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October 28, 2008

『宮廷画家ゴヤは見た』ミロス・フォアマン
宮一紀

[ cinema , talk ]

 18世紀末、スペインで長らく廃止されていた異端審問がカトリック教会の名の下に復権する。ポルトガル移民の子孫で裕福な商人の娘イネス・ビルバトゥア(ナタリー・ポートマン)は、ある晩居酒屋で豚肉に手をつけなかったことからカトリック教会にユダヤ教徒と見なされ、異端審問への出頭を命じられる。審問とは名ばかりの拷問——全裸で後ろ手に天井から吊るされる——によって罪の自白を強要されたイネスは牢獄に収容されるこ...全文を読む ≫

投稿者 nobodymag : 6:39 AM

October 27, 2008

『アイアンマン』ジョン・ファヴロー
結城秀勇

[ cinema , cinema ]

 ロバート・ダウニーJr.、テレンス・ハワード、グウィネス・パルトロウ、そしてジェフ・ブリッジスの4人がほぼすべてのキャストなのだから、どんな風にしようと映画になる。しかしまったく子供向けではない人選……。かといって真っ当な大人向けでもない。  アイアンマンとして生まれ変わったロバート・ダウニーJr.が、今後一切自分の会社で兵器を作らないと宣言する記者会見でこんなことを言う。「自分が無責任なシステ...全文を読む ≫

投稿者 nobodymag : 5:01 PM

October 23, 2008

『シルヴィアのいる街で』ホセ・ルイス・ゲリン
結城秀勇

[ cinema , sports ]

 最初に主人公の男を映し出したショットから既に監督の技量は明瞭に示されて、この作品を見て間違いはなかったことは明らかなのだ。それにとどまらず、そこから続く80分余りの時間は、まるで次第に活性化されていく自らの視覚と聴覚に翻弄されるかのような体験だった。  ストラスブールのカフェ。賑わう昼下がりオープンテラスで、それぞれの客が自らの連れと談笑し、見つめ合い、あるいはひとりで佇んでいる。建物のガラス窓...全文を読む ≫

投稿者 nobodymag : 6:29 PM

October 22, 2008

『アンナと過ごした4日間』イェジー・スコリモフスキ
結城秀勇

[ cinema , cinema ]

 たとえば『ザ・シャウト』などにも見られたような、単純に語りの効率性に奉仕するわけではない時系列の交錯が、この『アンナと過ごした4日間』にもある。だが、ここで描き出されるものを物語として要約すれば、非常にシンプルなかたちにまとめることができる。すなわち、ひとりの男が隣に住む女性の部屋に忍びこむ、それが4夜の間続くということ。時折男の過去が、その間に挿入される。それら過去の出来事が、主人公の男レオン...全文を読む ≫

投稿者 nobodymag : 10:09 AM

October 21, 2008

「BRUTUS」2008年 11/1号 山特集──ワンダーフォーゲル主義
梅本洋一

[ book , music ]

 久しぶりに「ブルータス」を買った。ロゴはいつもと同じだったが、表紙の色調がいつもとまったく異なっていたからだ。おそらく剣岳が描かれていると思われるブルーとグレイとグリーンの版画だ。とても懐かしい気がした。いつものHUGO BOSSだのBurberryだのの広告ページを一挙にめくり目次に目を凝らす。「山特集──ワンダーフォーゲル主義」と題された特集で、半分はジョン・ミューア・トレイルの話、そして後...全文を読む ≫

投稿者 nobodymag : 12:55 AM

October 18, 2008

東京中央郵便局、ついに高層へ
梅本洋一

[ architecture , cinema ]

 すでに郵便局からは基本計画が発表されていて、ヘルムート・ヤーンによる現状一部保存(詳細な計画を見ていないのだが、ファッサード保存程度だろう)と38階建になるという。今回、700億円を越える金額で大成建設が落札した、というニュースを新聞で読んだ。  小泉前首相が、都心の一等地に低層で土地を大きく占めている公共物件があっていいのか?という郵政民営化のシンボルがこの建物の解体だった。その小泉の新自由主...全文を読む ≫

投稿者 nobodymag : 12:57 AM

October 17, 2008

『SOUNDTRACK FOR D-BROS』阿部海太郎
宮一紀

[ book , music ]

 阿部海太郎の2枚目のアルバム『SOUNDTRACK FOR D-BROS』がシアタームジカから発売されている。渋谷PARCOなどに直営店を持つシアタープロダクツのショー音楽や、溝口健二の無声映画『東京行進曲』上映の際の伴奏、最近では第9回東京フィルメックス・コンペ部門への出品も決まったばかりの映画『PASSION』の音楽(★1まったく新しく見事な解釈によるガーシュウィン)を担当するなど、実に多岐...全文を読む ≫

投稿者 nobodymag : 1:57 AM

October 16, 2008

W杯アジア予選 日本対ウズベキスタン
梅本洋一

[ sports , sports ]

 あれは今から11年前のことだ。季節はちょうど今頃。考えてみると、日程は今回よりも1年遅かったようだ。日本対ウズベキスタン戦。山形映画祭の最中だった。まだ最終上映が残っているというのに、ホテルに戻ってゲームを見た。その前のカザフスタン戦に敗れて加茂周が解任され、岡田武史が初采配をふるったゲームだ。おそらくあのゲームに敗れればフランスの本大会に参加できなかっただろうあのゲーム。終盤までもどかしい展開...全文を読む ≫

投稿者 nobodymag : 6:27 AM

『崖の上のポニョ』宮崎駿
田中竜輔

[ cinema , cinema ]

 あまりに露骨な「父殺し」の描写があるとはいえ、少女と少年の閉塞された状況からの離脱というごくありふれた物語を、極端に平面化された――ほとんど一枚絵にまでデフォルメされた――風景の描写に、偽の空間性を徐々に導入するという発想、言い換えれば2次元の空間であるアニメーションに3次元的な偽のリアリティを導入するという発想だけに拠って解決をもたらそうとした『ゲド戦記』の凡庸な想像力の持ち主に対し、その父で...全文を読む ≫

投稿者 nobodymag : 12:02 AM

October 15, 2008

『その土曜日、7時58分』シドニー・ルメット
梅本洋一

[ cinema , cinema ]

 ニューヨークのおそらくダウンタウンの一角にある古いオフィスビルにはDiamond Centerと表示されている。そのビルの中のさらに古びた一室で、傷だらけの木製のテーブルの上のダイアモンドを鑑定している老人ウィリアムがいる。「盗品を横流しいているんだろう?」アンディ(フィリップ・シーモア・ホフマン)が尋ねる。彼を警戒する老人にアンディは、不動産会社に勤める自分の名刺を渡す。  時制が何度も行き来...全文を読む ≫

投稿者 nobodymag : 8:51 AM

October 12, 2008

『La frontière de l'aube』フィリップ・ガレル
槻舘南菜子

[ cinema , music ]

 公開初日にして観客は四人。たぶん暇つぶしの爺さん(わざわざ挨拶までしてきて、「昼間からこんな映画見てるのか、おまえ暇なんだろ?」と言われた)、若者(途中で離脱)、妙齢……ではない女性と、私。  シンプルなオープニングのタイトルを締めくくる「キャロリーヌに捧ぐ」という言葉には、見覚えがある。そう、『白と黒の恋人たち』も同じように・・彼女に捧げられていた。さらに、映画監督であるフランソワと、かつての...全文を読む ≫

投稿者 nobodymag : 10:28 AM

October 8, 2008

パリ・ドアノー/ロベール・ドアノー写真展@日本橋三越ギャラリー
梅本洋一

[ music , photograph ]

 ワインやチーズなどを買い求めるおじさんおばさんでごった返すフランス・フェアー開催中の日本橋三越でロベール・ドアノー展を見る。  この著名な写真家について解説する必要などないだろう。アンリ・カルティエ=ブレッソンと並んでパリの特権的な瞬間を写し続けた写真家だ。かなり狭い会場に膨大な写真が展示されている。ここもおじさんおばさんで満杯。いくら伊勢丹が親会社になっても、三越のブランドイメージはそんなに変...全文を読む ≫

投稿者 nobodymag : 10:49 PM

October 3, 2008

『ポール・ランド、デザインの授業』マイケル・クローガー
宮一紀

[ book , sports ]

 ポール・ランド(1914-96)。スイスにおけるデザイン教育の拠点であるバーゼル造形学校を設立したエミール・ルーダー、アーミン・ホフマンらとともに彼はスイス・スタイルとも呼ばれる国際タイポグラフィー様式を確立する一翼を担った。これは数あるグラフィック・デザイン様式のうちでもっとも重要な本流と言ってよいだろう。左右非対称、グリッドに沿ったレイアウト、サンセリフ体の使用といった特徴を持つこの様式は、...全文を読む ≫

投稿者 nobodymag : 8:17 AM

October 1, 2008

『ソール・バスの世界』
宮一紀

[ DVD ]

 映画作品のタイトルバックにデザインの手法を取り入れた最初期の人物としてその名を映画史に燦然と輝かせるソール・バス(1920-96)。代表作を挙げればきりがない。オットー・プレミンジャー、ビリー・ワイルダー、ロバート・アルドリッチ、ウィリアム・ワイラー、アルフレッド・ヒッチコック、そしてもっとも最近ではマーティン・スコセッシやリドリー・スコットが全幅の信頼を寄せていたタイトルバック・デザイナーとし...全文を読む ≫

投稿者 nobodymag : 2:00 AM

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