アーセナル、この10日間梅本洋一
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アーセナルの今シーズンはほぼ終えてしまった。日曜日のマンチェスター・ユナイティド戦に1-2で敗れ、重要なゲームが4ゲーム続いた中で、2分2敗。先々週の水曜日と先々週末の対リヴァプール戦を連続して引き分け、そして、先週水曜の対リヴァプール戦を4-2で敗れた。このゲームに敗れて、チャンピオンズリーグ敗退が決まり、マンU戦に敗れて、プレミアシップもほぼ3位が決定した。つまり、水曜と週末のゲームは、今シーズンの総決算だったわけである。ヴェンゲルは経験不足を敗因の第一に上げている。このチームの若さを考えれば仕方がない。対リヴァプール戦では、2-2に追いつき、あと10分をこのまま逃げ切れば、準決勝進出が決まったはずだが、直後にPKを与えてしまう。対マンU戦では、アデバイヨールのゴールが決まり、先制した直後に、これまたPKを与えてしまった。こうしたゲーム運びのまずさをヴェンゲルは、経験不足、あるいはナイーヴさと呼んでいる。ゲームを見た限りでは、フットボールのレヴェルとしてアーセナルがどのチームよりも優れていたと書いても決して負け惜しみではないだろう。対ミラン戦の2-0での快勝はその好例だ。対リヴァプール戦でも対マンU戦でもショートからミドルレンジのパスが連続的に繋がっていた。悪くない。しかしゲームに負ける。
ロシツキ、サニャ、フラミニの怪我があり、ファン・ペルシは復帰してもまだ本調子にない。それも大きな理由だ。サニャやフラミニは、ゲームの分水嶺の時間帯に怪我をし、サニャの代わりに右サイドに入ったトゥレは、ディフェンスがよいが、サニャほどサイドアタックに出られない。そして、トゥレが右サイドバックに入ることで、センターバックに起用されたセンデロスの緩慢なディフェンスでヒーピア、トーレスに2本決められ、リヴァプールに敗れる原因になり、さらにフラミニが負傷退場して、ジウベルトが入ると、フラミニが作っていた中盤の速度が一気に減速されていった。そして負担のかかるセスクは疲弊していく。
アーセナルがプレミアシップを賭けてマンUに挑戦したときには、だから、すでに満身創痍の状態だ。サイドアタックは左のクリッシだけ、ジウベルトはボランチ専任で怖さがないばかりか、スピードが衰えてファールが多い。こうした条件で、いくらアデバイヨールがいいシュートを放っても、ファン・デルサールにすべて止められると、次第に闘争心も下降してくる。ウォルコットというカンフル剤も効かない。こうしたときマンUにテベスが投入されると、彼が持っているガッツがアーセナルに感じられないのがよく分かる。このチームには泥臭さがないという批判は当たっている。だが、頑固なヴェンゲルは、このチームに泥臭さを身に着けさせようとはしないだろう。より多くの繊細さとより高い完成度を目指すだけだろう。だが、それには、もう2〜3人必要な人材がいることも知っているはずだ。