journal

« April 2008 | メイン | June 2008 »

 1  |  2  | 全部読む

May 31, 2008

『PASSION』濱口竜介
宮一紀

[ book , cinema ]

 上映前の舞台挨拶で俳優の渋川清彦がいみじくも口にしたように「映画っつうのは映画館で観るもんです」。立ち見さえままならないほど多くの観客が詰めかけ、むせ返るような空気の中で(とはいえ次第に空調が効きすぎて寒くなってはきたが)映画が上映されるという久しく体験したことのなかったことがユーロスペースで起こっていた。しかもそれが平日のレイトショーで起こった。もちろんイベントの性格上、関係者が多く集まってい...全文を読む ≫

投稿者 nobodymag : 4:53 AM

May 30, 2008

『彼方からの手紙』瀬田なつき
高木佑介

[ cinema , cinema ]

 不動産会社に勤める吉永と彼の前に現れた少女ユキは、ユキの父親がかつて住んでいたという思い出の家を目指して旅に出る。我々にはその思い出の家が具体的にどこにあるのかは告げられない。真っ赤なニット帽を被った男と真っ白な服を着た少女は、彼らが出会った横浜から「どこか」へと向かって旅立つのである。  このような単純明快なストーリーを持つ『彼方からの手紙』は、我々がかつてヴェンダースの映画で観たような風景と...全文を読む ≫

投稿者 nobodymag : 3:11 PM

May 28, 2008

『丘を越えて』高橋伴明
梅本洋一

[ cinema , cinema ]

 銀座にルパンという文壇バーがあるという。ぼくは行ったことがない。1928年開業のバーで、「里見・泉鏡花・菊池寛・久米正雄といった文豪の方々のご支援を頂きました」とルパンのサイトに掲載されている。『丘を越えて』の撮影は、このバーのシーンでクランクインしたということだ。菊池寛に扮する西田敏行と文藝春秋社重役の佐々木茂索に扮する島田久作が、このバーのカウンターで「モダン日本」の出版について話し合ってい...全文を読む ≫

投稿者 nobodymag : 1:20 PM

May 26, 2008

『PASSION』濱口竜介
結城秀勇

[ cinema , cinema ]

「東京藝術大学大学院映像研究科 第二期生修了制作展」が渋谷ユーロスペースで開催されている。昨年に引き続き、すべての作品の技術の高さに目を見張るが、濱口竜介監督『PASSION』には、そうした水準を遙かに超えた感銘を受けた。5/29(木)の上映には、おそらく会場の客席は観客で埋め尽くされるだろうが、それだけではないより多くの人の目に触れるべき作品であるように思う。  30歳を目前にした幾人かの男女...全文を読む ≫

投稿者 nobodymag : 10:56 PM

『ポスト消費社会のゆくえ』辻井喬 上野千鶴子
梅本洋一

[ book , cinema ]

 バブルが弾けてから、「失われた10年」を経て、いろいろなものがなくなった。バブルの時代までのリードした国土計画やセゾングループがなくなったものの代表だろう。どちらも堤康次郎が起こした西武鉄道に端を発し、一方が堤義明、他方が異母兄の堤清二によって経営されていた。苗場スキー場や軽井沢といったリゾートが国土計画によって開発され、パルコやシネセゾンがセゾングループによって経営されていた。本書は、後者の社...全文を読む ≫

投稿者 nobodymag : 12:20 AM

May 23, 2008

2007-2008チャンピオンズリーグ決勝
マンチェスター・ユナイティド対チェルシー 1-1 (PK 6-5)
梅本洋一

[ cinema , sports ]

 暗いロシアというイメージとチャンピオンズリーグ決勝という晴れがましさとはどうも似合わない。そう思っていたが、ゲームが始まれば、フットボールはどこでも同じだ。そして、決勝はどの決勝でも緊張感に包まれる。  ウェス・ブラウンの最高のクロスがロナウドにドンピシャのファインゴールでマンU先制。だが、前半にうちにロナウドのゴールの「戦犯」エシアンのシュートがディフェンダーに当たってコースが変わったところを...全文を読む ≫

投稿者 nobodymag : 1:14 AM

May 22, 2008

爆音映画祭2008 佐々木敦レクチャー
『ヌーヴェルヴァーグ』ジャン=リュック・ゴダール
田中竜輔

[ cinema ]

 ゴダールの『ヌーヴェルヴァーグ』に先立って行われた佐々木敦氏によるレクチャーは、「現象、あるいは運動としてのヌーヴェルヴァーグとは、見ること、聴くことの不可能性をポジティヴに捉え直すためのものであったのではないか」という仮説から始まった。映画音楽と現実音の混交とは、見ることと聴くことにおける不可能性の極値であり(つまり現実において「絶対に見えないはずの音」と「絶対に聞こえないはずの映像」が映画に...全文を読む ≫

投稿者 nobodymag : 2:50 AM

May 21, 2008

爆音映画祭2008に寄せて
結城秀勇

[ cinema , sports ]

 体験試写の『クルスタル・ボイジャー』、前夜祭の『CLEAN』、かえる目によるトーク&ライヴと『喜劇 とんかつ一代』、『台風クラブ』などを体験して、各々個別にレビューを書こうしてみたが、どうもうまくいかないのでこんな文章を書いている。  その難しさは、まあひと言でいえばすごいから見てご覧なさいというなんとも陳腐な感想へと収束してしまうのだが、しかしそれではみもふたもない。一歩進めてその困難さは、爆...全文を読む ≫

投稿者 nobodymag : 10:53 AM

May 15, 2008

『NEXT-ネクスト』リー・タマホリ
結城秀勇

[ cinema , cinema ]

 ここまで原作から遠く離れるとそのことに対して特に不快な気もしないが、フィリップ・K・ディックの名前を出すとそれほど集客力に影響があるのかと不思議にもなる。ただ、原作における黄金に光り輝く美しい突然変異体が、どう考えてもくすんだニコラス・ケイジに変わっているという点が、原作とこの映画の「予知」に関する視点の距離感を明確に示しているのだろう。彼の役はどこか、才能を浪費したかつての天才児といった趣すら...全文を読む ≫

投稿者 nobodymag : 6:08 PM

May 11, 2008

『ゼア・ウィル・ビー・ブラッド』ポール・トーマス・アンダーソン
梅本洋一

[ cinema , sports ]

 同じスコット・ルーディンをプロデューサーとする『ノー・カントリー』におけるトミー・リー・ジョーンズの抑揚のある演技(否、存在と呼んだ方が適切だ)と、このフィルムのダニエル・デル=ルイスの過剰な演技を比較してしまうと、どうしてもトミー・リー・ジョーンズに軍配が上がり、もしこのフィルムもトミー・リー・ジョーンズが主演していたら、などと考えてしまうのだが、それでもポール・トーマス・アンダーソンの志は高...全文を読む ≫

投稿者 nobodymag : 1:11 PM

May 3, 2008

07-08チャンピオンズリーグ準決勝
マンチェスターユナイティド対バルセロナ 1-0(1-0)
チェルシー対リヴァプール 3-2(4-3)
梅本洋一

[ cinema , sports ]

 やはり今年のバルサには大きな問題があるようだ。特にエトー。彼の弱気の原因はどこにあるのだろうか。それに何人もが連携する動きが乏しい。ホームでもアウェイでもポゼッションこそ上回ったけれども、危険を感じさせるのはメッシとデコだけ。シャビもイニエスタも細かい芸当はうまいのだが、決定的な仕事をするには至らない。メッシのシュートがキーパーに止められ、デコのシュートが枠を捉えなければ、ハードワークを厭わない...全文を読む ≫

投稿者 nobodymag : 12:11 AM

May 2, 2008

『さよなら。いつかわかること』ジェームズ・C・ストラウス
田中竜輔

[ cinema , sports ]

 戦地に赴いた軍人である妻の死を伝えられた夫が、ふたりの娘とともに自動車に乗って行くあてもない旅に出る。「Grace is gone」という原題は慎ましくも完璧にこのフィルムの物語のほとんどすべてを語ってくれている。しかし、ジョン・キューザック演じる夫の妻であったこの「グレース」という女性について、私たちはほとんど何も知ることは出来ない。冒頭に重ねられた遠距離電話での日常会話、そして自宅の留守電用...全文を読む ≫

投稿者 nobodymag : 6:03 PM

『ショーケン』萩原健一
結城秀勇

[ book , sports ]

 萩原健一がなぜ「ショーケン」なのかという理由については、一般に広く知られていることなのだろうか。私は知らなかった。本名は敬三だが聖橋中学時代友達からケンちゃんと呼ばれており、その頃朝鮮高校のOBだったダイケン、高千穂中学校にいたチューケンとの比較から、ショーケンと呼ばれるようになったのだという。ショーケンがテンプターズとして初めてステージに立ったパーティを主宰していたのが、そのダイケンだった。「...全文を読む ≫

投稿者 nobodymag : 5:49 PM

全部読む |  1  |  2