んだ前作『マッチポイント』でもファムファタルめいた女を演じていたけれど、映画の終盤になってわかるのは、彼女がつまらん女だということだった。ところがこの『タロットカード殺人事件』におけるヨハンソンは、はじめっから開け...全文を読む ≫

投稿者 nobodymag : 6:56 PM

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