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July 26, 2009

建築家 坂倉準三展 モダニズムを生きる 人間 都市 空間
梅本洋一

[ architecture , cinema ]

 やっと鎌倉に行ける時間ができた。  もともと坂倉準三の傑作であるこの鎌倉近代美術館(俗称)で、作者についての回顧展が開催されるのは2度目だが、ぼくは1度目は行っていない。だが、ここは本当に好きな空間だ。前に書いたカフェのダサさも改善されていた。「白い小さな箱」──それも宝石箱ようなこの建築は、周囲の環境も含めて、今回の回顧展のカタログで、磯崎新が書くとおり「ルコルビュジエよりもルコルビュジエ的な...全文を読む ≫

投稿者 nobodymag : 9:41 PM

July 23, 2009

『麻薬3号』古川卓巳
高木佑介

[ cinema , cinema ]

見るからに胡散臭い新聞社で寝起きをし、道で気に食わない男とすれ違えば問答無用で殴りかかる、そのうえ麻薬3号=ヘロインのヤバい取引にも平気な顔で手をのばし、挙句の果てには損得勘定を考えずにとりあえず拳銃をぶっ放して事態をややこしくもさせるのだから、この映画の主人公である長門裕之はまさに見紛うことなき“ならず者”だ。飽きた女には目もくれず、隙あらばヒロポン、もちろん堅気の労働は一切拒否(しかしこの映画...全文を読む ≫

投稿者 nobodymag : 6:43 AM

July 22, 2009

『麻薬3号』古川卓巳
結城秀勇

[ book , cinema ]

 海。反対側には山。国鉄の機関車が走り過ぎる神戸駅からタクシーに乗って繁華街を通り過ぎると、傾いたトタン屋根が複雑に入り組んだドヤ街がある。狭い路地に南田洋子が足を踏み入れたとたん、まだ陽も高い時間帯だというのに画面の面積の約半分を奇妙な幾何学模様を形成する影が占領し、それが昼下がりの強い陽光に照らし出された空間に対してくっきりとしたコントラストを生む。立ち並ぶ建物のうちのひとつの中に彼女が入り込...全文を読む ≫

投稿者 nobodymag : 4:24 PM

July 21, 2009

『ニッポンの思想』佐々木敦
梅本洋一

[ architecture , book ]

 仲俣暁生さんのブログを読んでいたら、「カッコいいのはもう終わりでカワイイが誉め言葉だ」みたいなことが書いてあった。『思想地図』の「アーキテクチャー」特集を読んでいたら、冒頭のシンポジウムの参加者たちの発言に、磯崎新と浅田彰以外、信じがたく大きな違和感を持ってしまった。どうしてなのだろう、とずっと考えていた。カワイクなくてもカッコイイ方がいいじゃん。現状を捉えるにしても、その現状の捉え方が、ぼくが...全文を読む ≫

投稿者 nobodymag : 8:19 PM

July 20, 2009

『VISTA』佐々木靖之
田中竜輔

[ cinema , cinema ]

 瀬田なつき監督作品や濱口竜介監督作品等々、近年話題となった多くの若い映画監督たちのキャメラマンを務める佐々木靖之初監督作品である本作『VISTA』が、第31回ぴあフィルムフェスティバル・コンペティション部門PFFアワードに出品されている。上映終了後の舞台挨拶では、本作はアントニオー二『欲望』の強い影響下にあると佐々木監督本人に語られていたが、しかしもちろんそれは単なるコピーというわけではなく、映...全文を読む ≫

投稿者 nobodymag : 9:37 PM

July 19, 2009

『トランスフォーマー リベンジ』マイケル・ベイ
結城秀勇

[ cinema , cinema ]

 前作『トランスフォーマー』を見て思ったのはだいたい以下のようなことだった。地球外からやってきた機械生命体であるところのトランスフォーマーたちは、映画の画面内においてもある種のエイリアンであり、フィルムとの光学的な関係からその姿を写し取られる他の被写体とは異なった原理の上に成り立つ存在である。それはCGだから当たり前だと言ってしまえばそれまでだが、そんなことをいまさら強く思ったのも、人間のスケール...全文を読む ≫

投稿者 nobodymag : 9:56 PM

July 18, 2009

『そんな彼なら捨てちゃえば?』ケン・クワピス
結城秀勇

[ cinema , cinema ]

 ベン・アフレック、ジェニファー・アニストン、ドリュー・バリモア、ジェニファー・コネリー……と続く名前の列に近年でも珍しいラブコメ大作の香りを感じるが、なんのことはないアルファベット順での表記である。「SEX AND THE CITY」のスタッフによる原作をもとに描く恋愛群像劇ということになるようだが、この群像を形成する群がいったいどのようなつながりによって成り立っているのかが希薄だ。まるでこの映...全文を読む ≫

投稿者 nobodymag : 5:54 PM

July 17, 2009

『ノウイング』アレックス・プロヤス
田中竜輔

[ cinema , cinema ]

 ニコラス・ケイジが世界を救うヒーローなのだ、と断言されてしまうとそれはどうにも何か別の作品のパロディ程度のものにしか思えなくなってしまうのだけど、しかしすべては彼自身の勘違いで、彼は勝手に自分自身をヒーローだと信じ込み、勝手に窮地に飛び込んで勝手にひとりで混乱しているだけだ、と言われればそれは途端に別の意味で真実味を増す。リー・タマホリの『ネクスト-NEXT-』はそれが夢オチというかたちで提示し...全文を読む ≫

投稿者 nobodymag : 11:38 AM

July 13, 2009

建築家 坂倉準三展 モダニズムを住む 住宅、家具、デザイン
梅本洋一

[ architecture , cinema ]

 アテネフランセで映画を見ることを学び、東京日仏学院でフランス語を学び、渋谷パンテオンでハリウッド映画を見、東急名画座でかつての名画を多く見たぼくにとって、もっとも時間を過ごした建築の作り手は明らかに坂倉準三だった。アテネフランセも同じルコルビュジエ門下の吉阪隆正だから、東京日仏学院やパンテオンや東急名画座が入っていた今はなき東急文化会館の設計者である坂倉準三という固有名は極めて重要なものだ。  ...全文を読む ≫

投稿者 nobodymag : 1:40 AM

『ディア・ドクター』西川美和
梅本洋一

[ cinema , cinema ]

 一昨年『ゆれる』で大方の好評を博し(ぼくは批判的だったが)、その原作が直木賞候補にもなっている西川美和の『ディア・ドクター』を見た。主演の笑福亭鶴瓶は、封切りに際して西川美和とテレビに出まくっていた。  物語を記すと「ネタバレ」になるので書かないが、それ以外にいったい何を書けばいいのかと頭を抱えざるを得ない。笑福亭鶴瓶と瑛太の組み合わせもつまらないとは言わない。たったひとりの「医者」しかいない村...全文を読む ≫

投稿者 nobodymag : 1:36 AM

July 10, 2009

『サブウェイ123 激突』トニー・スコット
結城秀勇

[ cinema , cinema ]

 原題は『THE TAKING OF PELHAM 123』だが、そのハイジャックされた車両が「ペラム123」と呼ばれているのはペラム駅を1時23分に出発したから、というただそれだけの理由である。なぜその車両が狙われなければなかったのかと言えば、その名の通り時間帯とコースが適当だったということに尽きて、それが劇中で話題にされる日本製の新型車両なのか、なにか他の車両と違った視覚的特徴を持つのか(そん...全文を読む ≫

投稿者 nobodymag : 6:28 PM

July 9, 2009

「Suddenly VOL.01」宣伝チラシ上の誤植のお詫び

[ cinema ]

現在各所に配布されています「nobody presents SUDDENLY VOL.01」宣伝チラシの文章中に以下の誤りがございました。 *チラシ裏面、『軒下のならず者みたいに』紹介文の最下行 (誤)斎藤陽一郎 → (正)斉藤陽一郎 ご本人様および関係者の皆様に深くお詫び申し上げます。 nobody編集部...全文を読む ≫

投稿者 nobodymag : 10:20 AM

July 8, 2009

『セントアンナの奇跡』スパイク・リー
渡辺進也

[ cinema , sports ]

 スパイク・リーの作品に慣れ親しんだものもそうでない者もブラックムーヴィーのひとムーヴメントをつくった監督のひとりとして、スパイク・リーの映画といったときにある程度イメージすることはできるだろう。同人種として黒人の姿を生々しく描いたということ、自らのアイデンティティに寄る映画つくりをしてきたということ。その実際がどうであれ、この監督が語られるときにそうしたイメージはこの監督にずっとつきまとうものと...全文を読む ≫

投稿者 nobodymag : 2:56 AM

July 2, 2009

『それでも恋するバルセロナ』ウディ・アレン
茂木恵介

[ book , cinema ]

 ヴァカンスを楽しむために訪れたバルセロナ。季節は7月。紋切型の記号としてちらっと映るガウディやミロ。そして、女性を惑わす赤ワインとスパニッシュ・ギター。それらは、主人公の2人の側に寄り添いつつも物語の流れに絡み付くことなくちらっと映り、次のショットへと切り替わる。おそらく、この映画の中で記号として重要な意味を持つのは彼女達を迎え、そして送り出す空港のエスカレーターだけだろう。空港の入り口から出た...全文を読む ≫

投稿者 nobodymag : 8:37 AM

July 1, 2009

『クリーン』オリヴィエ・アサイヤス
梅本洋一

[ book , cinema ]

 エミリー(マギー・チャン)は、いくつもの風景といくつもの音響を通り過ぎなくてはならない。カナダのハミルトンにある煙突から燃えさかる炎が上がる工場を背にした寒々しい川、人々が折り重なるように身を捩る中でマイクの前で多様な音声を絞る人たちのいるライヴハウス、どこでもまったく同じインテリアで、ここがどこだか判らなくなるようなモーテルの一室、売人と買い手が金銭と白い粉を交換する人気のないパーキング、息子...全文を読む ≫

投稿者 nobodymag : 1:00 AM

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