関東大学ラグビー対抗戦 早稲田対帝京 6-3梅本洋一
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このゲームの後、すぐ隣の国立競技場でオールブラックス対ワラビーズのゲームがある。森喜郎ラグビー協会会長やJKの顔はそちらに並んでいるだろう。JKは悔しくないのだろうか。それとも惨敗と大敗という結果が明らかなだけに、トライネイションズが終わったばかりの両チームを見るのが楽しいのだろうか。せっかく東京を訪れたのなら、どちらのチームでも良いからジャパンとゲームをすることはできないのか。百年早いと言えばその通りだが、87年にはこの場所でジャパン対オールブラックスのゲームをぼくは見たことがあった。
となりの秩父宮では真剣勝負だった。昨シーズン早稲田に勝った帝京が、今シーズンはどうなのだろう。去年よりも軽量になった早稲田は、帝京のゆったりしたゲームを崩せるのか。興味はいろいろあった。
そして、帝京はほぼゲーム・プラン通りに試合を運んだのではないか。ファーストタックルに強く入り、ブレイクダウンで頑張れば、早稲田にクイックボールが出ない。まずトイ面に勝つという帝京の戦術は、ほぼ100%完遂された。だが、その戦術では負けないかも知れないが、同時に勝てないかも知れない。つまり、帝京には敵ゴール前に迫る方法はあっても、そこから絶対にトライを奪える方法論はなかった。結局PGひとつの差で帝京は敗れた。
ほぼイーヴンな展開で前半を終えた早稲田の後半の戦術は明らかだった。ボールを動かすこと。外で勝負すること。だが、このチームの欠点は昨年からまったく進歩のないSOだ。ペナルティから何度ノータッチを蹴ったのか。パスのタイミングが悪く、ラインにスピードがつかない。FWが優勢だったら、このSOは活きるかも知れないが、FWが劣勢な場合、彼の判断の遅さは致命的だ。帝京がアタックについて明瞭な決め事がなかったから救われた。
今シーズンの早稲田はFWが弱い。正確に言えば、軽量なためポイントへの集散がやや遅い。だからブレイクダウンで劣勢になる。平均で6キロ程度ちがえば、セットでイーヴンで十分かも知れない。だから、パスプレーを多用して、「ドアを開ける」試みを何度も続け、ラインのスピードでアタックしなければきついだろう。あるいは、今のSOをフルバックにでも回し、もっと誠実なプレイの出来るSOを使うことだ。
とはいえ、まだシーズン開始から3ゲーム目。これからだ。