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December 22, 2008

ラグビー大学選手権1回戦
早稲田対関東学院 21-5 帝京対慶應 23-17
梅本洋一

[ cinema , sports ]

 抽選で1回戦の組み合わせが決まったため、決勝になってもおかしくない2ゲームが1回戦で行われた。このことについては、すでに多くの批判が語られているので繰り返さない。関東地区についても、上記の2ゲームが同時刻に行われた。熊谷と秩父宮のキャパを考えても、興業という側面から見ても、またぼくのようにスカパー!で見る人々にとっても、暴挙以外のなにものでもない。スポーツはそれをやる人のためにあるのと同時に、それを見て楽しむ人のためにも存在し、テレビが多チャンネル時代を迎えてからは、やる人、スタジアムに来る人、テレビの見る人のために存在しているという原点を忘れてはならないだろう。
 まず早稲田対関東学院。1対1で比べていけば、両チームの面子は五分だろう。だが、関東はチームの体をなしていない。FWでは個々人の突破でリーグ戦では好成績を収められたかも知れないが、選手権では無理だ。またバックス陣に至ってはまったくの未整備。基本的な決め事もできていないようだ。早稲田のそんな関東に2トライしかとれないようでは、関東に負けず劣らず未整備というところ。この日、起用されたフランカーの中村は往年の早稲田フランカーを思わせるプレーだったことは特筆しておきたい。問題は、このチームの10番。ファンタジスタと持て囃されているが、要は、場当たりのプレー選択に終始しているだけ。彼もまたまったく多様な状況下のプレー選択について適切なコーチングを受けたことがないか、たとえ受けていたにせよ未熟で実行できないかどちらかだろう。彼の選択に誤りがなければ、トライはあと数本取れていたはず。タックルが高いことや肝腎のキックがぶれることも含め基本的なスキルの充実とフィットネスの強化がなければゲームに使わないと宣言できるコーチはいないのか。
 そして帝京対慶應。これは慶應FWの完敗。これにつきる。軽量FWがよく頑張ったと言う向きもあるが、帝京FWに勝つためには、あと20パーセントほどフィットネスを上げなければイーヴンに持ちこめない。それとこのゲームでもっとも目についたのがキッキングゲーム。ノータッチのボールを「まるでテニスのラリーのように」蹴り合う時間帯が異様に長かった。ノーサイドの時刻が迫り、慶應がボールを回し始めてから2トライ奪ったことを考えれば、もし慶應が勝つ可能性があったとしたら、タッチに出すエリアマネジメント以外のキックを捨ててランで勝負すべきだったろう。スクラムとラックで劣勢なら、パスプレイで走って繋ぐラグビー以外に活路がないのは当然だ。コンタクトを避けて、下がってもいいからパスを繋ぐプレーをめざさなかった慶應の戦術的なミスが敗戦に繋がった。
 他のゲームで目立ったのは東海。ピッチの全体を使い、大外にナンバー8を立たせ、日本代表フランカーでもある6番が縦横無尽に動く東海のラグビーは、相手が日大だったせいもあるけれども、かつてのフランス・ラグビーを思わせる。おそらく1月2日に早稲田と当たると思うが、早稲田のプレーの選択が対関東学院戦のように合格点に達しないなら、東海が勝つのではないだろうか。今日から2週間の練習によって2日の成否が決まるだろう。