10-11プレミアリーグ サンダーランド対アーセナル 1-1 梅本洋一
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チャンピオンズリーグの緒戦でブラガに6-0で大勝した2日後の対サンダーランドのアウェイゲーム。ブラガ戦がロンドンだったとはいえ、わずか2日後のゲームで、疲労が蓄積している様子はゲームを見ていても手に取るように分かる。ボールへの寄りが遅いし、パススピードも落ちている。アーセナルようなチームは疲労が溜まっていると好ゲームはできない。そんなことはどのチームも同じさ、と言われるだろうが、そうではない。ある程度決まったポジションの中で展開するフットボールと、スペースとミドルレンジのパスを中心にワンタッチ、トゥータッチで繋げていくフットボールは異なる。アーセナルのフットボールはもちろん後者であって、それがチェルシーやマンUと異なるところだ。基本的にはまるでフットサルのゲームのように小さなスペースを、早いパススピードのボールが循環していく。
だから、この種のフットボールはとても疲れる。最低限の約束事はあるのだが、あとは個々人のイマジネーションでスペースに走り込み、そこへオートマティックに配球されていく。運動量が必要だし、狭いスペースでの技術も必要になる。そしてアーセナルは、去年までそれ以外のフットボールができなかった。必然的にボルトンのように中盤省略のロングボールばかりのチームには、浅いバックラインがオタオタするし、中盤をハードマークされると、繋ぎが寸断され、比較的小柄なアーセナルの選手たちは行き場を失ってしまう。フェーディナンド弟のクリアがセスクのブーツに当たり、そのボールがキーパーの頭を越えるという超ラッキーが1点が入ったのが、前半の12分。でも、疲労によってボールへの寄りが遅れ一進一退。中盤で頑張るソングがイエローを2枚くらって退場。テンメン・フットボール!しかも、苦手なディフェンス。
セスクはハムストリングを痛め、代わりに今シーズン絶好調のロシツキ。確かにボールの廻りがずっと良くなる。コシエルニ、スキラッチのバックラインも何とか浅い位置をキープし続け、後半に突入。テンメンだけどまるでテンメンではないように落ち着きが見られ、PKのチャンス!これをロシツキがふかしてしまう。おそらく、ヴェンゲルも語るように、このPKが決まっていれば、「ゲームを殺せた」はずだが、疲れを知らぬサンダーランドは攻勢の手をゆるめない。そして結局、ロスタイムのラスト数秒で同点ゴールを決められてしまう。
ヴェンゲルの落胆は大きい。だが、見る限り、このチームはやや大人になった。速度を落とせるようになった。フルスピードで戦わなければ勝機のなかったこのチームが、後半の12分に、疲れていたアルシャヴィンに代えてデニウソンを入れてから、落ち着いた中盤が構成できていたように見える。ラストの1点はしょうがない。気持ちを切り替えて次のゲーム──といっても、もう今晩のFAカップ対トットナム戦。疲労を振り払いながら頭の中だけでもクリアに戦うしかない。